2023年4月、東京都板橋区教育会音楽部の研修として「音楽科教育と著作権」をテーマに講師を務めました。
講演時間は30分間、オンライン会議ツールZoomでPowerPointを共有したり、双方向コミュニケーションツールAhaSlides(アハスライド)を用いて楽しく進めていきました。
さらに講義後に補足資料を見られるように、専用サイトを作って紹介しました。
内容は著作権の基礎・学校での著作権・オンライン授業や行事配信の留意点・授業目的公衆送信補償金の制度でした。さらに参加者からの「事前にいただいた質問」にも答えました。
対象者は板橋区立小学校の音楽専科の先生方が約40名参加されました。
本題に入る前にアイスブレイク。
アハスライドのアンケート機能や言葉の入力・スケールの機能を体験していただきました。
まずは教員歴を問いました。1~10年間が18名、11年以上が22名と半々のバランスでした。
次に好きな作詞家・作曲家です。著作権を考える上で、作る人の存在を再認識すること、作る人への愛は大切な礎になります。
ワードクラウドは得票が多いと大きな文字になります。「ショパン」「バッハ」「ベートーヴェン」というパブリックドメインの巨匠たちの中に、「ポールマッカートニー」「久石譲」といった現在活躍する著作者も入ります。
だんだん著作権の世界に入っていきます。
著作権に関する言葉を知っているかを問いました。今回は講演時間が短かったので直接的な質問をしました。
「著作権」「JASRAC」は知っている教員が多い一方で、「著作権法35条」「SARTRAS」は認知度が低いという結果になりました。
参加者からの事前質問に回答
参加者からいただいた質問にまず回答しました。
いつもは最後に回答しながら前段の理論とのすりあわせをするのですが、今回は時間が十分に取れないと思って先に回答しました。
Q.授業で使用するものについては著作権についての規制が緩めだが、音楽会で取り扱うものについてはどうなっているのか?
Q.授業においてのYouTubeの取り扱いについて。画像は使用しないで音楽だけ流すのはよいのか。
Q.高価なセットのCDなどクラス分購入することができないのでClassroomで配信してしまっているが、どこまでやってもいいのか?
Q.教科書付属のCDの伴奏をバックで流し、それにのって教員が歌っている動画をClassroomで流すのはよいのか?
音楽科教育における著作権
「生活や社会」に関わる授業の中の1つで知的財産権について取り扱ったことを示します。決して特別な内容ではないことや、年間の授業計画の中の位置づけを話しました。
次に、著作権を身近に感じてもらうための関わりについて話しました。
「生活や社会」の中の著作権では、ファスト映画やキャラ入りケーキ・海賊版・テラーノベルについて紹介。
「子ども」については、中学生や高校生の著作権違反による逮捕や書類送検について紹介。
「教員」については、2022年9月から2023年3月に起きた学校便り等のイラスト使用の著作権違反について話しました。
そして、本題に入る前にお決まりの「今日から、自分から、できることから」
「今まではしていた」「あの先生や隣の学校はしている」「許諾を得るお金や時間がない」…といった困りごとがある中で、「今日から、自分から、できることから」始めようと話しました。
著作権の基礎の後、学習指導要領・教科書・教員採用試験・部活動について話しました。
次に、著作権法第35条の内容と「学校は例外」ということ、例外になる条件を話した後に、授業目的公衆送信補償金制度、SARTRASについて話をしました。
行事のオンライン配信もしたことがある学校に手を挙げたもらったところ、半分以上が挙がりました。オンライン配信の際の保護者通知についても話しました。
最後に著作権を知る方法として、文化庁・CRIC・SARTRAS、そして原口 直のチャンネルを紹介しました。
今回の講演への登壇の声をかけていただいたきっかけは音楽科の教科書や楽譜などを出版する「教育芸術社さん」でした。
研修参加者の感想の紹介
・あまりにも著作権についてわかってなかった
・ご指導の時間が30分では短かった
・もっとお話を聞きたかった
研修を企画した担当者の感想紹介
身近なところに著作権の問題が存在することに気づきました。漠然とした不安が解消しました。正しい知識を得るようにしていきます。
まとめ
今回の研修は音楽の先生が対象なので、授業の位置づけからお話ししました。
これから、校内の行事はもちろんのこと外部のコンクール等の申込や練習が始まります。著作権の知識を音楽科教員全員に伝えたいです。
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