【先生からの質問に回答】授業動画に映り込んだ著作物の著作権は?|撮影した先生のものになる?

【先生からの質問に回答】授業動画に映り込んだものの著作権は教員にある? 教育現場での著作権対応
教育現場での著作権対応
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授業を記録した動画には、教科書の一部や掲示物、教材に使ったイラストなど、教員自身が作成していない第三者の著作物が映り込むことがあります。

 

Q
授業動画に映り込んだ第三者の著作物(イラスト・表や教科書の一部など)の著作権は、授業動画を撮影した教員のものとなるか?
A

いいえ、なりません。
動画を撮った教員にその動画自体の著作権はありますが、動画に映り込んだ著作物の著作権までが教員に移転することはありません。

 

授業動画を撮る時に様々な著作物が映像に映り込んでくることがあり、先生が作っていない著作物が映り込んでくることがあると思います。

このような場合、
動画全体の著作権は撮影者である教員に帰属しますが、
動画内に映り込んだ著作物の著作権までは教員に移転しません。

たとえば、授業中に黒板に貼った他者作成の資料や、教科書の一部をカメラが捉えたとしても、それらの著作権は引き続きその著作物の権利者にあります。

 

 

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授業動画を公開・配信する際の注意点

授業で使った第三者の著作物をそのまま動画に映して配信・公開する場合、
著作権法に基づく適切な利用であるかを確認する必要があります。

主な判断基準は以下のとおりです:

  • 著作権法第35条(教育機関における複製等)の対象になるか
  • 引用の要件(出典明記、主従関係の明確化など)を満たしているか
  • 著作権者から利用許諾を得ているか

これらのいずれにも該当しない場合には、たとえ教育目的であっても動画の公開は著作権侵害となるおそれがあります。

 

 

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安心して授業動画を扱うために

授業の様子を記録すること自体は問題ありませんが、その内容を配信したり、校外へ共有する場合には、
「映り込んだ内容の権利関係」まで配慮する必要があるという点を意識しておきましょう。

教育現場では、現実的な工夫と法的な理解の両方が求められます。
不安な場合は、校内で確認体制を整えたり、外部の専門家に相談することもおすすめです。

 

ウェブサイトの記事の内容は動画と同じです。
動画「【先生からの質問に回答】授業動画に映り込んだものの著作権は教員にある?」も是非ご覧ください。

学校における「著作権」の正しい理解と実践のために
著作権に関する研修・講習・授業を通じて、学校現場での対応についてお伝えしています。
これまでの研修例には、先生向け研修生徒向け授業司書向け研修などがあり、幅広いニーズに対応してきました。

国公立中学校での実践経験をもとに、現場に即した内容でご提案いたします。
学校ごとの課題やご要望に応じて柔軟に対応いたしますので、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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