知的財産権と著作隣接権の基礎を徹底解説【令和6年度採用山梨県高校情報 教員採用試験問題】

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今日は、教員採用試験で出題される知的財産権や著作権についてお話しします。

 

この記事は動画配信日時点の情報に基づいて作成しています。
実際に著作物を利用する際には、必ず最新の著作権法原文や運用指針などをご確認ください。

 

私が教員採用試験における著作権問題について取り上げる理由は、単に現職の教員の皆さんに勉強していただきたいからではありません。特に若手の教員は、知的財産権や著作権についてしっかりと学んで教員になっています。このことを、現職の教員の方々にも知っていただきたいのです。

 

 

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知的財産権と学校での著作権運用の基本

知的財産権とは?

まず、知的財産権についておさらいします。知的財産権には「産業財産権」と「著作権」が含まれます。著作権は、作品が生み出された瞬間にその創作者に自動的に発生します。
著作権法には「作品は作った人のものである」「作品を使用・複製・改変する場合には、作成者の許諾が必要である」と定められています。

 

ただし、著作権法の中には許諾を取らずに利用できる例外規定もあります。その一つが学校での使用です。

学校では教育活動の一環として、一定の条件下で著作物を許諾なしに使用することが認められています。ただし、これにも細かい条件があり、適切に運用するためには最新の法規やガイドラインを確認することが重要です。

 

 

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令和6年度 山梨県教員採用試験 高校情報の問題解説

今回紹介するのは、令和6年度採用の山梨県教員採用試験・高校情報の問題です。

 

問題3(2)
「次の①~⑦の文は、知的財産権のうちのどれに最も関連が深いか。下のア~クからそれぞれ一つ選び、記号で記せ。」①もの,方法、製造方法の産業上高度な発明を独占的に利用できる権利。
②ものの構造、形に関わる考案などの小発明を独占的に利用できる権利。
③小説、映画、絵画、音楽、コンピュータプログラムなどの学術的または芸術的な創造物を保護する権利の総称。
④形状,模様,色彩などのもののデザインを独占的に利用できる権利。
⑤商品やサービスに使うマークや文字などを独占的に使用できる権利。
⑥実演家、音楽CD製作者、放送事業者など、著作物の伝達に重要な役割を担う者に認められる権利。
⑦工業製品の設計や製造法、デザインなどに対して認められる権利の総称。ア 意匠権 イ 産業財産権 ウ 実用新案権 エ 商標権 オ 著作権 カ 著作隣接権 キ 特許権 ク パブリシティ権

 

正解:
「①キ ②ウ ③オ ④ア ⑤エ ⑥カ ⑦イ」

この問題は、著作権だけでなく幅広い知的財産権に関する知識が求められるため、全体的な理解が必要です。それぞれの選択肢は、著作権と産業財産権に含まれる権利を問うものとなっています。

例えば、①の「産業上高度な発明を独占的に利用できる権利」は「特許権(キ)」、②の「小発明を独占的に利用できる権利」は「実用新案権(ウ)」です。また、③の「学術的または芸術的な創造物を保護する権利」は「著作権(オ)」で、知的財産権の中でも一般的に知られた権利です。さらに、⑥にある「実演家や放送事業者に認められる権利」は「著作隣接権(カ)」に該当します。

知的財産権には、著作権以外にも多くの種類があるため、試験対策として包括的な知識が求められます。ぜひ、これらの権利の違いを把握しておきましょう。

 

 

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知的財産権の種類と関連する権利について

この問題では、著作権だけでなく、さまざまな知的財産権についての知識が問われています。冒頭で説明した通り、知的財産権は大きく分けて産業財産権と著作権に分類されます。

例えば、意匠権、商標権、特許権などは、知的財産権の中でも産業財産権に該当します。意匠権は「もののデザインを独占的に利用する権利」で、商標権は「商品やサービスに使うマークや文字などを独占的に使用できる権利」を指します。また、特許権は「高度な発明を独占的に利用する権利」です。

一方で、著作権には、音楽、映画、絵画、小説、プログラムなどの「学術的または芸術的な創造物を保護する権利」が含まれます。さらに、著作隣接権は、著作権に関連する権利であり、「実演家や演奏者など、著作物の伝達に重要な役割を担う者に認められる権利」です。

このように、知的財産権にはさまざまな権利が含まれており、それぞれの権利が異なる側面を保護しています。教員採用試験では、著作権をはじめとする知的財産権全体の理解が必要です。試験対策として、各権利の特徴や分類を押さえておくと良いでしょう。

 

 

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著作隣接権とは?俳優や演奏家の権利について解説

「著作隣接権」については、文化庁の著作権テキストに次のように説明されています。

「著作隣接権」は、俳優や演奏家など、著作物等を人々に「伝達した者」に与えられる権利です。

 

令和6年度著作権テキスト | 文化庁
令和6年度著作権テキストについて掲載しています。

 

著作物は作られただけでは広まりません。演奏家や放送事業者など、著作物を読み解き、演奏したり、複製したりして人々に伝える役割を担う人々がいます。このような著作物を伝達する人々には、著作隣接権が認められており、その範囲内で彼らの権利が保護されています。

具体例としては、「実演家人格権」や「財産権」が挙げられます。例えば、ベートーベンの曲を演奏する音楽家にも、著作隣接権が与えられます。ベートーベン自身が作曲者であっても、その音楽を現代に伝える役割を担う人々の権利も守られる必要があるということです。

著作隣接権の詳細について知りたい方は、ぜひ文化庁の「著作権テキスト」をご覧ください。

 

この記事の内容は動画と同じです。
動画「【教員採用試験】知的財産権と著作隣接権の基礎を徹底解説!(令和6年山梨県高校情報)」も是非ご覧ください。

学校での著作権については研修・講習・授業などでお話をしています。(事例→先生向け研修生徒向け授業司書向け研修)国公立中学校での実践経験の中で培った現場目線を大切にしながら、各学校の実情やお悩みに沿って研修内容を考えます。ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭。東京都公立中・東京学芸大学附属世田谷中に勤務。元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー。

2020年より学校勤務経験を活かして机上の法律と学校現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」としての活動を開始。教員・教育実習生・子どもに著作権への理解を深めてもらうための講演活動・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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