主催団体:葛飾区教育委員会
研修テーマ:学校図書館と著作権
2025年12月、葛飾区教育委員会主催の学校司書研修会で講師を務め、「学校図書館と著作権」をテーマにお話ししました。
今回は午前中に中学校1年生向けの著作権授業(CRIC主催出前授業)を行い、午後はその中学校を会場に、区内の学校司書の方々へ向けた研修を行うという「著作権漬け」の充実した一日となりました。本研修では、著作権の基礎の振り返りに加え、昨今急速に普及している「生成AIと著作権」についても重点的にお伝えしました。
研修の全体像(東京都葛飾区・学校司書向け)
受講者と研修スタイル
今回の対象者は、東京都葛飾区内の小中学校に勤務される学校司書の皆様です。学校図書館は、児童・生徒や教員が著作物に触れる最前線の場であり、司書の皆様は著作権の「守り手」であり「伝え手」でもあります。
私の研修では、参加者との対話を重視しています。今回も、双方向コミュニケーションツール「AhaSlides(アハスライド)」を活用し、リアルタイムの投票や質問を受け付けながら進める参加型形式をとりました。
一方的に知識を詰め込むのではなく、クイズやアンケートを通じて「自分はどう考えるか?」を常に考えていただくスタイルです。研修の冒頭では、まずツールの機能に慣れていただくためのアイスブレイクを実施し、楽しみながら学べる雰囲気づくりを心がけています。
研修の具体的な内容(東京都葛飾区・学校司書向け)
今回取り上げた主なトピック
学校図書館の現場で迷いやすいポイントと、新しい技術(生成AI)への向き合い方を中心に構成しました。
著作権の基礎:なぜ著作権を守る必要があるのか、その意義の再確認。
学校での著作権:著作権法35条(学校その他の教育機関における複製等)と32条(引用)の違いと運用。
オンライン授業や行事配信の留意点:ICT活用が進む中での注意点。
学校図書館と著作権:学校図書館活動における注意点。
授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)のポイント:制度の仕組みと範囲。
生成AIと著作権:生成・利用の各フェーズにおける権利関係とリスク管理。
著作権教育の実践例:児童生徒にどう伝えるか。
「できない」理由を探すのではなく、「こうすればできる」を見つける。そのために、現場で“すぐに使える”具体的な解決策を中心にお話ししました。
例えば、フリー素材として有名な「いらすとや」を例に挙げ、利用規約を正しく読み解くことの重要性や、実際に著作者に許諾をとって企画を実現した事例など、実践的なエピソードも交えて解説しました。
研修のポイント
今回の大きなテーマの一つが「生成AI」です。学校現場でも業務効率化や授業での活用が模索されていますが、著作権侵害のリスクを懸念する声も多く聞かれます。
研修では、AIを利用する際のプロンプト(指示出し)の工夫や、著作権法との関係性を整理。「ただ怖がるのではなく、仕組みを理解した上で、正しく怖がりながら活用する」というスタンスをお伝えしました。
また、学校図書館が「情報のハブ」として、正しい著作権知識を子どもたちや先生方に伝えていくためのヒントも提供しました。
参加者の声と今後の展望(東京都葛飾区・学校司書向け)
研修主催者の声
研修を企画された葛飾区教育委員会のご担当者様より、以下のご感想をいただきました。
いつもわかりやすいご講義をありがとうございます。今回は生成AIを中心にお話しいただけたので、すでに使用している者、使用検討中の者、知識がない者、すべての受講者にとって理解が深まったと思います。
得意不得意に関わらず、生成AIは今後避けて通れないテーマですし、大変参考になりました。午前中の生徒向け授業に加え、午後も原口先生を葛飾区で独占できた贅沢な一日でした。お疲れになったかと思いますが、これに懲りずにまた葛飾区にいらしてください。
研修参加者の声
参加された学校司書の皆様からのアンケートの一部をご紹介します。
「まさに今年度から生成AIを業務で使い始めていたので、著作権との関係性がクリアになった気がしました。これからも良い意味で怖がりながら活用したいです」
「生成AIを使いこなすためのプロンプトのやり方がとても参考になりました。プロンプト次第だと痛感しました」
「前回の講義を受けて、子どもたちとカフートで著作権クイズをしました。『いらすとや』を使って企画をした際、利用規約を確認し、著作者に連絡をして『それならいいよ』とお返事をいただきました。きちんと確認すれば良いという実例を体験できました」
「著作権をどこまで誰に見せるかは著作者が決めてよい、という話が改めて大事だなと感じました」
さいごに
葛飾区での研修は今回で3回目となり、継続して関わらせていただけることを大変光栄に思います。参加者の皆様が前回の内容を実践に移し、さらに新しい課題(生成AIなど)に意欲的に取り組まれている姿に、私自身も多くの刺激をいただきました。
著作権は「禁止のためのルール」ではなく、「文化を発展させるためのルール」です。今後も、学校現場の皆様が安心して教育活動を行えるよう、サポートを続けてまいります。



