文化祭の看板、クラスTシャツ、しおりの表紙——学校生活の中で、キャラクターやブランドロゴを使いたい場面は少なくありません。「ディズニーはうるさいらしい」「ポケモンは大丈夫じゃないの?」といったウワサは耳にするけれど、実際のところどうなのか。
この記事では、各キャラクター・ブランドの公式サイトに書かれていることを確認しながら、学校での使い方のポイントを整理します。著作権法第35条の「学校の例外」についても合わせて解説します。
著作権の基本:作品は作った人のもの
まず押さえておきたい原則があります。著作権は知的財産権の一つで、美術の著作物もその対象です。
原則:作品は作った人のもの。使う・増やす・変えるときには、作った人の許諾が必要。
美術の著作物を使う場合も同様に、原則として著作権者への許諾が必要です。ただし、学校の授業の過程で必要と認められる範囲での利用については、著作権法上、許諾なく使える例外があります。
著作権の基本についてより詳しく知りたい方は、「学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」をご覧ください。
動画▶学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)
「美術の著作物」とは——学校で使う場面はこんなにある
著作権法第10条第1項第4号には「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」と定められています。学校生活の中で美術の著作物が登場する場面は、実は多岐にわたります。
行事・特別活動での利用例: 文化祭・運動会などの行事看板にキャラクターやロゴを使う場面、修学旅行・遠足のしおりの表紙や挿絵として使う場面、クラスTシャツにイラストやキャラクターを入れる場面——これらは学校現場でよく見られます。
授業での利用例: 図画工作・美術の絵画や彫刻、技術科でのTシャツ・マグカップ・木工ブックスタンドの絵柄づくり、家庭科での刺繍など、授業の制作活動の中でもキャラクターやロゴを参照・使用する機会があります。
図画工作・美術・技術・家庭科などの授業や、教育課程上の学校行事・特別活動として行われるものについては、著作権法第35条の「授業の過程」に当たる場合があります。その場合でも、必要と認められる限度内であること、著作権者の利益を不当に害しないことが必要です。
「学校は例外」がどういうことかについては、「著作権法 第35条って何?」で詳しく解説しています。
ウワサではなく、公式サイトで確認しよう
「ポケモン 著作権」などで検索すると、弁理士や著作権の専門家の見解が出てきます。それらは個人の見解や考察であることが多く、権利者の公式な方針とは異なる場合があります。
「ディズニーはうるさい」といったウワサも聞きますが、ディズニーに限らず、すべての著作物には著作者に権利があります。大切なのは、ウワサではなく各公式サイトで「どのように書かれているか」を直接確認することです。
以下では、子どもたちや学校の先生に身近なポケモン・ディズニー・ルイヴィトン・集英社・いらすとや、5つの公式サイトの著作権に関する記載を確認してみます。ぜひ実際のサイトもあわせてご覧ください。
ポケモン・ディズニー・ルイヴィトン・集英社・いらすとや——各公式サイトで確認できること
ポケモン(ポケットモンスター)
ポケットモンスター公式サイトの「ご利用について」「著作権について」には、オフィシャルサイト上の著作物について記載があります。サイト掲載のデザイン・写真・映像・文章・音楽・音声などのコンテンツデータの著作権または使用を許諾する権利は株式会社ポケモンに帰属し、個人的に楽しむ場合に限って使用が許諾されるものとされています。サイトからのデータのコピー・複製・改変・出版・掲示・電送・配布、公衆ネットワーク上での利用は固く断るとされています。
学校の授業の過程で必要な範囲であれば著作権法第35条により利用できる場合がありますが、学校外での利用は厳しく制限されています。

ディズニー
東京ディズニーリゾートの公式サイトトップにある「法的制約と使用条件」の中に「コンテンツの使用制限」という記載があります。ウェブサイト上のコンテンツ(文章・図表・画像・写真・ソフトウェアなど)は許可なくいかなる形でもダウンロード・複製・再出版・アップロード・掲示・伝送・配布できないとされており、非営利・個人的な用途で1台のコンピュータに1コピーのみダウンロードできるなど、かなり限定された条件が示されています。学校での配布・掲載・動画利用などにそのまま使えるという意味ではありません。
ルイヴィトン
ルイヴィトンの公式サイト最下部にある「サイトのご利用に際し」の中に「リーガル」という項目があり、著作権について記載があります。著作権・商標権・その他の知的財産権については、ルイヴィトン マルティエ社のみがウェブサイトで使用されているデザイン・製品・ロゴなどに関する商標権・意匠権・肖像権・著作権等の知的財産権を有するとされています。著作権以外にも商標・意匠といった権利が関係することがわかります。
集英社
『鬼滅の刃』『ONE PIECE』『ドラゴンボール』など、多くの著作物・著作者を擁する集英社は、公式サイトトップの目立つ位置に「著作権」へのリンクがあります。クリックすると著作権に関するFAQページに移動し、質問形式で方針が示されています。「出版物の表紙やカバー・中ページの絵柄や文章・漫画のコマなどを使いたい」といった具体的な質問に対しては、基本的に「個人には使用を許可しておりません」という回答が多い構成になっています。
児童生徒にとって身近な作品が多いため、著作権教育の題材としては使いやすい素材です。ただし、作品画像やキャラクターを実際に複製・掲載・配信する場合は、授業の過程で必要な範囲かどうかを確認する必要があります。

いらすとや
学校でもよく使われているいらすとやは、「著作権 フリー」と検索すると上位に表示されるため「著作権フリー」と思われがちです。しかし、公式サイトトップの「ご利用について」には、「当サイトの素材は無料でお使いいただけますが、著作権は放棄しておりません。すべての素材の著作権は著作者であるみふねたかし氏が所有します」と明記されています。素材は規約の範囲内であれば自由に編集・加工できますが、加工の有無にかかわらず著作権の譲渡や移動はないとされています。
「規約の範囲」については「ご利用について」に詳細が記載されており、1動画あたりの使用点数に制限がある場合もあります。いらすとやに限らず、「著作権フリー」とされているものも著作権を放棄していないケースが多いため、使用前に必ず利用規約を確認してください。
キャラクター・ブランドロゴと著作権の関係は、学校研修でも関心の高いテーマです。公式サイトを使って確認する方法なども含め、研修ではどのような内容を扱っているかを研修テーマ一覧ページでご覧いただけます。
キャラクターを使った著作権教育の実践アイデア
学校で使う美術の著作物にはさまざまな種類があることがわかりました。行事の看板制作や図工・美術・技術・家庭科の作品づくりの前に、著作権についてひと言触れてみることで、自然な学びの場が生まれます。
子どもたちが何かを制作するとき、他の人の著作物を参考にしたり使いたくなったりする気持ちはよくわかります。そのときに大切にしてほしいのが「自分にも著作権がある」という感覚です。自分が生み出したもの・作った著作物にも著作権があるということを、ぜひ知らせてあげてください。
実践例:新しいキャラクターを考えてみよう
ポケットモンスターや妖怪ウォッチなど既存のキャラクターの魅力をプレゼンさせ、「どこが魅力なのか」「どんな特徴があるのか」を子どもたち自身に分析させる実践はいかがでしょうか。
授業の過程で必要と認められる範囲であれば、著作権法第35条により、キャラクター画像等をプレゼン資料に載せて利用できる場合があります。(もちろん、必要以上に多く使う・授業外に公開する・学校外のイベントやSNSに掲載するといった利用は別に考える必要があります。)
このとき「授業の中だからできている」ということを同時に伝え、「学校の外ではできない理由は何だろう?」を一緒に考えさせることで、著作権の理解がより深まります。GIGAスクール端末を使えば、1人1台で公式サイトを調べる活動も可能です。
なお、無料イラスト素材サイトの利用規約比較については「【学校で著作権侵害をしないために】無料イラスト素材の利用規約を比較解説します」もあわせてご覧ください。

まとめ:キャラクター・ロゴを学校で使う際のポイント
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 公式サイトで確認する | ウワサではなく各権利者の公式サイトで方針を確認する |
| 授業の過程かどうか | 著作権法第35条の対象になるか確認する |
| 必要な範囲かどうか | 必要以上に多く使っていないか確認する |
| 授業外への流出に注意 | SNSへの掲載・授業外への公開は別途考える必要がある |
| 「著作権フリー」に注意 | 著作権フリーでも著作権を放棄していない場合がある |
| 利用規約を読む | いらすとやを含め、使用前に利用規約を必ず確認する |
今回は制限のある著作物を中心にご紹介しましたが、著作権フリーの素材・パブリックドメイン・著作権の保護期間が切れた美術作品など、使える選択肢もあります。「ダメ」を教えるだけでなく、「こうすれば使える」という前向きな情報も子どもたちに伝えていきましょう。
著作権教育と同時に、著作者・著作物、そして文化を守る心・文化を育てる心——そういった価値観を育てることも、同じくらい重要だと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 文化祭の看板にキャラクターを使っていいですか?
A. 教育課程上の学校行事・特別活動として行われる場合、著作権法第35条の「授業の過程」に当たる場合があります。その場合でも、必要と認められる限度内であること、著作権者の利益を不当に害しないことが前提です。
Q. いらすとやの画像は著作権フリーですか?
A. 無料で使えますが、著作権は放棄されていません。著作権はすべてみふねたかし氏に帰属しています。使用前に公式サイトの「ご利用について」で利用規約を確認してください。
Q. 公式サイトで著作権の情報を確認するにはどこを見ればいいですか?
A. 各公式サイトの「著作権について」「ご利用について」「法的制約と使用条件」「リーガル」などのページを確認してください。これらのページに、どのような利用が認められているかが記載されています。
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この記事は、動画「学校でキャラクターを使う際の著作権|ポケモン・ディズニー・いらすとやの公式ルールを確認」をもとに作成しました。



