地図の著作権|修学旅行のしおり・部活動の案内に使うとき学校で気をつけること

地図を使って学校で著作権教育をしてみよう(遠足のしおりや部活の試合案内に地図・駅構内図を使うときの注意点) 学校行事・広報・SNS
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遠足や修学旅行のしおり、部活動の試合の案内。学校では、他人が作った地図を使う場面がたくさんありますね。

この記事では、地図の著作権の基本と、しおりや案内に地図を載せるときに学校で確認したいポイントを整理します。あわせて、Googleマップと駅の構内図を例に、地図サービスの規約の読み方と子どもたちと地図を通して著作権を考える授業のヒントも紹介します。

地図は、著作権法第10条第1項第6号で著作物の例として挙げられています。学校で他人の地図をしおりや案内に載せるときは、まずそれが第35条でいう「授業」の過程での利用か、著作権者の利益を不当に害しないかなどを確認します。授業の範囲を超える場合は、引用などほかの規定にあたる場合を除き、地図サービスの規約で認められた使い方かを確認し、認められていなければ許諾を得ることになります。

 

学校での著作権を理解するには著作権法35条を知る必要があります。一体何が書いてあって、学校とどう関係があるのでしょうか?「【教員のための著作権解説】著作権法 第35条って何?」の動画で解説しています。

 

 

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地図にも著作権はある?著作権法第10条の「地図」

著作物をコピーしたり配ったりするときは、原則として著作権者の許諾が必要です。ただし学校の授業では、著作権法第35条により、一定の条件のもとで許諾なく使うことができます。地図も、この著作権で保護される著作物の一つです。

著作権法第10条は、著作物の例を次のように挙げています。

(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

6つ目に「地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」とあります。あくまで「例示」なので、どんな地図でも必ず著作物になるわけではありません。それでも、学校で目にする地図の多くは、誰かが工夫して作った著作物だと考えておくのが安心です。

 

 

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学校で地図を使うのはどんなとき?しおりと部活動の案内

遠足や修学旅行のしおり

校外での活動の際、児童生徒が決められた時刻に集合場所へ集まれるかどうかは、教員が最も気を張る場面の一つです。教員自身も、実踏と呼ばれる下見で確認したり旅行代理店の担当者から細かく指示を受けたりします。

駅や集合場所がリニューアルされて目印がなくなった、去年と違う場所にしなければいけない。そんな心配から、既存の地図を使って事前に説明したり、しおりに載せたりします。

例えば、東京駅の団体待合所を「集合場所はここ」と示すために、JR東日本のサイトにある東京駅の構内図を使うことがあります。平面図だけでなく立体図もあり、いろいろな路線から集合する場合の各線からの動線や集合場所に最も近いトイレまで確認できます。公式サイトの構内図は情報が正確で見やすいのです。

▶ 動画では2:27〜で詳しく解説しています

 

部活動の練習や試合などの案内

部活動の練習や試合で学校以外の場所に集合する場合、「○○駅の△△口の銅像の前」「□□の交差点にある公園」のように明確な場所の指示が必要です。携帯電話を持たせない場合は特に、迷子や遅刻への対応で顧問が最も気を張る場面です。

「○○中学校で試合があるけれど、正門が開いていないので東側のここから入ってください」「ここに自転車を置かないでください」と、地図で指示することもあります。その際、会場校のウェブサイトにあるオリジナルの地図を使うこともあれば、GoogleマップやYahoo!地図、マピオンなどの既存の地図を使うこともあるでしょう。

紙でもデジタルでも、画面をキャプチャして保存し、丸で囲んで矢印を書き込む。技術的には簡単にできてしまいます。だからこそ著作権の確認が欠かせないのです。

▶ 動画では3:58〜で詳しく解説しています

 

 

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しおりに地図を載せていい?学校で確認したい2つのポイント

しおりや案内に他人の地図を載せるときは、次の2つを順番に確認しましょう。

1つ目は、その活動が「授業」にあたるかです。
第35条の「授業」には、教科の授業だけでなく学級活動・学校行事などの特別活動や部活動も含まれます。修学旅行のしおりや部員に配る試合の案内は、この確認から始めます。

2つ目は、著作権者の利益を不当に害しないかです。
不当に害するかどうかは、著作権者の考え方で決まるのではなく、第35条の条件に照らして判断されます。その目安となる運用指針では、地図は、授業に必要と認められる限度内であれば、全部を複製しても不当に害しない可能性が高い例に挙げられています。

このほか、第35条には、公表された著作物であること、授業に必要と認められる限度であることなどの条件もあります。条件の全体は次の記事で確認してください。

もう一つ気をつけたいのが誰に配るかです。

配る相手・場面考え方
修学旅行・遠足のしおりを児童生徒に配る学校行事は「授業」に含まれます。第35条の条件を満たすかを確認します
部活動の試合案内を部員に配る部活動も「授業」に含まれます。同じく第35条の条件を確認します
保護者や他校の先生に向けて案内を配る授業の過程での利用とはいいにくく、第35条の範囲外になると考えられます。地図サービスの規約で認められた使い方かを確認し、認められていなければ許諾を得ましょう

 

 

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Googleマップと駅の構内図は?各社の規約を確認する

第35条の範囲を超える使い方をする場合や、範囲にあたるか迷う場合は、地図を作った会社がどう示しているかを調べてみましょう。
ここでは、学校著作権ナビゲーターとして私がよく使う「Googleマップ」と「JR東日本のサイトの駅構内図」を例に、動画を公開した2022年8月時点の内容を紹介します。最新の内容は各社の公式サイトでご確認ください。

 

Googleマップ

Googleマップの画面右下にある「利用規約」を開くと、「Googleマップ/Google Earth追加利用規約」があります。その中で、具体的にどんな使い方が認められているかは、使い方と許可に関するガイドラインのページを見るよう案内されています。

ガイドラインでは、Googleの利用規約に従い、権利帰属(著作権の表示)がはっきり示されていれば用途に応じて画像を使えるとされていました。また、印刷物で使う場合のページには、書籍、レポートやプレゼンテーション、ガイドブックなど、用途ごとの可否をまとめた表があります。しおりや部活動の案内に印刷して使う場合は、このページをよく読んでおきましょう。

授業でスクリーンショットを使うときの条件や、しおりに載せる・PDFで配るときの注意点は、次の記事で詳しく整理しています。

Googleマップのスクショは授業で使える?著作権法第35条と利用規約の条件
授業や修学旅行のしおりでGoogleマップのスクリーンショットを使うとき、著作権法第35条とGoogleの利用ガイドラインのどちらを見ればよいのでしょうか。授業での利用条件、しおりへの掲載、PDFで配る場合、トリミングや改変の注意点まで、学校現場の判断軸を整理します。

▶ 動画では6:19〜で詳しく解説しています

 

JR東日本の駅構内図

JR東日本のウェブサイトには「ご利用にあたって」というページがあり、著作権についての記載があります。2022年8月時点では、サイト上のコンテンツの著作権は原則として同社にあるとしたうえで、写真・ロゴ・画像・文章などの複製・転用・転載・送信・頒布などを一切断る、とされていました。

授業にあたるか、著作権者の利益を不当に害しないかをよく吟味する必要があります。なお、契約で複製が禁じられている著作物を授業で使う場合の扱いは、運用指針でも今後の検討事項に挙げられています。ウェブサイトに掲示された利用条件がこうした契約にあたるかも含めて考え方が分かれるため、迷ったときはJR東日本に確認すると確実です。

▶ 動画では8:51〜で詳しく解説しています

学校でよく使う写真やイラストの素材サイトの規約については、次の記事や動画もご覧ください。

学校で撮った写真はどこまで使える?著作権・肖像権の判断ポイントを解説
行事や授業で撮った写真は、学校ホームページ・学級通信・掲示物にどこまで使えるのでしょうか。無断で載せてよいのか迷ったときの判断ポイントを、著作権と肖像権の両面から、教職員向け著作権研修の講師が学校の場面に即して解説します。
学校でイラストを使うときの著作権|授業・学校だより・Web掲載で変わる確認点
学校でイラストを使うときの著作権を、授業・学校だより・学校ホームページの場面別に解説します。フリーイラストの利用規約で確認したい項目、子どもが描いた絵を使うときの注意、子どもへの伝え方までまとめました。

 

 

地図を使った著作権教育の実践方法

地図は、他人が作ったものを使うだけでなく、子どもたちが作る場面も少なくありません。生活科や社会科、総合的な学習の時間で地図を作ることもあれば、修学旅行や職場体験、高校訪問の活動報告で、発表資料に地図を描くこともあるでしょう。こうした場面では「作り手」としての著作権の意識を話すことができます。

一方で、他人が作った地図を目にする場面もたくさんあります。社会科は言うまでもありませんが、時代によって異なる地図は音楽の鑑賞にも出てきますし、校外活動では観光用の地図や学校の場所をわかりやすく簡素化したオリジナルの地図もあります。こうした資料には©マークや、いつ・誰が作ったものかが書いてあることが多いですね。授業で地図を作る場面に、こうした表示に目を向けて話してみるのも有効でしょう。

▶ 動画では10:04〜で詳しく解説しています

 

Googleアースを使った音楽の授業教材作りについて「【授業で使うGoogleアース】歌唱共通教材のゆかりの地マップ作り」の動画でお話しています。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. 地図にも著作権はありますか?
A. 著作権法第10条第1項第6号は地図を著作物の例に挙げています。Googleマップや駅の構内図、会場校のウェブサイトの地図など、他人が作った地図を使うときは著作権を意識しましょう。

Q. 修学旅行のしおりに地図を載せてもいいですか?
A. 修学旅行などの学校行事は、第35条の「授業」に含まれます。児童生徒に配るしおりであれば、授業に必要と認められる限度か、著作権者の利益を不当に害しないかなど、第35条の条件を満たすかを確認しましょう。地図サービスの規約もあわせて確認しておくと安心です。

Q. 部活動の試合案内に地図を使うのは「授業」にあたりますか?
A. 運用指針では部活動も「授業」に含まれるとされています。部員に配る案内であれば、修学旅行のしおりと同じように第35条の条件を確認します。

Q. 保護者や他校の先生にも案内を配る場合は?
A. 保護者や他校の先生に向けて配る案内は、授業の過程での利用とはいいにくく、第35条の範囲外になると考えられます。地図サービスの規約で認められた使い方かを確認し、認められていなければ許諾を得ましょう。

 

 

まとめ:学校で地図を使うときの著作権の確認ポイント

地図は、学校の中で頻繁に使われる著作物です。授業(学校行事や部活動を含む)の過程で使う場合は、第35条の条件を満たせば許諾なく使えます。一方、保護者や他校の先生に向けて配るなど授業の範囲を超える場合は、引用などほかの規定にあたる場合を除き、地図サービスの規約で認められた使い方かを確認し、認められていなければ許諾を得ることになります。

そして、著作権を学ぶことと同じくらい大切なのが、著作者や著作物、そして文化を守る心を育てることです。正しく知って正しく使う。地図という身近な著作物から子どもたちと一緒に考えてみませんか。


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この記事は、動画「【学校での地図利用】著作権の基本ルールを徹底解説|修学旅行・部活動での注意点」をもとに作成しました。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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