学校で生成AIを使うときの著作権──入力・出力・SNS公開まで先生が押さえるべき注意点

生成AI活用(校務・授業)
生成AI活用(校務・授業)
本サイトはアフィリエイトプログラム等による収益を得ています
PR
先生のための生成AI活用講座
授業や校務での実践的な生成AI活用法について、コピペしてすぐに使えるプロンプトやリスク対策も含めて、教職員に必要な情報を紹介しています。

先生のための生成AI活用講座
授業や校務で使える実践的な生成AI活用法を紹介。コピペして使えるプロンプトやリスク対策も含めて、生成AI初心者でも生成AIがすぐに使えるよう分かりやすく解説しています。

生成AIは授業準備や校務に役立つツールとして、学校現場への普及が進んでいます。一方で、「どこまで使っていいのか」「著作権的に問題はないのか」と悩む先生も多いのではないでしょうか。

この記事では、学校で生成AIを使う際に特に気をつけたい著作権のポイントを、入力・出力・公開という3つの場面に整理して解説します。文部科学省が令和6年12月26日に公表した「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」の内容もふまえています。

 

 

PR

著作権研修の講師を承っています
本記事の内容を含め、学校現場に合わせた著作権研修を行っています。
研修テーマ一覧を見るお申込み・ご相談

基本的な考え方

生成AIとは

生成AIとは、大量のデータを学習して新しい文章・画像・音楽などを生成する技術です。学校の中では、学校だよりの下書き、授業計画の案出し、テスト問題の作成補助など、校務・授業の両面での活用事例が増えています。

 

著作権の原則と学校における例外

著作権の基本は「他の人が作ったものを大切に守る」こと。作品は作った人のもので、使用・複製・改変には許諾が必要です。

ただし著作権法第35条により、学校の授業目的であれば一定範囲で許諾なく著作物を利用できます。この例外は授業を担任する教員、または授業を受ける児童生徒による、授業の過程での利用に限られており、SNSやWebへの一般公開には適用されません

 

生成AIと著作権が交わる点

生成AIは大量の既存データを学習して出力を生成しているため、出力結果が他の著作物に類似する場合があります。そのような場合には著作権侵害のリスクが生じることがあります。文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月)では、生成物の著作権侵害は「類似性」と「依拠性」によって判断されるとされています。

 

▼学校での著作権に関する記事まとめ

著作権の基礎(用語・考え方)

著作物・著作者・権利(財産権/人格権)・引用など、学校で特に押さえたい基本用語と考え方を整理します。条文や公的資料の読み方も含め、基礎から確認できるページです。

第35条・運用指針

授業目的の利用に関わる著作権法第35条と、関連する運用指針・ガイドラインの要点を紹介します。学校で確認すべき観点(対象・範囲・留意点)を一次情報をもとに整理します。

 

 

PR

注意すべき場面と対応

(1)入力(プロンプト)のとき

  • 有名キャラクター名・商標など、著作権や商標権が絡む名称をプロンプトに含めない
  • 生成の過程(プロンプトのやりとり)を記録しておく
  • 出力が出てこない場合に何度も試行するプロセスも、後から確認できるよう残しておく

 

(2)出力結果の確認

  • 他の著作物に類似していないか確認する
  • 「何かに似ているな」と思ったら、そのまま使用しない
  • 学習教材や配布物として使う場合は特に慎重に

こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマの一覧もご覧ください。

 

(3)SNS・Webへの公開

著作権法第35条の範囲は「教員から児童生徒」に限られます。SNSやWebは誰でも閲覧できるため、第35条の範囲外となります。生成AIで作成したコンテンツをSNSや学校ウェブサイトに掲載する場合は、著作権上の問題がないかをあらためて確認してから公開してください。保護者が見るクラスだよりなども同様です。

 

 

PR

生成AI画像の著作権

文章だけでなく、画像生成AIを授業や校務で活用するケースも増えてきました。ここでは「学校で生成AI画像を使う場合」に特化して整理します。

 

AI生成画像には、原則として著作権が発生しない

文化庁の見解では、AIが自律的に生成した画像は「思想または感情の創作的表現」にあたらないため、原則として著作権は発生しません。ただし、人間が具体的な意図をもって詳細な指示を与え、生成物の選択・編集・加工にも主体的に関与した場合は、その人に「創作的寄与」があるとして著作権が認められる可能性があります。

 

学校で使う際のリスク

場面リスクの内容
有名キャラクターに似た画像を出力させた著作権侵害のリスクあり
授業の印刷物に貼付(教室内のみ)第35条の範囲内の可能性あり
学校サイト・SNSに掲載第35条範囲外。著作権上の問題がないか要確認
特定のイラストレーターの作品に酷似した表現が出力されるよう誘導するプロンプト著作権侵害のリスクあり

 

特に注意したいこと

「有名キャラクターっぽい絵を出してほしい」「〇〇先生(実在のイラストレーター)風に描いて」といった指示は、既存の著作物への依拠性が推認されやすく、リスクが高いです。また、出力したAI画像が偶然既存のイラストに似てしまった場合も、学習データとの依拠性が問われる可能性があります。

学校での画像生成AI活用は、こうした点を確認した上で慎重に進めてください。

 

35条の範囲を超えた著作物の違法な利用について「先生がやりがちな著作権違反(授業と部活・職員会議・研究会の違いとは)」で、よくあるケースをお話しています。
先生がやりがちな著作権違反(授業と部活・職員会議・研究会の違いとは)
教員が著作権についてよく分からない、これは当たり前のことです。学習指導要領に知的財産権(著作権)が載ったのは、平成20年3月の告示の学習指導要領からです。それまでは小・中・高校の学習指導要領にありませんでしたので、その時に学んだ人は著作権に...

 

 

PR

授業での活用と第35条の実践

ガイドラインにはテスト問題の下書き作成、教材の案出しなど、授業での具体的な活用例が掲載されています。パイロット校(研究校)の実践事例も文部科学省のサイトで紹介されています。

授業内で生成AIを活用する際は、著作権法第35条の「授業の目的上必要と認められる限度」という範囲を念頭に置いてください。その範囲は限られており、学校の外に出す場合(公開・配布など)は原則に戻り、許諾が必要になります。

 

▼児童生徒への著作権指導のポイント、他の教員へ著作権について指摘する際のコツを紹介します。

著作権教育の実践方法|教員が小学生に教える3ステップと授業アイデア
「著作権をどう教えればいいか分からない」とお悩みの先生へ。法律の話よりも先に伝えるべきこととは?「学校は例外」の正しい教え方や、子供自身を著作者にするワークショップ形式の授業事例を紹介します。全教科に応用可能な3ステップ。
SNS時代の中学生向け著作権授業|「自分も著作者」の視点と写真・音楽のリアルな扱い方
中学生への著作権指導に悩む先生へ。「ダメ」と言わず、SNS時代の写真・音楽のリアルな扱い方や、著作権法35条(学校の例外)をわかりやすく解説します。180円の補償金の話や、「自分も著作者」と自覚させる3つの授業構成ステップを紹介。
【学校の著作権】教員にどう伝えるか?立ち位置・伝え方・考え方の3つのポイント
研修で学んだ著作権の知識を、学校内の他の教員にどう伝えるか?「校内で1人」の難しさを克服する「立ち位置」、誤解を解く「伝え方」の5つの工夫、そして権利者の気持ちを重視する「考え方」の3つのポイントを専門家が分かりやすく解説します。

 

 

まとめ

学校での生成AI活用は、入力・出力・公開という3つの場面それぞれに著作権上のポイントがあります。特に第35条の範囲(授業目的・教員から児童生徒へ)を意識することと、キャラクター名・画風指定などのリスクの高いプロンプトを避けることが基本です。

文部科学省のガイドラインや文化庁の見解は継続的に更新されています。一次情報も定期的に確認するようにしてください。

 


生成AIの著作権対応や活用ルールについて、校内研修・出前授業のご依頼を承っています。「生成AIを使う前に知っておくべき著作権」など実践的なテーマも対応可能です。テーマ例や実施事例は研修テーマ一覧をご覧ください。お問い合わせはこちらからどうぞ。

 

▼関連する記事

文科省の生成AIガイドライン、何が変わった?新旧比較と教育現場の実務ポイント【2025年版】
文部科学省が2024年12月に公表した生成AIガイドラインVer.2.0と旧暫定版の違いを6つの観点で比較。著作権・情報モラル・校務利用など学校現場の実務ポイントを教職員向けにわかりやすく解説します。
学校で生成AIをどう教える?文部科学省ガイドラインに基づく指導の3つのポイント【2025年版】
学校で生成AIをどう教えるか——文部科学省ガイドラインをもとに、仕組みの理解・著作権・情報モラル・倫理的利用など指導の3つのポイントを解説。生成AI画像の著作権注意点や、読書感想文・コンクールへの不適切利用への対応もまとめています。
文科省ガイドラインVer.2.0はどうやって作られたか──検討会議7回の論点と変遷を解説
文部科学省「生成AIガイドラインVer.2.0」(令和6年12月公表)の策定プロセスを解説。全7回の検討会議でどのような論点が議論され、どう変化したか──会議の変遷・ポジティブ/ネガティブな意見・最終方針の転換点を、教育現場の先生向けにまとめます。

 


参考資料

「もっと体系的に学びたい」「校内で共有したい」という方へ
本記事の内容を含め、学校現場での著作権対応を体系的にお伝えする研修を行っています。
教育委員会・学校単位・研究会単位でのご依頼も受け付けています。これまでの研修例については、先生向け研修・生徒向け授業・司書向け研修をご覧ください。

研修のご依頼・ご相談は
こちらの専用ページで受け付けています。
その他のご相談などは
こちらの問い合わせページから受け付けています。

この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

原口直をフォローする
PR