2025年2月、筑後市学校図書部会主催のセミナーで講師を務め、「学校図書館と著作権」をテーマに講演を行いました。
今回はSARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)の共通目的事業として実施されている「リクエストセミナー」の制度を使った研修でした。
講義はオンライン形式で実施し、90分間にわたって双方向コミュニケーションツール「AhaSlides(アハスライド)」を活用しながら、参加者との対話を重視した進行を行いました。
受講者と研修スタイル
今回の研修には、筑後市内の小学校・中学校の学校司書13名が参加しました。立場も教科も異なる先生方です。
研修は、AhaSlidesを活用した参加型形式を採用。受講者が積極的に意見を出せるよう、アンケート機能やリアルタイム投票を取り入れ、双方向のコミュニケーションを促進しました。
研修の冒頭では、アイスブレイクとして「アハスライドのアンケート機能」や「言葉の入力・スケール機能」を体験してもらい、リラックスした雰囲気の中で学びを深めました。
研修内容
本研修では、学校教育現場で直面する著作権の課題を具体的に掘り下げ、以下の重要なトピックを詳しく取り上げました。
・著作権の基礎:著作物とは何か、どのように保護されるのかを解説。
・学校における著作権の取り扱い:授業・教材作成時の著作権の注意点。
・オンライン授業、行事配信に関する著作権:配信時の適切な利用方法と注意点。
・授業目的公衆送信補償金制度:制度の内容と最新動向。
・著作権授業の実践例:他校での実施事例を紹介。
・参加者の質問への回答:事前に寄せられた疑問を解消。
特に、教育現場で頻繁に使用されるイラスト素材「いらすとや」の利用ガイドラインを取り上げ、誤解されがちな著作権のルールを実例を交えて解説しました。たとえば、以下のような問いかけをしながら理解を深めました。
・「いらすとや」のイラストはすべて無料だと思っていませんか?
・商用利用の際、1点あたりの料金はいくらか知っていますか?
このように、具体的なケースを交えて説明することで、受講者が自身の業務に直結する形で著作権を理解できるよう工夫しました。
研修のポイント:教育現場における著作権の重要性
講演では、近年の報道などをもとに、教員による著作権侵害の事例とその影響についても解説しました。
著作権の適切な取り扱いが求められる理由を、実際のケーススタディを交えて説明し、受講者が現場で実践できるような形で学びを提供しました。
「今日から、自分から、できることから」
このメッセージを軸に、著作権の適切な扱いが、児童・生徒を守ることにつながるという意識を持ってもらうことを目指しました。例えば、授業で使用する教材の出典を明記することや、学校内の掲示物の著作権を意識するなど、すぐに実践できる行動を提案しました。
研修企画者の声
今回の研修の登壇依頼をいただいたきっかけは、「公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)様のご紹介および小学図書館ニュース」です。
「小学図書館ニュース」は、小学校の学校図書館向けに発行されている月刊の壁新聞です。 2024年度の解説付録で「学校図書館のための著作権講座」連載をさせていただきました。

研修を実施した感想
「今まで曖昧な知識で図書館運営をしていた為、著作権のことについて知ることができてよかったです。原口先生の「犯罪者を増やさない」という言葉を聞いて適当な気持ちで著作物を利用してはいけないと改めて考えさせられました。そして「今日から自分からできることから」の言葉の通り、今できることから著作権を守って業務に取り組みたいです。また受講者を飽きさせない工夫(アハスライドによるクイズ等)が盛りだくさんで楽しく学ぶことができました。」
研修参加者の感想
研修後、受講者からは以下のような感想が寄せられました。
「今まで不安に思ってた事を詳しく分かりやすく教えてくださりありがとうございました。」
「SARTRASの冊子が学校で回覧で回ってきます。図書館に1部もらっています。またあらためて、じっくり読みたいと思います。」
「学校の中であれ?著作権大丈夫?と思う場面が今までにいくつかあったので、今回お話を聞けて大変ためになりました!他の先生方も著作権について気になるという方がいましたので、今回のお話をしてみようと思います!」