【授業実践例】作った人の権利を考えよう-著作権の知識-(主催:東京学芸大学附属世田谷中学校)

生徒向け著作権出前授業の紹介
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開催年月:2025年7月/開催形式:対面/参加人数:中学生約140名
主催団体:東京学芸大学附属世田谷中学校
イベント名:道徳の授業の一環として
出前授業テーマ:作った人の権利を考えよう-著作権の知識-

2025年7月、東京学芸大学附属世田谷中学校主催の道徳の授業の一環としてで講師を務め、「作った人の権利を考えよう-著作権の知識-」をテーマにお話ししました。

夏休みを目前に控えたタイミングで実施されたこの出前授業を通して、教科の学びや学校図書館での情報活用とをリンクさせながら、「失敗を恐れずに使いながら学ぶ」ためのマインドセットをできたと思います。

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出前授業の全体像(東京都世田谷区・中学1年生向け)

受講者と授業スタイル

今回は、東京学芸大学附属世田谷中学校の1年生、約140名を対象に、道徳の授業のゲスト講師として登壇いたしました。

これから夏休みに入り、自由研究や部活動などで著作物に触れる機会が増える生徒たちのために、対面形式で90分の授業(出席者半分ずつを2回に分けて)を行いました。

私の研修・授業では、出席者との対話を重視しています。今回も、双方向コミュニケーションツール「AhaSlides(アハスライド)」を活用し、リアルタイムの投票や質問を受け付けながら進める参加型形式をとりました。

授業の冒頭では、まずツールの機能に慣れていただくためのアイスブレイクを実施し、楽しみながら学べる雰囲気づくりを心がけています。中学生の皆さんはデジタルツールの扱いにも非常に長けており、活発な意見交換が行われました。

 

 

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研修の具体的な内容(東京都世田谷区・中学1年生向け)

今回取り上げた主なトピック

生徒たちが日常の学校生活や私生活で直面する場面を想定し、以下のトピックについて解説しました。

  • 著作権の基礎
    「権利」という目に見えないものが、どのように自分たちを守っているのか、基本的な仕組みを解説しました。

  • 学校での著作権
    授業や行事など、学校生活特有のルール(著作権法第35条など)について、具体例を交えて紹介しました。

  • オンライン授業や行事配信の留意点
    デジタル空間での振る舞いや、発信する際の責任について考えました。

  • 利用規約の読み方
    「同意する」ボタンを押す前に確認すべきポイントや、規約の重要性を伝えました。

「できない」理由を伝えるだけではなく、「こうすればできる」を伝える。そのために、子供たちが“すぐに使える”具体的な解決策を中心にお話ししました。

特に、生徒たちにも馴染み深いフリー素材サイト「いらすとや」を例に挙げ、「無料=何でもしていい」わけではなく、そこには必ずルール(利用規約)があることを説明しました。具体的な事例を通すことで、「規約を読む」という行為が自分を守ることにつながると実感してもらいました。

 

出前授業のポイント

今回の授業で最も伝えたかったのは、「著作権の知識は、皆さんの表現活動を萎縮させるためのものではなく、応援するためのもの」というメッセージです。

学校教育において著作権の例外規定(許諾なしで使える範囲)が広く認められているのは、生徒の皆さんが「失敗を恐れずに使いながら学んでいくこと」を社会が支えているからです。この安全な環境の中で、正しく権利と向き合い、創造性を育んでほしいという願いを込めました。

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参加者の声と今後の展望(東京都世田谷区・中学1年生向け)

出前授業主催者の声

今回の授業を企画された先生より、以下のご感想をいただきました。

夏休み前、実際に生徒たちが著作物に触れること、授業の場を少し離れ、自分の力でその活用を図っていくことが設定される場面で、あらためて「著作権とは」ということを考えることができたことに大きな意義を感じました。

生徒たちが自分のことを顧みながら「著作権」や著作物の活用の仕方について真摯に向き合っている姿もたくさん見られました。これまでの教科の学びや学校図書館活用を通じた情報活用の視点とも紐づけることができたことは大きな成果とも感じます。

またお話を伺いながら、著作権の例外が学校教育に適応されるのは、「失敗すること」を恐れず使ってみながら学んでいくことを支えるものであるように感じました。次年度以降も中学1年生のこの時期に実施をお願いできると、中学校三年間の学びの充実につながると考えています。

 

授業参加者の声

受講した生徒の皆さんからも、多くの気付きの言葉が寄せられました。その一部をご紹介します。

「今日話したことは社会生活を続ける上でとても重要なことだなと感じた。権利っていう目に見えないものが、法律に則って考えてみると鮮明化するんだなと感じた。」

「どんなものでも著作権があることを知ってびっくりしました。普段何気なく使っていたいらすとやのイラストなどにも著作権があることを知りました。(中略)これから、学校で無料で画像を使う時は、感謝を忘れずに使おうと思います。」

「とても参考になりました。何もトラブルが起きない、起こさないことを第一に考えて、消極的利用をしていましたが、しっかり学んだ上で、イラストや音楽などを積極的な利用していこうと思いました。」

「特に規則とかはいつも適当に『はい』のボタンを押しているので注意してみないといけないなと改めて実感しました。」

「著作権は遠い存在に思えていたけど、学芸科学コンクールなど応募者に著作権があるとするものについては私も著作権の所有者になり得ることに驚きました。」

 

今回の出前授業を通じて、生徒の皆さんが「権利」を単なるルールの縛りとしてではなく、自分や他者の創作物を大切にするための「思いやり」として捉えてくれたことを大変嬉しく思います。 東京学芸大学附属世田谷中学校の皆様、貴重な機会をありがとうございました。

学校における「著作権」の正しい理解と実践のために
著作権に関する研修・講習・授業を通じて、学校現場での対応についてお伝えしています。
これまでの研修例には、先生向け研修生徒向け授業司書向け研修などがあり、幅広いニーズに対応しています。

国公立中学校での実践経験をもとに、現場に即した内容でご提案いたします。
学校ごとの課題やご要望に応じて柔軟に対応いたしますので、ぜひご相談ください。

研修のご依頼・ご相談は
こちらの専用ページで受け付けています。
その他のご相談などは
こちらの問い合わせページから受け付けています。

この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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