SARTRAS(サートラス)とは?授業目的公衆送信補償金制度をわかりやすく解説

SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)とは? SARTRAS(補償金・利用報告)
SARTRAS(補償金・利用報告)
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オンライン授業やGIGAスクール構想の話題で必ず出てくる「SARTRAS(サートラス)」。名前は聞くけれど、何をしている団体なのか、自分の学校と何の関係があるのかは分かりにくいですよね。

この記事では、SARTRASとは何かという定義から、補償金は誰がいくら払うのか、補償金を払うと授業で何ができるようになるのかまでを、学校の先生向けに整理しました。読み終えるころには、オンライン授業で著作物を使える理由が説明できるようになります。

SARTRAS(サートラス)とは、「一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会」の呼称で、授業目的公衆送信補償金制度を運営する団体です。

学校がオンライン授業などで著作物を使うとき、本来なら教員一人ひとりが著作者を調べて許諾を得る必要がありますが、その手続きと支払いをまとめて代行し、集めた補償金を権利者に届けています。学校著作権ナビゲーターとして研修に伺うと、「名前は聞いたことがあるけれど、何をする団体なのか分からない」という声を毎回のようにいただく、それがSARTRASです。

 

 

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SARTRASとは?授業目的公衆送信補償金等管理協会のこと

ポイントは、SARTRASが「許諾の代わりに補償金を受け取り、権利者に分配する窓口」だという点です。

オンライン授業で使う資料ごとに、著作者を割り出し、どれくらい使うかを申請する。これを先生方が一つひとつ行うのは、現実には困難です。そこで、設置者が補償金を支払えば個別の許諾なしで利用でき、その補償金が著作者に届く仕組みが作られました。この分配を代行しているのがSARTRASなのです。

▶ 動画では 8:50〜 で、この「代行」の意味を図で解説しています

 

 

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授業目的公衆送信補償金制度とは?2021年度から始まった仕組み

授業目的公衆送信補償金制度の仕組み

授業目的公衆送信補償金制度とは、補償金を支払うことで、授業目的の公衆送信を許諾なしで行えるようにする制度です。 2020年度は特例的に無償でしたが、2021年度から有償の本格運用が始まりました。

そもそも、授業で著作物を複製したり配布したりすることは、もともと許諾が不要でした。しかし、それをオンラインで送信する場合には許諾が必要だったのです。そこを埋めたのが、この制度です。

 

補償金はいくら?誰が払うの?

補償金は、児童生徒1人あたりの年額で、学校種ごとに定められています。小学生は年額120円、中学生は年額180円などです。

「集金なんてしていない」「支払った覚えがない」と思われた先生方、ご安心ください。支払うのは学校の設置者です。 公立学校であれば教育委員会などが、大学附属であれば大学が支払うことになっています。

補償金の額は年度により変更される可能性があります。最新の額はSARTRASのウェブサイトでご確認ください。

▶ 動画では 5:45〜 で金額と支払い主体を説明しています

 

自分の学校が支払い済みか確認する方法

自校が対象になっているか不安な場合は、まず設置者(公立なら教育委員会、大学附属なら大学)に確認しましょう。あわせて、SARTRASのウェブサイトでは、申請済みの教育機関設置者・教育機関の名称を検索できます。「教員の方へ」ページの「申請済教育機関設置者・教育機関の名称検索」から確認できます。

▶ 確認手順は動画「【オンライン授業・行事配信に不可欠】SARTRASに申請済か確認する方法を紹介」で詳しく紹介しています

【オンライン授業・行事配信に不可欠】学校・自治体がSARTRASに補償金を支払済か確認する方法
今日はSARTRAS(授業目的公衆送信保証金等管理協会)が発表した「申請済教育機関設置者・教育機関の名称」についてお話しします。SARTRASの仕組みやこの団体については、以下の動画をご覧下さい。【教員のための著作権解説】SARTRAS(授...

 

 

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補償金を払うと何ができる?「無許諾・無償」と「無許諾・有償」の違い

授業目的公衆送信補償金制度

大切なのは、「これまでも無償でできていたこと」と「補償金を払って初めてできるようになったこと」を分けて理解することです。 学校での利用を整理すると、次のようになります。

 

許諾と補償金の要否がひと目でわかる一覧表

使い方著作者の許諾補償金
対面授業で使う資料を印刷して配る(複製)不要不要
遠隔合同授業のための公衆送信(同時中継)不要不要
対面授業の予習・復習用の資料をメールで送る不要必要
対面授業で使う資料を外部サーバ経由で送る不要必要
オンデマンド授業で講義映像や資料を送る不要必要
スタジオ型リアルタイム配信授業を行う不要必要
職員会議・保護者会・学校説明会の模擬授業など必要(原則どおり)対象外

※これらは著作権法第35条(学校その他の教育機関において、授業の過程で著作物を利用できることを定めた規定)に基づく取り扱いです。
授業を担当する先生や児童生徒が行うこと、授業の過程での利用であること、必要と認められる限度であること、著作権者の利益を不当に害しないことなどの条件を満たす必要があります。たとえば、児童生徒が購入することを前提とした市販のドリルやワークブックをコピーして配ることは、補償金を支払っていても認められないと整理されています。
また第35条は、複製と公衆送信に加えて、公衆送信されている著作物を受信装置(教室のモニター等)で見せる「公の伝達」も対象にしています。

▼著作権法第35条とは何かを詳しく見る

著作権法第35条とは?学校の授業で著作物を使える条件をわかりやすく解説
著作権法第35条は、学校の授業で著作物を複製・公衆送信・公の伝達できることを定めた規定です。適用される条件と「授業」「複製」の範囲、先生がやりがちな誤解を、学校著作権ナビゲーター・原口直が研修経験をもとにわかりやすく解説します。
もし著作権法第35条がなかったら──授業・オンライン配信・補償金制度まで、学校を守るルールを徹底解説
著作権法第35条がない世界を想像したことはありますか?コピー・引用・オンライン配信……学校の当たり前を支えるこの法律と、授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)の仕組みをセットで解説します。

 

学校行事を保護者へ配信するときに気をつけること

なお、学校行事を保護者の方へ配信する場合には、補償金の支払いとは別に守るべき整理があります。

参観が認められた保護者・協力者に限定すること、後から視聴できるオンデマンド型では視聴期間をあらかじめ決めて終了後にデータを消すこと、URLの拡散やSNSへの転載を行わないよう事前に説明して同意を得ておくことなどです。記念品としてDVDに保存して配布する行為は、この制度の範囲外となり、別途許諾が必要になると考えられます。

 

遠隔合同授業とスタジオ型配信は、どこが違う?

同じ「同時中継」でも扱いが分かれます。違いは、授業者と子どもたちが同じ場所にいるかどうかです。

先生も子どもも教室にいて、その様子を別会場へ同時中継する「遠隔合同授業」は、これまでも無許諾・無償でできました。一方、教室に先生しかいない状態で中継する「スタジオ型リアルタイム配信授業」は、別の扱いになり、補償金の対象となります。

▶ 動画では 8:11〜 で、両者の図を並べて比較しています

▼研究授業の参観者への配布・配信の考え方

研究授業で参観者に教材コピーを配布できるか?著作権法第35条の範囲を解説
研究授業の参観者に、授業で配った楽譜やプリントと同じコピーを配ってよいのでしょうか。第35条運用指針に基づき、オンライン公開・研修での教科書の扱い・学習指導案の著作権まで解説します。

 

 

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そもそも、なぜ学校は「例外」なの?著作権の原則と例外

ここまでの前提として、著作権の考え方も押さえておきましょう。

 

著作権の原則は「作品は作った人のもの」

知的財産権とは?

著作権の原則は「作品は作った人のもの」です。 使うとき・増やすとき・変えるときには、作った人に許可を得る必要があります。著作権は、言語・音楽・映画といった著作物と、それを生み出す人を守るものです。

同じ知的財産権でも、特許や意匠といった産業財産権は、出願して認められて初めて権利が発生します。しかし著作権は、作品を生み出した瞬間に権利が発生する点が異なります。

 

許可がいらない「例外」

原則には、いくつかの例外があります。

私的利用

自分だけで使う場合や家族が使う場合は、許諾が不要です。

著作権フリーの素材

著作者が「許諾は不要」と示している場合です。著作権が消滅しているという意味ではなく、一定の条件のもとで利用が認められている素材ですので、条件は必ず確認してください。

保護期間切れ

保護期間は、原則として著作者が亡くなった年の翌年から70年間です(団体名義の著作物など、扱いが異なるものもあります)。経過した著作物は、原則として許諾なく使えます。ただし、楽曲そのものの保護期間が満了していても、特定の編曲版や、その演奏を収録した音源には別の権利が残っている場合がありますので、あわせて確認しておくと安心です。

 

学校に関係のある3つの例外

引用

自分の文章が主で引用部分が従であること、引用する必然性があること、かぎ括弧などで明瞭に区別すること、出所を明示することなどの条件を満たす場合、許諾なく使えます。出典を書けば何でも使える、という意味ではない点にご注意ください。

試験問題

入試の問題として使う場合は、公表された著作物であること、目的上必要と認められる限度であることなどの条件のもとで許諾が不要とされています。ただし、営利目的で行う模擬試験などでは、事後に補償金を支払う必要があります。また、入試問題を本にする場合には許諾が必要になります。

学校の授業

教科・特別活動・学級活動・児童生徒会・行事・クラブ・部活動は「授業」にあたり、一定の条件のもとで許諾が不要となります。

 

学校は「原則」と「例外」の間にある

しかし、学校のすべてが例外になるわけではありません。 学校説明会での模擬授業、教職員会議、保護者会、セミナーや情報提供などは「授業」とは扱われません。これらは原則どおり、許可を得る必要があります。学校だからといって何でも自由に使えるわけではないのです。

つまり学校は、著作権の原則と例外の間にまたがる存在です。職員会議・オンライン授業・行事配信・オンライン公開研究会は、原則では許諾が必要な場面にあたります。このうちオンライン授業と行事配信は、例外にあたるか、または補償金を支払うことで許諾が不要になる場合があります。オンライン公開研究会については、参加する他校の先生方は「授業を受ける者」にあたらないと整理される可能性があり、補償金の対象になるかどうかは実施の形態によって判断が分かれると考えられます。

こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマの一覧もご覧ください。

 

▼学校の著作権の基礎をはじめから確認する

著作権とは?学校教育になぜ関係するのかをやさしく解説【超基礎解説①】
著作権とは何か、なぜ学校教育に関係するのかを、学校著作権ナビゲーターが現場目線で解説します。教材づくりで感じる「使っていいのか不安」を解消する超基礎シリーズの1本目です。
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著作権法第35条は、授業のためなら一定の条件で著作物をコピー・配信できる特別ルールです。守るべき3つの条件と、オンライン授業を支える補償金制度(サートラス)まで、著作権をわかりやすく解説する超基礎シリーズの2本目です。
学校行事のBGM・おたよりの著作権|第35条と38条の使い分け【超基礎解説③】
運動会のBGMや学級だより、ホームページ公開は著作権法第35条の対象外になる場合があります。学校行事・おたより・ネット公開で気をつけたい著作権のポイントと、迷ったときの相談先を学校著作権ナビゲーターがやさしく解説する超基礎シリーズの3本目です。

 

 

支払った補償金はどこへ届く?SARTRASによる分配

授業目的公衆送信補償金制度(指定管理団体)

学校から預かった補償金を著作者に届けるため、SARTRASは指定管理団体へ分配金を支払います。音楽であれば日本音楽著作権協会(JASRAC)、ほかにも日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会などです。対象は音楽だけでなく、新聞・文学・写真・美術・漫画・雑誌・自然科学と、多岐にわたるジャンルが含まれます。

SARTRASの専門委員として制度に関わる立場から見ても、この「誰に、どう届くか」が見えると、補償金の意味が現場でも納得しやすくなると感じています。

▶ 補償金の行方については動画「【補償金の行方】SARTRASの利用報告の意義とその役割の紹介」で解説しました

【補償金の行方】SARTRASの利用報告の意義とその役割の紹介
2021年度から始まった授業目的公衆送信補償金制度。オンライン授業の著作物使用料を子ども全員分、支払うという仕組みです。支払った補償金を管理する団体を授業目的公衆送信補償金等管理協会SARTRAS(サートラス)と言います。この動画の中でも...

 

 

まとめ:SARTRASは、先生の代わりに手続きを引き受ける仕組み

著作権の原則は「作品は作った人のもの」。使う・増やす・変えるには、作った人の許諾が必要です。学校の授業で使えているのは例外であり、オンラインでの公衆送信には補償金という仕組みが用意されています。

本来であれば学校や教員が行わなければならない著作者の割り出しや支払いを、代わりに引き受けてくれるのがSARTRASです。いたずらに恐れるのではなく、仕組みを知ったうえで、安心してオンライン授業に踏み出していただければと思います。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q.SARTRASとは何ですか?
A.「一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会」の呼称で、読み方は「サートラス」です。授業目的公衆送信補償金制度を運営し、集めた補償金を権利者団体へ分配しています。

Q.補償金は先生が払うのですか?
A.いいえ、支払うのは学校の設置者です。公立学校であれば教育委員会などが支払います。先生個人や保護者から集金する仕組みではありません。

Q.職員会議で資料をコピーして配る場合も、補償金の対象になりますか?
A.職員会議は「授業」には該当しないと扱われるため、この制度の対象外です。原則どおり、著作者の許諾が必要になると考えられます。ただし、引用の要件を満たす場合や、素材サイトの利用規約であらかじめ利用が認められている場合は、個別に許諾を取らずに使えることもあります。

 


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この記事は動画「SARTRAS(サートラス)とは?授業目的公衆送信補償金制度を解説」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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