今日は、教員採用試験で出題される知的財産権や著作権についてお話しします。
私が教員採用試験における著作権問題について取り上げる理由は、単に現職の教員の皆さんに勉強していただきたいからではありません。特に若手の教員は、知的財産権や著作権についてしっかりと学んで教員になっています。このことを、現職の教員の方々にも知っていただきたいのです。
知的財産権と学校での著作権運用の基本
まず、知的財産権についておさらいします。知的財産権には「産業財産権」と「著作権」が含まれます。著作権は、作品が生み出された瞬間にその創作者に自動的に発生します。
著作権法には「作品は作った人のものである」「作品を使用・複製・改変する場合には、作成者の許諾が必要である」と定められています。
ただし、著作権法の中には許諾を取らずに利用できる例外規定もあります。その一つが学校での使用です。
学校では教育活動の一環として、一定の条件下で著作物を許諾なしに使用することが認められています。ただし、これにも細かい条件があり、適切に運用するためには最新の法規やガイドラインを確認することが重要です。
令和7年度採用 東京都専門教養・高等学校情報の著作権問題を解説
今日紹介するのは、令和7年度採用の東京都専門教養・高等学校情報で出題された著作権に関する問題です。問題は次のようになっています。
問題: (問5) 著作権のうち、頒布権に関する記述として適切なものは、次の1~4のうちどれか。
1 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
2 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。
3 著作者は、その著作物について公衆送信(自動公衆送信の場合には、送信可能化を含む)を行う権利を専有する。
4 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
正解は4番です。
では、この問題の解説を行います。
この選択肢1から4は、それぞれ著作権法に示されている権利の一部です。
著作権法第21条から第28条には、著作権者が持つ様々な権利の種類が定義されています。今回の出題は、その中の「頒布権」に関するものです。
正解である4番は、著作権法第26条に定められている「頒布権」に関する記述です。他の選択肢は以下の通りです。
1番: 著作物を複製する権利は、第21条「複製権」に該当します。
2番: 著作物を公に上映する権利は、第22条の2「上映権」に該当します。
3番: 著作物を公衆送信する権利は、第23条「公衆送信権等」に該当します。
このように、著作権法第21条から第28条には、様々な権利の種類が記載されています。
著作権法第21条~28条における権利の種類とは?
著作権法には、著作権者が持つさまざまな権利が定められています。今回の問題で出題された頒布権は、著作権法第26条に記載されていますが、他にも多くの権利が著作権法第21条から28条にかけて定義されています。
第22条 上演権・演奏権: 著作者は、その著作物を公に上演または演奏する権利を持っています。
第22条の2 上映権: 著作者は、その著作物を公に上映する権利を持っています。
第23条 公衆送信権等: 著作者は、著作物を公衆に送信する権利を持ち、これにはインターネットでの配信も含まれます。
第24条 口述権: 著作者は、その著作物を口述する権利を持っています。
第25条 展示権: 著作者は、美術の著作物や未公開写真の著作物を公に展示する権利を持っています。
第26条 頒布権: 著作者は、その映画の著作物を複製物によって頒布する権利を持っています。
第26条の2 譲渡権: 著作者は、その著作物の複製物を他者に譲渡する権利を持っています。
第26条の3 貸与権: 著作者は、その著作物を公に貸与する権利を持っています。
第27条 翻訳権・翻案権: 著作者は、その著作物を翻訳、編曲、変形、映画化、またはその他の翻案をする権利を持っています。
第28条 二次的著作物の利用権: 著作者は、その著作物に基づいて作られた二次的著作物を利用する権利を持っています。
これらの権利は、著作権者の権利を守り、著作物が適切に利用されるために重要です。教職員や教育現場でも、これらの権利に留意しながら著作物を利用することが求められます。
興味を持たれた方は、ぜひ著作権法の第21条から28条にかけて記載されている他の権利についても調べてみてください。
この記事の内容は動画と同じです。
動画「【教員採用試験】著作権法第21条から28条を解説!(令和6年東京都高校情報)」も是非ご覧ください。
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