【教育現場必見】文科省の生成AIガイドライン新旧比較と実務ポイント

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生成AIを教育現場で活用する際の留意点について、文部科学省はガイドラインを発表しています。

今回の記事では、「旧ガイドライン」と「新ガイドライン」を比較し、それぞれの違いとポイントを分かりやすく整理します。
これから学校で生成AIを活用したいと考えている方や、既に取り組みを始めている方にとって、非常に参考になる内容です。ぜひご一読ください。

 

この記事はYouTube動画配信日時点の情報に基づいています。必ず最新の情報と原文をご確認ください。

 

 

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ガイドラインの背景と位置付け

旧ガイドライン:暫定的な性格が強調

旧ガイドラインは「初等中等教育段階における生成AI利用に関する暫定的なガイドライン」として、2023年7月に発表されました。

この時点では、著作権や法的整理がまだ進んでおらず、「暫定的」であることが明確に示されていました。
また、文部科学省文化庁内の著作権課に設けられた小委員会において、AIと著作権に関する検討が進められていた段階でもありました。

 

新ガイドライン:現場に寄り添った実践的方針

一方、新ガイドラインは2024年12月に発表され、タイトルからも「暫定的」という文言が削除されています。これは、より現場での実践を意識したものであり、教職員や教育委員会などを対象に、具体的な方針や実務的ポイントが示されています。禁止や義務付けではなく、柔軟な活用を前提としている点も特徴です。

新ガイドライン策定にあたっては、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議」が設置され、教育・生成AIの専門家、大学の教員、教育委員会の関係者、現場の教員など、多様な立場の専門家が議論に参加しました。このような検討を経て、2024年夏から冬にかけて改訂が進められました。

生成AIの利用について:文部科学省

 

 

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構成の違いと追加されたセクション

新ガイドラインでは構成が一新され、読み手に配慮した内容となっています。特に以下の3つの場面での利用が具体的に示されています。

  1. 教職員による校務での利活用
  2. 児童生徒による学習活動での利活用
  3. 教育委員会などによる行政的観点での配慮点

また、生成AIパイロット校の事例やチェックリストなど、実務に役立つ参考資料も加えられています。

なお、ガイドラインは複数ページにわたる詳細な資料ですが、「概要1枚版」「概要資料2枚版」など、時間がない方でも把握しやすい形式の資料も用意されています。

 

生成AIを使ったことがない方は、まず「生成AI初心者必見!授業準備から情報発信までの実践例」をご覧ください。実際に使っている様子を紹介しています。
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基本的な考え方の明確化

旧ガイドラインでは生成AIの性質やメリット・デメリットが広く説明されていましたが、新ガイドラインでは「人間中心の生成AI利活用」が新たに明示されました。

  • 生成AIは補助・拡張ツール
  • 最終判断は人間が行い、生成物には責任を持つ
  • AI時代における「学びに向かう力」の涵養を重視

このように、教育的視点からの明確な立場が示されています。

 

 

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実践的な活用例と注意点

新ガイドラインでは、具体的な活用例と不適切な利用例が明示されています。

適切な活用例:

  • 英語教育における自然な表現の改善
  • プログラミング学習の高度化

不適切な活用例:

  • 定期考査での利用
  • コンクール応募作品の生成AI使用

さらに、活用時には以下の3項目が重要とされています:

  • 課題の設定
  • プロンプトの工夫
  • 真偽の確認

 

 

著作権と情報モラルの明確化

旧ガイドラインでは一般的な注意点にとどまっていましたが、新ガイドラインではより具体的な記述が追加されています。

  • 生成物が既存著作物に類似・依拠している場合、著作権侵害の可能性あり
  • 授業課程での利用は、著作権法第35条により一定範囲で許可される

情報モラル教育では、ファクトチェックや偽情報リスク、フィルターバブルへの対応など、具体的な学習活動も提案されています。これらの点も、教育現場での実践を考える上で大切な要素です。

 

生成AIを利用する際に注意したい著作権について「生成AIと著作権の注意点!学校現場での正しい使い方とは?」で詳しく解説しています。
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追加された新たな観点

新ガイドラインでは、以下の新しい視点が追加されています:

  • 情報セキュリティ:「教育情報セキュリティポリシー」に基づく対応の推奨
  • 公平性:生成AIの学習データに含まれるバイアスの認識と、人間の介在の必要性
  • 参考資料:パイロット校の活用事例やチェックリスト、リスクと懸念の具体例

 

 

まとめ:まずはガイドラインをチェックしよう

以上、「1. 目的と位置付け」「2. 構成の変更」「3. 基本的な考え方の明確化」「4. 実践的な指針」「5. 著作権と情報モラル教育」「6. 新たな観点の追加」という6つの観点で新旧ガイドラインを比較しました。

文部科学省の新ガイドラインは、教育現場で生成AIを活用する際の指針として非常に有用です。まずは文科省のウェブサイトにある概要版を確認し、現場での活用に備えましょう。

 

動画「【最新版】文科省の生成AIガイドラインを徹底比較!教育現場の実務ポイントも解説」では、さらに詳しく解説しています。
あわせて是非ご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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