栄養教諭向け学校の著作権入門|高知県学校栄養士会 主催研修【研修事例】

栄養教諭向け著作権研修の事例紹介
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2026年5月、高知県学校栄養士会様より「栄養教諭のための著作権入門」というテーマで研修のご依頼をいただきました。全国学校栄養士協議会の食育推進講習会がきっかけで原口のことを知っていただいたそうで、今回は、高知県内の学校栄養士の皆様に向けた開催となりました。

なお、今回はJASRAC(日本音楽著作権協会)主催「出張講座JASRAC ラーニングスクエア」の制度を使った研修でした。出前講座の制度や申込み方法については「学校で使える!「出張講座JASRACラーニングスクエア」の活用法と事例紹介」で詳しく解説しています。

 

 

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本記事の内容を含め、学校現場に合わせた著作権研修を行っています。
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研修の全体像 ― 給食だよりの現場ならではの悩み

今回の受講者は、高知県内の栄養教諭・学校栄養職員の皆様です。普段向き合っている子どもの学年は小学生が中心で、AhaSlidesでのアンケートでも、対象の約6割が小学生という結果になりました。

栄養教諭・栄養士の皆様からよくうかがうのが、「給食だより」や「献立表」でのイラスト・写真の扱いに関する迷いです。今回もAhaSlidesで「『給食だより』で著作物を使う時、迷ったことがありますか」と尋ねたところ、77名が「ある」と回答し、「ない」の2名を大きく上回りました。

重要なのは、給食だよりは新聞や図書館のおたよりと違って、写真・イラスト・図表が主役級の役割を果たす媒体だという点です。実際、「給食だよりで使う著作物」を尋ねる設問では、イラストと写真が「よく使う」側に大きく偏る結果が出ており、この2つの扱い方こそが栄養教諭の皆様にとって最も切実なテーマなのだと、あらためて実感しました。

 

 

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研修の具体的な内容 ― 「知っているようで知らない」を解きほぐす

研修では、次のようなトピックを扱いました。

– 最近の著作権に関わるニュース
– 著作権を知るべき理由(子どもが当事者になり得ること)
– 今日から、自分から、できること
– 著作権の例外(一定の要件を満たした場合に限り、学校の授業での利用が認められる規定。詳しくは学校教育における著作権法第35条の解説記事へ
– 授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)(補償金制度についての解説記事はこちら
– 質疑応答

給食だよりに使うイラストの入手先を尋ねたクイズ形式の設問では、「いらすとや」という回答が圧倒的多数を占めました。無料イラストサイトは便利な一方、それぞれのサイトに定められた利用規約の範囲内での使用が前提になります。この点は研修の中でも時間を割いて確認しました。

また、「おたよりのうち著作物でないものは?」というクイズでは、レシピを正解に選んだ方が22名と最多で、次いで新聞(16名)という結果になりました。著作物性の判断に「絶対の公式」があるわけではなく、表現に創作性があるかどうかで個別に考える必要があること、そしてレシピのように誰が作っても同じような表現になりやすいものは著作物として保護されにくい傾向があることなど、具体例に沿ってお伝えしました。

 

 

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研修のポイント ― 「禁止」ではなく「配慮」として捉える

今回、印象に残ったこととして依頼者様からいただいたのが、次のような言葉です。

著作権を”禁止や怖いもの”としてではなく、”作り手への感謝や配慮につながるもの”として捉える。

 

これはまさに、私が研修で一貫してお伝えしたいメッセージそのものです。著作権はいたずらに恐れるものではなく、作り手への敬意を形にするためのルールなのです。この視点が伝わったのだとしたら、これほどうれしいことはありません。

 

 

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参加者の声と今後の展望

依頼の決め手について、ご担当者様からは次のようなお言葉をいただきました。

著作権という難しく感じやすい内容を、分かりやすくテンポよく、楽しく学べる形で進めてくださる点が大きな決め手となりました。

 

受講された栄養教諭・栄養士の皆様からも、たくさんの声をいただきました。一部をご紹介します。

献立表や給食だよりなど、前任者の代から何年も使いまわしされているイラストがあるので、教えていただいたgoogleの検索方法で見てみます。

フリーイラストの利用を通して知らないうちに著作権侵害にならないか不安でしたが、利用ポリシーなどをしっかり読み、正しく理解して恐れすぎずに使うことが大切だと分かりました。

研修を通して、単に「使ってはいけない」と考えるのではなく、「教育の場で子どものために適切に活用できるものがある」と理解が広がりました。

 

長年引き継がれてきた献立表やおたよりの中には、確認しないまま使われ続けているイラストもあるかもしれません。そうした「昔からのやり方」を見直すきっかけになったという声を多くいただけたことは、研修担当者としても大変ありがたく感じています。

 

 

研修中アンケートより

AhaSlidesを使った双方向の研修では、「著作権」からイメージする言葉を3つ挙げていただくワードクラウドも実施しました。「イラスト」「音楽」「権利」「難しい」といった言葉が大きく浮かび上がり、皆様が日々の業務のなかで著作権を意識しつつも、判断に迷う場面が多いことがうかがえました。

 

 

おわりに

高知県学校栄養士会の皆様、このたびは貴重な機会をいただき、ありがとうございました。給食だよりや献立表は、子どもたちの食育を支える大切な発信手段です。その一つひとつに、作り手への配慮を込めていただくお手伝いができたなら幸いです。

今後も全国の栄養教諭・栄養士の皆様に向けて、現場に寄り添った著作権研修をお届けしてまいります。

 

 

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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