「図書だよりに本の表紙を載せてもいいですか?」「学校ウェブサイトへの掲載は問題ありませんか?」——学校司書の方から特によく寄せられる質問の一つです。本の表紙には、イラストや写真など著作権で保護される要素が含まれることが多く、掲載する場面ごとに確認すべきポイントが変わります。
この記事では、利用場面別に著作権法の考え方を整理します。
本の表紙(書影)の掲載に許諾は必要?まず結論から
- Q図書だより・学校ウェブサイト・Googleクラスルーム等に本の表紙の写真(書影)を掲載する時に許諾は必要か?
- A
利用場面によって異なります。授業の過程で必要な範囲で使う場合は、著作権法第35条により許諾なく利用できる場合があります。一方、図書だより、学校ウェブサイト、Googleクラスルームでの読書案内などが授業の過程に当たらない場合は、第35条だけでは説明できません。引用、第47条の2、出版社等の利用条件を確認する必要があります。
重要なのは、「場面ごとに根拠を確認する」という姿勢です。見解がさまざまなテーマでもあるため、判断に迷う場合は出版社への確認をおすすめします。
許諾なしで利用できる可能性がある3つの根拠
図書だよりに本の表紙を掲載する場合、許諾なく利用できる可能性がある代表的な根拠として、①引用(著作権法第32条)、②美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(著作権法第47条の2)、③授業の過程での利用(著作権法第35条)の3つが考えられます。
ただし、いずれも要件を満たす必要があります。
引用として使用する場合(著作権法第32条)
表紙画像とともに、独自の書評や感想文などを掲載する場合、著作権法第32条の「引用」として認められる可能性があります。ただし、単に表紙を飾りとして載せるだけでは引用とは言いにくく、本文が主・表紙画像が従という関係、引用の必要性、出所の明示などの要件を満たすことが必要です。
美術の著作物等の譲渡等に伴う複製(著作権法第47条の2)
学校図書館が所蔵している本を児童生徒に貸し出すために紹介する場合は、著作権法第47条の2により、一定の条件のもとで表紙画像を掲載できる可能性があります。これは、美術の著作物や写真の著作物の原作品・複製物を譲渡・貸与しようとする場合に、その申出のために必要な複製・公衆送信を認める規定です。
ポイントは、利用する画像を鑑賞用などに転用できない程度の大きさ・画質に抑える必要があるという点です。著作権法施行令・施行規則に定められた画像の大きさ・画素数等の制限を確認し、紙面掲載では表示サイズ、デジタル利用では画素数を小さく抑えることが求められます。
授業の過程での利用(著作権法第35条)
国語の授業など、明らかに「授業の過程」で必要な範囲で使用する場合は、著作権法第35条により、著作権者の許諾なく利用できる場合があります。図書委員会の活動なども、教育課程上の位置づけによっては授業の過程に含まれる場合があります。ただし、図書委員会の活動や図書だよりの発行が常に「授業の過程」に当たるとは限らないため、活動の位置づけを確認することが必要です。
本の表紙の著作権に関するこうした判断のポイントは、学校研修のなかでもよく取り上げるテーマです。研修でどのような内容を扱っているかは、研修テーマ一覧ページでご確認いただけます。
場面別の確認ポイント
図書だよりに掲載する場合
図書だよりを誰が誰に向けて発行するものか、という確認が最初のポイントです。発行の目的・配布対象・内容の位置づけによって、上記1〜3のどの根拠が使えるかが変わります。根拠となる要件を満たせない場合は、出版社等の利用条件を確認することをおすすめします。
学校ウェブサイトに掲載する場合
学校ウェブサイトで本の表紙を掲載する際は、「誰が閲覧できるか」「どのくらいの期間公開するか」という2点に特に注意が必要です。一般公開される場合は、不特定多数の人の目に触れることになるため、慎重な対応が求められます。
Googleクラスルーム等のクラウドへの掲載
Googleクラスルームなどのクラウドサービスへの掲載は、公衆送信にあたります。それが授業の過程で必要な利用であれば著作権法第35条の授業目的公衆送信に当たり、学校設置者によるSARTRASへの補償金支払い・届出等が関係します。
一方、図書館からのお知らせや読書案内など、授業の過程とは言えない利用の場合は、第35条やSARTRASの対象外となります。その場合は引用(第32条)や第47条の2など他の根拠を検討し、必要に応じて出版社等に確認しましょう。
SARTRASについて、また自校・自治体が補償金を支払済かどうかを確認する方法については、以下の記事をご覧ください。


「宣伝になるからいいでしょう」は通用しません
研修先でもときどき耳にするのが、「宣伝になるんだから出版社も喜ぶはず」という考え方です。しかし、その行為が宣伝にあたるかどうかを判断するのは著作権者・出版社側であり、利用する側が自己判断して安易に公開することは避けたいところです。善意からの行為であっても、トラブルの原因になることがあります。
この記事は動画「本の表紙(書影)を学校で使う著作権|図書だより・ウェブサイト・クラウド別に解説」をもとに作成しました。

