学校で地図を使う際の著作権を徹底解説|修学旅行や部活動で気をつけること

地図を使って学校で著作権教育をしてみよう(遠足のしおりや部活の試合案内に地図・駅構内図を使うときの注意点) 学校著作権ナビ 動画
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いろいろな著作物で学校教育シリーズ。今回は「地図」です。

知的財産権・著作権に出てくる著作物について、

1.著作物の種類
2.各著作物を学ぶ方法
3.著作物に応じた教育

をシリーズで紹介します。
今回は「地図」を取り上げます。

「地図」は、遠足や修学旅行などのしおりに駅構内図を使ったり、部活動などで校外に出る時に集合場所や会場の場所を知らせる時に使ったりします。紙やデジタルでも案内を生徒や保護者・他校の教員に配る時に、画面キャプチャや図を保存でコピペ・丸で囲んで矢印を書いて、なんてことも技術上はできてしまいます。
このように学校の中にも「地図」の著作物はたくさんあります。

今回は私が最もよく使う、「Googleマップ」「駅の構内図があるJR東日本のサイト」の著作権について公式サイトの見解を見てみます。

 

まず「地図」は、知的財産権の中の著作権の一つです。様々な著作物の中の一つとなっています。

原則…著作権のルールは「作品は作った人のもの」
だから、使う時・増やす時・変える時には作った人に許諾が必要で、学校は例外です。

 

学校での著作権の取り扱いについてはこのサイト・YouTubeチャンネル「原口直の学校著作権ナビ」で解説しています。まずは「学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」の動画をご覧ください。

 

 

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地図の著作権とは?教育現場での具体的な事例を解説

著作権法は全124条あり、その中に著作物と定められているものが第2章の中にあります。

 

(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

 

6つ目に「地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」とあります。
学校で使う「地図」とはどのような場面であるでしょうか。

 

著作権法第10条に例示されている著作物を使った著作権教育のやり方については、再生リスト「著作権教育のおすすめ教材」にまとめました。

 

学校や教育現場での地図利用のシチュエーション

遠足や修学旅行のしおり

校外での活動の際に児童生徒が集合場所に決められた時刻に集まれるかどうかは、教員が最も気を張る場面の一つです。教員自身も実踏と言われる下見で確認をしたり、旅行代理店の担当者から細かく指示を受けたりします。

特に駅や集合場所がリニューアルされて目印がなくなってしまったとか、去年と違う場所にしなければいけないとかそういった心配から、既存の地図を使って事前に説明したり、「しおり」に記載したりします。

例えば、「集合場所はここ」と東京駅の団体待合所を、JR東日本のサイトにある東京駅構内図の地図を使うことがあります。平面図はもちろん立体図もあります。
特に色々な駅からそれぞれの路線で集合する場合には、各線からの導線も気になります。また、集合場所に最も近いトイレもチェックしなければなりません。お見せできないのが大変残念ですが、公式サイトの構内図は最も情報が正確で見やすいです。

 

 

部活動の練習や試合などの案内

部活動の練習や試合などで学校以外で集合する場合、「○○駅の△△口のナントカという銅像の前に集合」とか「□□の交差点にある公園に集合」とか。
こういった時には明確な場所の指示が必要です。携帯電話を持たせない場合は特に迷子や遅刻への対応は、顧問が最も気を張る部分です。

また、「○○中学校で試合があるけれど土日は正門が開いてないから東側のここから入ってください」とか、「ここに自転車を置かないでください」とか、地図で指示をすることがあります。

これらの指示をする際、会場校のウェブサイトにあるオリジナルの地図を使うこともあるでしょう。
また、GoogleマップやYahoo!地図・地図マピオンなど既存の地図を使うこともあります。
最近では学校のウェブサイトにGoogleマップが埋め込まれていたりします。

 

地図は著作物ですので使用には注意が必要です
まず、学校の例外に照らして「授業」にあたるか?教科の授業・学活・特活・行事・部活動にあたるか?を確認しましょう。
次に「著作権者の利益を不当に害しているかどうか?」を確認しましょう。しおりへの地図挿入は「不当に害している」と著作者に考えられている場合があります。

 

学校での著作権を理解するには著作権法35条を知る必要があります。一体何が書いてあって、学校とどう関係があるのでしょうか?「【教員のための著作権解説】著作権法 第35条って何?」の動画で解説しています。

 

 

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GoogleマップとJR東日本の駅構内図を使う場合の著作権注意点

しおりへの地図が載せられない可能性があるというならば、著作権者がどう示しているかを調べるまでです。今回はGoogleマップとJR東日本の構内図の著作権について調べてみます。

詳しくはYouTube動画をご覧ください。

 

ウェブ上のイラスト素材・写真素材を使う場面が学校では多くあると思います。これらの著作権がどうなっているか、利用規約を見てみました。「【学校で著作権侵害をしないために】無料写真素材の利用規約を比較解説します」「【学校で著作権侵害をしないために】無料イラスト素材の利用規約を比較解説します」の動画をご覧ください。

 

 

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地図を用いた著作権教育の実践方法

「地図」は学校で他人が作った物を使うこともありますが、子どもたちが作る場面も少なからずあります。

考えられる場面は、生活科や社会科。総合でも作る場面が多いかもしれません。また、修学旅行や職場体験・高校訪問などの活動報告で発表をする際に、提示資料に地図を書くこともあるでしょう。
ここでは作り手としての著作権の意識を話すことができます。

一方、他人が作った物を使う場面です。
授業では様々な地図を目にする場面があると思います。
社会科は言うまでもありませんですが、時代で異なる地図は音楽の鑑賞にもありますし、校外活動では観光に適した地図、学校の場所を示すオリジナルの地図にはアクセスしやすいように簡素化したものもあります。

こういった資料を示す際に、©マークやいつ・誰が作ったものか?が書いてあることが多いです。
授業の制作の場面で、地図について話すのは有効だと思います。

 

Googleアースを使った音楽の授業教材作りについて「【授業で使うGoogleアース】歌唱共通教材のゆかりの地マップ作り」の動画でお話しています。興味ある方は是非ご覧ください。

 

 

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まとめ: 教育現場で地図を使う際の著作権ルールと注意点

今日は著作権「地図」についてお話ししました。

学校の中で頻繁に用いられる地図。学校は許諾不要ですが、外ではルールが異なり許諾が必要ですのでお気を付けください。
また、著作権教育と同時に著作者や著作物そして文化を守る心を育てる教育も同じくらい重要です。ぜひ考えてみてください。

 

この記事の内容は動画と同じです。
動画「地図を使って著作権教育をしてみよう-しおりに地図・駅構内図を使うときの注意点-【社会・生活・総合・校外活動】」も是非ご覧ください。

学校での著作権については研修・講習・授業などでお話をしています。(事例→先生向け研修生徒向け授業司書向け研修)国公立中学校での実践経験の中で培った現場目線を大切にしながら、各学校の実情やお悩みに沿って研修内容を考えます。ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭。東京都公立中・東京学芸大学附属世田谷中に勤務。元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー。

2020年より学校勤務経験を活かして机上の法律と学校現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」としての活動を開始。教員・教育実習生・子どもに著作権への理解を深めてもらうための講演活動・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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