主催団体:杉並区立済美教育センター
研修テーマ:学校図書館での著作権の基礎
2025年9月、杉並区立済美教育センター主催の研修会で講師を務め、「学校図書館での著作権の基礎」をテーマにお話ししました。
今回の研修は、過去に実施した著作権研修のフォローアップも兼ねており、著作権の基本を振り返りつつ、近年教育現場で急速に普及している「生成AIと著作権」という新たなトピックについても重点的に解説するという、アップデート型の構成が特徴です。
研修の全体像(東京都杉並区・学校司書向け)
受講者と研修スタイル
今回は、東京都杉並区内の小中学校に勤務される学校司書の皆様、約65名を対象にオンライン形式(120分)で開催されました。学校図書館は、図書だよりの発行や読み聞かせ、授業支援など、著作権と密接に関わる場面が多いため、実務に直結する知識が求められます。
私の研修では、参加者との対話を重視しています。今回も、双方向コミュニケーションツール「AhaSlides(アハスライド)」を活用し、リアルタイムの投票や質問を受け付けながら進める参加型形式をとりました。
オンライン研修では一方的な講義になりがちですが、スマホやPCから意見を出せる環境を作ることで、対面以上に活発な質疑応答が行われます。研修の冒頭では、まずツールの機能に慣れていただくためのアイスブレイクを実施し、楽しみながら学べる雰囲気づくりを心がけています。
司書の皆さんに読んでいる本を聞いてみました。
研修の具体的な内容(東京都杉並区・学校司書向け)
今回取り上げた主なトピック
120分という充実した時間の中で、基礎から最新トピックまで幅広くカバーしました。
著作権の基礎・学校での著作権:基本の振り返り
オンライン授業や行事配信の留意点:SARTRASを含む最新制度の確認
学校からのよくある質問と回答の紹介:「いらすとや」などのフリー素材利用規約や、コンクール出品時の注意点など
著作権教育の実践例:生徒にどう教えるか
生成AIの学校での利活用と著作権
各社の利用規約の読み解き方
「できない」理由を探すのではなく、「こうすればできる」を見つける。そのために、現場で“すぐに使える”具体的な解決策を中心にお話ししました。
特に、図書だよりで頻繁に使用されるイラスト素材については、人気サイト「いらすとや」等の具体的な利用規約を画面に映しながら、どこを見るべきかを実践的に解説しました。
研修のポイント
今回の研修で最も伝えたかったのは、「知識のアップデート」と「前向きな教育」です。
著作権法やガイドラインは日々変化しています。かつての常識にとらわれず、生成AIのような新しい技術とも適切に向き合う姿勢が重要です。
また、子どもたちに著作権を教える際、「あれもダメ、これもダメ」と禁止事項ばかりを伝えるのではなく、「作った人の気持ちを考える」「こうすれば楽しく使える」というポジティブな視点を共有しました。
参加者の声と今後の展望(東京都杉並区・学校司書向け)
研修主催者の声
企画を担当された杉並区立済美教育センターのご担当者様からは、以下のような感想をいただきました。
オンラインでありながら非常にわかりやすく、かつ双方向性のある研修をしていただきました。 学校司書にとって非常に参考になる内容で、研修後のフォローアップ回答や資料、動画の提供まで、至れり尽くせりで感謝しております。機会を見て、AIに特化した講演もお願いしたいと考えています。
研修参加者の声
参加された学校司書の皆様から寄せられた感想の一部をご紹介します。
「毎月図書だよりを発行していますが、研修の中にもあったように、何か著作権侵害をしていなかっただろうかと不安になりました。書影とイラストは、都度利用規約の確認が必須だなと改めて肝に銘じました。また、いつも生徒に難しい顔をさせてしまうので、身近で楽しいものを例にとって説明してみようと思います」
「以前に講習を受けた内容をアップデートすることができました。特に、生成AIと著作権については勉強になりました。『うそをつかないようにすることができる』というのは初めて知り、ちょうど授業で注意を促したところだったのでタイムリーでした。著作権について教えるとき、『ダメを教えない』という視点にとても共感しました」
「今日はありがとうございました。著作権の考え方について『作った人の気持ちを考える』というのはとてもわかりやすいと思いました。子どもも大人もどうして守らなくてはいけないのか、その根っこを理解するのに明快な考え方だと感じました」
「参加型かつ流れるような進行で楽しく聴講できました。生成AIと著作権の講義、ぜひぜひ聞きたいです。まずはYouTubeを見ます。生成AIのおすすめを挙げていただいたのも大変参考になりました!」
日々の業務で忙しい中、熱心にご参加いただいた杉並区の学校司書の皆様、本当にありがとうございました。皆様の図書館活動がより豊かで安心なものになるよう、心より応援しております。



