教員採用試験から学ぶ「知的財産権」:著作権の保護期間は?【令和7年度 東京都 中学校 技術科 問題】

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令和7年実施の教員採用試験における「知的財産権・著作権」に関する問題について、自治体ごと、校種ごと、教科ごとにご紹介しています。

確認事項です。この情報は配信現在の情報です。必ず最新の情報をご確認ください。また、運用の際は必ず原文をお読みください。

 

知的財産権とは?

「知的財産権」の中に「著作権」があり、作った瞬間にその人に権利が発生します。これが著作権です。著作権法の原則は「作品は作った人のもの。使う時は許可を取る」です。ただし、許諾不要で例外の場合もあり、その中に「学校」というのが含まれています。

 

今回ご紹介する教員採用試験の問題は、ウェブサイト上で公開されているものです。回答については、公表されているものとされていないものがあります。

この記事の目的は、教員採用試験の内容を現職の先生に勉強して欲しいというわけではなく、若手の教員たちは知的財産権や著作権を勉強して教員になっているということを、現職の先生方に知って欲しいからです。

学校の中でイラストとか音楽とか、著作権のことについてちょっと疑問に思った時には、是非若手の先生に聞いてみてください。

 

 

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【令和7年度採用】東京都 中学校 技術科 教員採用試験問題より

では実際の問題を見ていきましょう。
今回の問題は、令和7年度 東京都 中学校 技術で出された問題です。

 

出題された問題:知的財産権に関する適切な記述

1⃣次の各問に答えよ。 問20 知的財産権に関する記述として適切なものは次の1~4のうちどれか。

1 特許権は、特許要件を満たした発明に対して認められる権利で、特許庁長官に出願した日から30年間保護される。
2 実用新案件は日用品や玩具のように、少し工夫を加えただけでヒット商品になるような簡易的な発明である考案を保護する権利である。取得した権利の期間は、出願日から20年間である。
3 著作権は、著作物を創作した著作者が、創作と同時に得られる権利である。届け出は必要なく、保護の期間は、原則著作者が著作物を創作してから死後70年までである。
4 商標権は、商品やサービスに使用する文字、図形、色彩、音などを独占的に使用できる権利である。商標の信頼が蓄積し、使用され続けている場合、10年間は権利を継続できるが、更新することはできない。

考えてみてください。

 

 

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正解と解説

正解は3の著作権、書かれている文章全て正しいです。

創作と同時に得られる」というところが他と違うところであったり、また「死後70年」こういった保護が決められています。

 

他の選択肢の解説

1はどこが違うかと言うと、 特許権の保護期間は出願日から20年です。30年ではありません。

また2の実用新案権も、 出願日から10年です。20年ではありません。

そして4の商標権については、 登録日から10年であり、更新により何度でも延長可能です。「更新できない」という部分が謝りです。

 

 

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知的財産権と産業財産権

問題に出てきた「知的財産権」という言葉、学習指導要領でも使われています。知的財産権は、著作権だけではなく特許や商標そして意匠といった「産業財産権」もあります。

それぞれの特徴について押さえておきましょう。

 

学習指導要領の中で著作権についてどのように触れているか、「【教員のための著作権解説】学習指導要領の中での著作権の扱い」の動画では調べた結果をお話しています。
【教員のための著作権解説】学習指導要領の中での著作権の扱い
今日は学習指導要領の中にある著作権について、校種・教科をまたいでご紹介します。学習指導要領とは全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするために、文部科学省が学校教育法等に基づいて、各学校で教育課程(カリキュラム)...

 

 

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まとめ

私のYouTubeやウェブサイトではこういった学校に関する著作権に関する情報を発信しています。

学校に関係する第35条の条件、それからオンライン授業に活用するSARTRAS(サートラス)について知りたい方は、是非他の動画・記事もご覧ください。

 

著作権の基本と授業目的公衆送信補償金制度については「SARTRASって何?教員が知るべき著作権の例外と補償金制度」の動画で解説しています。
SARTRASとは?オンライン授業と著作権の例外を支える制度
「SARTRAS(サートラス)」は、オンライン授業における著作物の利用を支える補償金制度です。学校教育における著作権の原則と例外を、教員向けにわかりやすく解説します。

 

この記事は、動画「【学校著作権】著作権の保護期間はいつまで?| 教採問題(令和7 東京 中学技術)解説」をもとに作成しました。

 

 

学校における「著作権」の正しい理解と実践のために
著作権に関する研修・講習・授業を通じて、学校現場での対応についてお伝えしています。
これまでの研修例には、先生向け研修生徒向け授業司書向け研修などがあり、幅広いニーズに対応しています。

国公立中学校での実践経験をもとに、現場に即した内容でご提案いたします。
学校ごとの課題やご要望に応じて柔軟に対応いたしますので、ぜひご相談ください。

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その他のご相談などは
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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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