学校行事、特に遠足や修学旅行など、校外での活動ではたくさんの写真を撮りますよね。そういった写真を広報誌に使いたいと考える先生方も多いはずです。
ですが、写真に「お土産」や「パブリックアート(公共の場所にある彫刻や絵画)」が写り込んでいた場合、著作権上の問題はないのでしょうか?
この点について、2020年の著作権法改正で拡大された「写り込み」のルールも踏まえて、詳しく解説します。
写り込みのある写真を広報誌に使う際のポイント
- Q学校行事の際に撮影した写真に「お土産」や「パブリックアート」が写り込みました。この写真をそのまま広報誌に使えますか?
- A
写真に写り込んだ著作物(お土産・パブリックアート)が「主の著作物」から切り離せない場合、そのまま広報誌に掲載することは可能。
「写り込み」のルールを確認しよう
写真に映り込んだ著作物(お土産やパブリックアートなど)は、著作権法第30条の2で定められている「写り込みの規定」が適用される場合があります。この規定は、写真や映像などの著作物に偶然に他の著作物が写り込んでしまう場合に、一定の条件下でその利用が認められることを定めています。
具体的には、写り込んだ著作物が写真の「軽微な構成部分」であり、かつ「分離困難」である場合に、著作権侵害とはなりません。
例えば、生徒の姿を中心に撮影した写真の背景に、たまたまパブリックアートが写ってしまった場合などがこれに該当します。この場合、主な被写体が生徒であり、アート作品が偶然映り込んだだけであれば、そのまま使用して問題ありません。
2020年著作権法改正による拡大
2020年の著作権法改正により、この「写り込みの規定」の適用範囲が拡大されました。
これにより、付随的に写り込んだ著作物の利用がより柔軟に認められるようになり、教育現場での写真利用も円滑に進めやすくなっています。
広報誌への掲載には特に注意が必要
運動会や文化祭の看板なども、場合によっては著作物として保護されている可能性があります。広報誌に写真を掲載するということは、学校内だけでなく、保護者や地域住民など、多くの人の目に触れる機会があるということです。
そのため、著作権法第35条(教育機関における著作物の利用)だけではカバーしきれない場合があるため、特に注意が必要です。あくまで広報誌の「主な目的」が、写り込んだ著作物を紹介することになっていないかを確認しましょう。
まとめ:写真の「写り込み」はセーフでも、使用前にチェックを
遠足や修学旅行などの行事で撮影した写真に「お土産」や「パブリックアート」が写っている場合でも、それが生徒の姿など主な被写体に付随しているだけであれば、広報誌に使用することが可能です。
ただし、写真の主目的がその著作物になっていないか、そして「軽微な構成部分」や「分離困難」といった「写り込みの規定」の要件に該当するかどうかをしっかり確認することが大切です。著作権に配慮しながら、楽しい学校行事の思い出を安全に発信していきましょう。
ご自身の学校の広報誌で使いたい写真について、判断に迷うケースがあれば、具体的な状況を考慮して専門家や文化庁の情報を参照することをお勧めします。
ウェブサイトの記事の内容は動画と同じです。
動画「【先生からの質問に回答】遠足や修学旅行の写真、広報誌に使っていい?“お土産”や“アート”の写り込みはOK?」も是非ご覧ください。