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国語の授業時に学校で著作権教育をしてみよう!

「言語の著作物」を使って学校で著作権教育をしてみよう!学校著作権ナビ 動画
学校著作権ナビ 動画

知的財産権・著作権で出てくる「著作物」について、

1.著作物の種類
2.各著作物を学ぶ方法
3.著作物に応じた教育

をシリーズで紹介します。
今回は「言語の著作物」を取り上げます。

 

学校での著作権の取り扱いについてはこのサイト・YouTubeチャンネル「原口直の学校著作権ナビ」で解説しています。まずは「学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」の動画をご覧ください。

 

「言語」の著作物は著作権法が定める「著作物」の一番初めに書かれています。それくらい身近なものです。
国語の入試問題で対象となる作品がごっそり抜けているのを見た時、著作権の保護期間が切れた名作が揃っているサイトを見たりした時、絵本の読み聞かせ動画が問題になった時などに言語の著作権を意識します。

学校で言えば教科書等はもちろんのこと、子どもたちが書いた文章である作文やワークシートも言語の著作物です

 

漫画を使って学校で著作権教育をしてみよう!」の動画では、違法行為として「海賊版」という言葉を紹介しました。本では「自炊」という言葉が著作権に関わる言葉として話題になっています。自炊についても紹介します。

 

 

原口 直の学校著作権ナビ」では、学校に関わる著作物や著作権、著作物の扱いについて現場目線を大切にわかりやすくお話ししています。

 

 

「言語の著作物」の種類

著作権法では「著作物」をこのように紹介しています。

 

(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

 

一番始めが「言語」の著作物。具体的には「小説、脚本、論文、講演その他」とあります。

言語の著作権を管理する団体を調べるために、授業目的公衆送信補償金等管理協会のサイトにおいて2021年6月時点で社員として公表されている新聞教育著作権協議会・言語等教育著作権協議会・出版教育著作権協議会の14団体の名称を見ると、

新聞、学術、文藝、脚本、シナリオ、雑誌、書籍、自然科学書、医書、電子書籍、児童図書、専門新聞

とありました。いかに幅広いかがわかると思います。
その分、子どもたちにも目に触れやすく、著作権教育のきっかけはいくらでも作れそうです。

 

 

「言語の著作物」の著作権を学ぶ方法

14団体のサイトに、特に著作権や著作権教育について書かれているサイトは、以下の3つでした。

 

一般社団法人日本書籍出版協会
一般社団法人日本雑誌協会
公益社団法人日本文藝家協会

 

日本書籍出版協会

 

日本書籍出版協会には「著作権Q&A」というページがあり、10のジャンルとこれに紐づく具体的な質問が載っています。

引用・転載、利用許諾の取り方、奥付、電子媒体への利用から、読み聞かせや図書館等の使用、TPPに関することというジャンル分けがされています。
仏像の写真の著作権、©マークの付け方、読み聞かせボランティアに交通費を払うことは無許諾でできるかといった具体的な質疑が掲載されています。

やさしい言葉で書いてあるので、興味のある中学生や高校生以上でしたら、教材として使える内容です。

 

日本雑誌協会

日本雑誌協会のサイトには(2022年4月時点)漫画で紹介した『STOP!海賊版』のバナーがトップに出てくるのが印象的です。

見やすいなと感じるのは、読む対象によってアクセスする情報を分けていることです。
「読者・著作権者」「書店・販売会社」「印刷会社・製版会社」「広告主・広告会社」と4つに分けてあります。

「著作権・教育複製関連」の「<出版社向け>教育機関による出版物利用の在り方について(最新版 ver.1.1)」にはSARTRASや35条のことが書かれています。普段は学校側として見る35条を、著作者側の立場から見ることができます。

 

SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)がどのような団体なのか?どんな役割があるのか?について「【教員のための著作権解説】SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)とは?」で解説しました。

 

日本文藝家協会

日本文藝家協会のサイトは、最も著作権教育に活かせる資料がそろっています。

トップページには『「引用」ってなに』『著作権Q&A』が紹介されていて、PDFでダウンロードすることができます。無料で読めてしまっていいの?と思うほどの充実した内容です。
言葉もやさしく書いてあり、ルビはありませんが小学校高学年から理解できる内容です。何よりもさすが文藝家協会さんで言葉が美しい!流れるように読めて、すっと頭に入ってきます。

『著作権Q&A』の中の学校関連を一部紹介すると、
「教科書に載っている物語を劇にして、校内の発表会で上演する」という内容でした。
「結末を変える」「登場人物の人格がまったく違うような印象のセリフにする」ような改変は著作者・著作権者が許諾しないケースが多いという回答でした。
どうすれば上演できるか、という解決策も載っていますのでぜひお読みください。

また「学校長が学校だよりに小説、随筆の一部や詩を紹介している」という内容では、「完全に著作権侵害です。」とあります。
第35条の「授業」の範囲についてと、教職員向けの著作権研修やCRICの冊子を紹介しています。

 

著作権法の条文の中で教員が特に知っておきたいのが第35条。その内容を「【教員のための著作権解説】著作権法 第35条って何?」の動画で解説しています。

 

 

「言語の著作物」を使った著作権教育の方法

学校で「言語」の著作物を使うことを考えてみましょう。国語だけではありませんので、多すぎて困るほどです。

教員が意識するのは、先ほど出てきた「改変」や「上演」そして「授業」の範囲外の使用です。
「改変」は、脚本の結末を変えるだけでなく、漢字だったものを平仮名にする、文章を削除して「(中略)」と書かない等も該当します。
教材だから、という理由で安易に考えないように心がけましょう。

 

学習指導要領の中の言語の著作物についての記載は、中学校国語に

比較や分類,関係付けなどの情報の整理の仕方,引用の仕方や出典の示し方について理解を深め,それらを使うこと。

とあります。

 

どの学年・どの科目において著作権について触れられているのか?、学習指導要領を確認してみました。「【教員のための著作権解説】学習指導要領の中での著作権の扱い」の動画で結果をお話しています。

 

CRICの「5分でできる著作権教育」の小学校国語には、遠足の思い出の写真を見ながら俳句をつくるという国語の授業場面を想定した事例が紹介されています。
作品には著作権がある、マネをしてはいけないだけでなく、似通った作品ができることについても触れているところが興味深いです。
同じ資料の中学校国語では、引用の仕方について掲載されています。

 

本の自炊代行業は著作権侵害に当たる

冒頭に紹介した「自炊」=「書籍を裁断・スキャンして電子化する行為」です。
自炊行為を代行業者が行う場合は著作権侵害に当たると、2014年に判例が出ています。2011年に浅田次郎さん、東野圭吾さん、林真理子さんら7人が代行業者を提訴した結果です。買った人が自炊するのは私的複製ですが、業者が大規模に客を募って行うのは私的複製にあたらないという主張でした。

 

 

子どもたちに指導するときは、漫画の海賊版と同じように、自炊についても初めから頭ごなしにダメと言ったり、法律や権利を教え込むという形ではなく、自炊に関わる様々な人たちの考えや主張を考えさせたり、解決策を考えさせたうえで、法律を伝えるとよいと思います。

応用編として「青空文庫」等の保護期間が経過した小説を集めたサイト、図書館で貸し借りができる仕組み、電子書籍等の子どもに身近な著作権の疑問について触れると考えが深まるでしょう。

 

 

まとめ:国語の授業時に学校で著作権教育をしてみよう!

今日は「言語の著作物」について紹介しました。

 

教員・子どもにおすすめの著作権を学べるホームページ・書籍については「【子ども・教員向け】著作権を学べるウェブサイトはコレだ!」「【子ども・教員向け】著作権を学べるおすすめ3冊の本を紹介!」の動画でも紹介しています。併せてご覧ください。

 

幼少期から絵本に触れたり、小学校では読書の時間を設けたり、言語の著作物に触れる機会は小さな子どものころからあります。また、既存の資料を使ったレポートやプレゼンテーションづくりも様々な教科で出てくる活動です。

軸となる国語を中心に、教科をまたいで指導できる環境をつくることを期待します。

 

ウェブサイトの記事の内容は動画と同じです。
動画「国語の授業時に学校で著作権教育をしてみよう!」も是非ご覧ください。

学校の先生や保護者の方も著作権の知識が必要です。学校での著作権に関する情報は、研修や講習などでもお話をしています。(研修事例はこちら)国公立中学校での実践経験の中で培った現場目線を大切にしながら、各学校の実情やお悩みに沿って研修内容を考えます。ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭。東京都公立中・東京学芸大学附属世田谷中に勤務。

2020年より学校勤務経験を活かして机上の法律と学校現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を始め、YouTube・ウェブサイトにおいて教員・教育実習生が著作権を学ぶためのコンテンツを発信している。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー

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