「自分で描いたキャラクターなら、SNSのアイコンにしていいですか?」——著作権の出前授業で小学生・中学生から実際に寄せられた質問です。
この記事では、その問いに正面から向き合い、なぜ著作権の専門家でも明確な答えが出ないのか、「二次的著作物」という考え方をもとに解説します。
二次的著作物とは何か——なぜ「どちらとも言えない」のか
重要なのは、「自分で描いた」という事実だけでは著作権の問題が解決しない、という点です。
既存のキャラクターを自分の手で描き直した作品は、著作権法上「二次的著作物」と呼ばれます。二次的著作物とは、もとの著作物に依拠して新たに創作された作品のことです。自分の手で描いていても、元のキャラクターの要素が含まれている以上、元の著作権者との関係が生じます。
多くの学校研修に関わるなかで、この問いは子どもだけでなく大人からも寄せられます。そして毎回、同じ答えを返すことになります——「どちらとも言えません」。
▼二次的著作物やイラストの著作権に関する解説は以下



Q&A:自分で描いたキャラクターをSNSのアイコンにしていい?
- Q自分で描いた既存のキャラクターをアイコンにして良いですか?
- A
「どちらとも言えない」が正直な答えです。大人が考えても、法律家が考えても、明確な結論が出ない問題なのです。
答えが出ない理由——三つの視点で考える
なぜ、これほど判断が難しいのでしょうか。授業では次の三つの問いを子どもたちに投げかけています。
- なぜ「どちらとも言えない」のか? 著作権法はケースバイケースで判断されることが多く、個別の状況によって結論が変わるためです。
- 誰が利益を得て、誰が不利益を被るのか? たとえ善意で描いたとしても、それが元の著作権者の権利に影響する可能性があります。
- 自分が著作権者だったらどう考えるか? 自分の作品が無断で使われていたとしたら、どう感じるでしょうか。
ポイントは、「答えが出ない」こと自体を理解することが、著作権を学ぶ入口になる、という点です。なぜそうなのかを考え、誰の権利が関わっているかを想像する——そこから発展的な学びが始まります。
こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマ一覧もご覧ください。
まとめ:「自分で描いたから大丈夫」とは言い切れない
「自分で描いたのだから著作権は自分にある」——そう考えたくなる気持ちはよくわかります。しかし、元となるキャラクターが存在する場合、そこには元の著作権者の権利が関わってきます。
「どちらとも言えない」という答えは、曖昧さを認めることではなく、著作権の本質的な複雑さを正直に伝えることです。学校現場で子どもたちが安心して創作活動を楽しめるよう、こうした問いを一緒に考えていきましょう。
FAQ
Q1 キャラクターを自分でアレンジして描いた場合、著作権は誰にありますか?
A 元のキャラクターの著作権は原著作者に、新たに加えた創作部分の著作権は描いた本人に生じると考えられます。ただし、二次的著作物の利用には元の著作権者の許諾が必要になる場合があり、「自分で描いた部分がある=自由に使える」とはなりません。
Q2 学校の授業でキャラクターを手描きした作品を教室に掲示することはOKですか?
A 授業の一環として制作・掲示する場合は、著作権法第35条(学校その他の教育機関での利用に関する規定)の範囲内で認められる余地があります。ただし、廊下への掲示や学校外への持ち出しなど、授業の過程を超える利用については別途判断が必要です。
Q3 二次的著作物と引用の違いは何ですか?
A 引用(著作権法第32条)は、自分の著作物の中に他者の著作物の一部を取り込む行為で、自分の文章が「主」・引用部分が「従」という主従関係、引用の必然性、出所明示などの要件を満たす必要があります。一方、二次的著作物は元の著作物をもとに新たな創作を行うもので、根拠となる条文・要件がそれぞれ異なります。
著作権研修・出前授業のご案内
学校での著作権研修・出前授業について、詳しくはこちらをご覧ください。
▶ 著作権研修のテーマ一覧 → https://maruc.work/copyright-training-themes
著作権研修・出前授業のご依頼を承っています。テーマ例や過去の事例は研修テーマ一覧をご覧ください。お問い合わせはこちらからどうぞ。
この記事は「キャラクターの絵をSNSアイコンにするのは著作権違反?二次的著作物を解説」をもとに作成しました。

