SARTRASとは?授業目的公衆送信補償金制度をわかりやすく解説【教員向け】

SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)とは? SARTRAS(補償金・利用報告)
SARTRAS(補償金・利用報告)
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オンライン授業やGIGAスクール構想の推進において、欠かせないキーワードとなっているのが「SARTRAS(サートラス)」です。
本記事では、教員の皆様に向けて、このSARTRASについて詳しく解説します。

 

 

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著作権の基本とSARTRASの役割

SARTRASとは、著作権を管理する制度の一つで、正確には「授業目的公衆送信補償金等管理協会」を指します。

知的財産権とは?

著作権は知的財産権の一種で、他には特許や意匠などの産業財産権も存在します。著作権は言語、音楽、映画などの著作物を守り、それらを創作する人々の権利を保護するものです。

特許や意匠などの産業財産権は申請して認められて初めて効力を持ちますが、著作権は作品を生み出した瞬間に自動的に発生します。つまり、「特許を出願する」というような手続きは不要です。

著作権の原則は「作品は作った人のもの」です。
作品を使う、増やす、変える場合には、その作者に許可を得る必要があります。

 

▼著作権の基本については以下をご覧ください。

教員が知っておきたい著作権の基礎ー学校現場での「困った」をスッキリ解消
学校での著作権利用はどこまで認められるのでしょうか。著作権法第35条による教育目的の例外、私的利用(第30条)との違い、ドリルのコピーや運動会動画の配信など現場のQ&Aをわかりやすく解説します。
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学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)
【補足】学校で著作物を使用される場合は、最新のガイドライン等を確認・遵守の上でご利用ください。「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」基本:著作権とは?まず、著作権とはどういうものかというと、大きく「知的財産権」という中...

 

 

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著作権の例外と学校における活用

著作権にはいくつかの例外があります。たとえば、以下のような場合です:

  • 私的利用:自分だけで使用する場合や、家族が使用する場合は「私的利用」に該当し、許可は不要です。
  • 著作権フリーの素材:イラストや音楽などで、著作者が「許諾は不要」と明示している場合。ただし、「著作権フリー」とは著作権が消滅しているわけではなく、著作者が一定の条件のもとで利用を許諾している素材です。イラストや音楽などで「許諾不要」と明示されているものが該当しますが、利用条件は必ず確認してください。
  • 保護期間切れ:著作者の死後70年を経過した著作物は、原則として許諾不要で使用できます。

 

学校教育に関連する例外として、以下の3点が挙げられます:

  • 引用:引用の条件を満たす場合、著作物を許諾なく使用できます。条件は必ず確認してください。
  • 試験問題:入試での使用は許諾不要ですが、入試問題を出版する場合には許諾が必要です。
  • 学校における授業:教科、特別活動、学級活動、児童生徒会、行事、クラブ・部活動は「授業」に該当し、許諾が不要です。

 

一方で、模擬授業(学校説明会)、教職員会議、保護者会、セミナーや情報提供などは「授業」とはみなされません。そのため、原則通り著作者の許可が必要です。「学校だから何でも許可が不要になる」というわけではないのです。

 

学校活動は、著作権の「原則(許諾が必要)」と「例外(許諾が不要)」の間に位置づけられます。たとえば、職員会議やオンライン授業、行事配信、オンライン公開研究会などは原則では許諾が必要ですが、例外または補償金の支払いによって許諾が不要になります。

 

 

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オンライン授業とSARTRASの関係

授業での使用については、元々複製や配布の許可は不要でした。しかし、オンラインで使用する場合は許可が必要でした。
これに対して、2021年度から「授業目的公衆送信補償金制度」が開始され、補償金を支払えば許可が不要になる制度が整備されました。これを管理しているのがSARTRASです。

2020年度は無償でしたが、2021年度からは補償金が必要となりました。
補償金の金額は、小学生:年間120円、中学生:年間180円など学校種ごとに定められています。(金額は年度により変更される場合があります。最新の金額はSARTRASのウェブサイトでご確認ください)。

「集金なんかしていない」「支払いしていない」という教員も心配無用です。実際に支払いを行うのは学校の設置者(例:教育委員会、大学など)です。自校が対応済みか不安な場合は、設置者に確認しましょう。

 

SARTRASのウェブサイトでは、どの自治体・大学・学校が補償金を支払い済みかを検索できます。「教員の方へ」ページの「申請済教育機関設置者・教育機関の名称検索」から確認できます。

【オンライン授業・行事配信に不可欠】SARTRASに申請済か確認する方法を紹介」の動画で、自分の学校・自治体がSARTRASへ申請済かどうかを確認する方法を紹介しています。

 

 

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SARTRASの資料と具体的な運用例

SARTRASの公式サイトには、さまざまな資料が掲載されており、「こちらに掲載されております資料は複製・公衆送信等その他ご自由に利用ください」等の注意書きがあります。

学校教育と著作権 | 一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会
入門編 学校教育と著作権(著作権法35条)(2019年4月22日作成)  改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム、2020年12月作成)(※) 改正著作権法第35条運用指針(令和3...

 

授業目的公衆送信補償金制度

これまで、授業での複製や遠隔合同授業の公衆送信は、無許諾無償で可能でした。今回新たに対象となったのは、「無許諾だが有償」となる公衆送信です。以下のような例があります:

  • 対面授業の予習・復習用資料をメール送信
  • 外部サーバ経由で授業資料を送信
  • オンデマンド授業で講義映像や資料を送信
  • スタジオ型リアルタイム配信授業

遠隔合同授業とスタジオ型リアルタイム配信授業の違いは、授業者と児童生徒が同じ場所にいるかどうかです。たとえば、授業者の近くに子供たちがいて同時中継する「遠隔合同授業」は無許諾無償ですが、教室に先生しかおらずそれを中継する「スタジオ型授業」は有償となります。

 

引用元の資料:「授業目的公衆送信補償金制度の概要」(令和2年12月 文化庁)

こうした学校著作権の基礎から実務まで、校内研修で体系的に取り上げることもできます。研修テーマの一覧はこちらをご覧ください。

 

 

SARTRASによる補償金の分配とその意義

授業目的公衆送信補償金制度の仕組み

教員が著作物を使用するたびに著作者を調べたり、使用料を個別に申請するのは現実的ではありません。SARTRASに補償金を支払うことで、著作者に適切な金額が分配される仕組みとなっています。

 

授業目的公衆送信補償金制度(指定管理団体)

SARTRASは、集めた補償金をJASRAC(日本音楽著作権協会)、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会などの指定管理団体に支払い、それぞれの著作者へと届けられます。音楽以外にも、新聞、文学、写真、美術、漫画、雑誌、自然科学といった多岐にわたるジャンルが対象です。

 

私たちが支払った補償金は、どのようなルートをたどって権利者に届くのか。「【補償金の行方】SARTRASの利用報告の意義とその役割の紹介」で解説しました。
【補償金の行方】SARTRASの利用報告の意義とその役割の紹介
2021年度から始まった授業目的公衆送信補償金制度。オンライン授業の著作物使用料を子ども全員分、支払うという仕組みです。支払った補償金を管理する団体を授業目的公衆送信補償金等管理協会SARTRAS(サートラス)と言います。この動画の中でも...

 

 

まとめ

著作権の原則は「作品は作った人のもの」。使用、複製、変更には許可が必要です。学校教育においては授業が例外となりますが、オンライン配信には補償金が必要です。

SARTRASは、学校や教員が本来行うべき著作者の特定や支払いを代行し、著作権者に正当な報酬を届ける仕組みです。オンライン授業を気兼ねなく行うためにも、SARTRASの存在は重要です。

この機会に、著作権と学校教育の関係について、より深い関心を持っていただければと思います。

 

SARTRASの仕組みを理解した上で、YouTubeを授業・学級経営でぜひ利用して下さい。「学校でYouTubeを活用するコツ」の動画で、YouTubeの便利な機能を紹介しました。

 


この記事は動画「SARTRASって何?教員が知るべき著作権の例外と補償金制度」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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