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Nコン2022の申込方法と著作権(無断改変は審査対象外!)

Nコン2022の申込方法と著作権(無断改変は審査対象外!) 学校著作権ナビ 動画
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今日は Nコン2022申込方法(著作権こってりバージョン)をお送りします。

NHK全国学校音楽コンクール(通称Nコン)は小学校・中学校・高校と校種別に分かれた部門の合唱コンクールで、参加校は2021年度1,622校、コロナ前は2,500校ほどが参加していた大きな規模のコンクールです。
校種別の課題曲が毎年設定されており、Nコン2022を知らなくてもNコンの課題曲を歌ったことがあるという人はいるかもしれません。

 

Nコン2022の申込み方法に関する動画は2本に分けてお話ししています。
この動画は自由曲・楽譜について話した「著作権こってりバージョン」です。
著作権について「あっさり」知りたいという方は「Nコン2022の申込方法と注意点(選曲・指導よりも大切なこととは?)」という動画を「原口 直の一歩先行く音楽教育チャンネル」の方で公開しています。あわせてご覧下さい。

 

この動画は2022年度のNコンの申込についての情報です。
毎年変わることがありますので、公式のホームページから新しい情報を必ず得てください。
(この記事は2022年5月4日時点の情報をベースにしています。)

 

 

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著作権とNコン参加要綱の基本

まずはNコン2022の2つの要綱について話します。
Nコン2022のサイトの中には要綱が2つあります。全国バージョンと地方バージョンです。2つの要綱を必ず確認してください

 

詳しくは「原口 直の一歩先行く音楽教育チャンネル」で公開している「Nコン2022の申込方法と注意点(選曲・指導よりも大切なこととは?)」という動画をご覧ください。

 

著作権の基本の復習です。
著作権は知的財産権の中にあり申請は必要なく、その人が作り出した瞬間にその人に著作権が与えられます。そして原則「作品は作った人のもの」作った人のものだから使う時・増やす時・変える時には作った人に許諾が必要なのです。

学校は例外。
許諾不要です。許諾が不要で使えるのは学校の授業だからです。

 

学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」の動画で、教員に知ってほしい著作権の基本を解説しました。

 

 

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「Nコン2022参加のご案内」の中の著作権を解説

Nコン2022参加のご案内」の中にある著作権に関する項目は、大きく見ると3つに分かれると思います。

改変について
自由曲の状況について
楽譜の複製について

 

どこに書かれているかと言うと、「Nコン2022参加のご案内」の中の

【1】参加の規定とお願い
【2】参加申込方法
【3】選曲について
【4】楽譜について

この中に著作権に関する内容が入っています。細かく見ていきましょう。

 

 

【1】参加の規定とお願い

「5.演奏曲目」
6で自由曲の改変について書かれています。
自由曲の改変の内容や許諾が必要であること、許諾を得たことを確認する報告書について書かれています。この内容はこの後何度も出てきます。

「7.映像・音声の利用について」
NHKのニュースや番組の放送、関連団体など第三者の使用、またインターネットでの配信、広報、出版物、CD制作について映像と音声を使うということが書いてあります。
参加申込書の提出をもって許諾をしたということになります。子どもたちの映像合唱の音声などの情報はNHKが使うという権利を持つのです。

 

【2】参加申込方法

参加申込書記入方法

6.自由曲名とあります。
自由曲の名前を正確に書いてくださいという項目があります。

そして再び9.改変についてです。
申込書で改変があるかどうかということを申告し、改変がある場合は「楽譜の許諾に関する報告書」という別紙が必要です。

そして10.自由曲の放送配信の著作権の管理団体について記入です。
NHKは、Nコン2022で歌われた合唱曲(課題曲・自由曲)の放送や配信を行います。その際に自由曲の放送配信については顧問の教員が、あらかじめ管理団体にアクセスをして放送と配信についての状況を調べなければいけません。難しそうだなと思うかもしれませんが、自由曲の著作権の調べ方についてはとても丁寧に解説されています。

 

参加申込方法の中の「提出物一覧」

まず自由曲楽譜の項目には、例えばダウンロード楽譜を使用する場合は、購入を証明する書類(具体的に言うと購入完了のメールや領収書の写しなど)を楽譜に添付して提出することになっています。1部を購入して複製しないということです。

そして、改変については先ほど触れたとおりです。
委嘱曲、未出版楽譜、絶版楽譜について、こちらの場合も「楽譜の許諾に関する報告書」という別紙と著作権者全員の許諾書という書式自由の書類を添付する必要があります。自由曲がこの3つのどれかに該当をする場合は3つの書類が必要ということです。

 

【3】選曲について

移調などの改変については禁じられています。

自由曲については細かく書かれています。
著作権の情報(放送や配信)の管理団体を調べなければいけないということと、調べ方についてまたここにも書かれています。

 

【4】楽譜について

事前提出物についての中の楽譜には「楽譜提出チェックシート」の提出が求められていて、楽譜の改編を行う場合、もしくは楽譜上で改変が認められているが曲を演奏する場合、どの箇所をどう改変するか楽譜に明記して提出してくださいとあります。
そして再びダウンロード楽譜の場合の購入を証明する書類の添付について書かれています。

 

楽譜の改変について何度も出てきますが、改変についてここで詳しく書かれています。

改変とは、部分的省略(小節・音符・繰り返し・ディビジ等)、移調・転調など、楽器の追加や変更、楽譜上に指示のない手拍子・足踏みや追加変更などを指します。

と書いてあります。

そして改変は、伴奏のみの変更も改変です。

そして自由曲の改変を行う場合、許諾を得て報告書を提出するということ。そして「無断で改変を行った団体は審査対象外になります」と太字で書いてあります
また外国曲の著作権についても「JASRAC、NexTone管理外の場合は日本国内に窓口となる出版社がない場合があります」と書いてあります。その場合、「直接海外の出版社著作権者に連絡を取る必要があるためご注意下さい」とあります。

楽譜のコピーについては原則禁止となっていて、仕方なくコピーをしなければいけない場合のJASRAC への申請の方法なども書いてあります。

そして最後、楽譜についての委嘱曲、未出版楽譜、絶版楽譜の場合の注意点が書いてあります。
許諾を取ることと、報告書を出すこと、そして許諾の文例も書いてあります。
何度も何度も書いてあるということは非常に重要であるということです。特に改変については審査対象外になってしまうという危険性もありますので、きちんと確認をしてください。

 

以上が、全国バージョンの情報が書いてある「Nコン2022参加のご案内」の中にある著作権の項目でした。

同じ内容を何度も何度も書いているということは非常に重要であり、それを間違ってしまうと審査対象外など厳しい措置があるということです。慣れない文章ではありますが、きちんと内容を読み理解し、必要な書類や許諾を取るようにしましょう。

 

 

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授業とNコンで著作権のルールが違う理由

Nコンで気をつけなければならない著作権について話してきましたが、授業では許諾が不要です。

なぜ授業では許諾が必要なのでしょうか。
それは初めに言った「作品は作った人のもの」。つまり、Nコンのルールが原則なのです。
これまで述べたNコンのルールが著作権の原則であって、学校は例外(許諾不要という範囲)なのです。

もちろん学校でも「著作権者の利益を不当に害さない」とか「著作物の通常の利用が妨げられない状態である」ということは守らなければいけません。「学校は許諾不要で改変や複製ができますよ」という内容は、著作権法第35条に書かれています。

第35条には

「学校その他の教育機関において教育を担任するものおよび授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、―中略―公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではない。」

とあります。

 

【教員のための著作権解説】著作権法 第35条って何?」の動画では、学校と著作権のことを調べていると必ず出てくる「著作権法35条」を教員向けに解説したものです。

 

音楽科の教員が楽譜を改変したり授業で使うためにコピーすることが許されているのは、その範囲が授業の中であり教育を担任するもの(つまり教員)が授業を受けるもの(つまり子ども)のために使うという用途に限って許されていることなのです

NHKコンクールの場合は学校の中の決まりではありませんので、この第35条が適用されず、許諾が必要ということです。

 

 

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Nコンで撮影された動画の著作権は誰にある?

NHKコンクールの様子はテレビで放送されることがあります。また動画の撮影については各地区の決まりに則って、撮影を許可しているところもあります。

では、そのコンクールの動画…著作権は誰にあるのでしょうか。
原則、何度も言います。「作品は作った人のもの」です

コンクールの動画の場合、作品(動画)には様々な作った人がいます。

まず動画にはそれを撮った人、そして動画の中の音楽はその音楽自体を作った人、そして音楽を演奏した人、それぞれに著作権があります。

まず動画を撮った人について、録音や録画をした人に著作権があります。
録音・録画業者にCDやDVDの制作を依頼した場合には、その業者が原盤権つまりその動画を使ったり増やしたりするという権利を持つ場合があるとあります。
Nコン2022で歌っている様子を撮った動画については、扱いは十分に気をつけなければいけません。

次に演奏されている音楽には、それを作った人がいて、作った人にも当然著作権があります。
作った人(例えば、作曲者・作詞者)がいたり、それを管理する著作権管理団体などがあります。動画を使ったり増やしたりする場合には、著作権者に許諾が必要です。

そしてその音楽を演奏した人、この人にも権利があります。
合唱をした子どもたち、そして伴奏をした人・映像そのものには子どもたちの顔も映っていますので、肖像権があったり、個人情報があったりします。

コンクールの動画(歌っている様子の動画)には様々な作った人が関わっており、使ったり増やしたりする場合には、その人たちそれぞれに許諾を得なければいけないということです。ちょっと煩わしいなぁと思うかもしれませんが、それぞれは様々な努力を重ねたり工夫をしたりして曲を歌ったりそれを撮ったりしています。
作った人に敬意を表すためにも、許諾は必要です。

 

学校行事の様子を動画配信する場合に注意すべきことを「【教員のための著作権解説】入学式・卒業式・運動会・文化祭をネットで配信する場合の注意点」で解説しています。

 

 

まとめ:Nコン2022の申込方法と著作権(無断改変は審査対象外!)

Nコン2022の申し込みをする時に著作権についてきちんと知っておくと、すべての著作物…学校で使うものや合唱以外の例えば吹奏楽で使うものにも「この著作権は大丈夫だろうか」というアンテナを張ることができます。

 

 

今日話しした内容を発展的に考えて、学校にある様々な著作物に目を向けてみましょう。

「じゃあ、校内の合唱コンクールはどうなの?」とか「運動会や文化祭はどうなの?」と思った方は、ぜひこの「原口 直の学校著作権ナビチャンネル」の動画をご覧ください。

 

ウェブサイトの記事の内容は動画と同じです。
動画「Nコン2022の申込方法と著作権(無断改変は審査対象外!)」も是非ご覧ください。

学校での著作権については研修・講習・授業などでお話をしています。(事例→先生向け研修生徒向け授業司書向け研修)国公立中学校での実践経験の中で培った現場目線を大切にしながら、各学校の実情やお悩みに沿って研修内容を考えます。ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭。東京都公立中・東京学芸大学附属世田谷中に勤務。

2020年より学校勤務経験を活かして机上の法律と学校現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」としての活動を開始。公立中学校の音楽科教員として教鞭をとる傍ら、教員・教育実習生・子どもに著作権への理解を深めてもらうための講演活動・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

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