【研修事例】養護教諭にかかわる​著作権について(主催:島根県松江地区高等学校保健会養護教諭部会)

教職員向け著作権研修(事例)
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開催年月:2025年11月/開催形式:オンライン/参加人数:約20名
主催団体:島根県松江地区高等学校保健会養護教諭部会
研修テーマ:養護教諭にかかわる​著作権について

 

2025年11月、島根県松江地区高等学校保健会養護教諭部会主催の研修会で講師を務め、「養護教諭にかかわる​著作権について」をテーマにお話ししました。

保健だよりの作成や掲示物、保健室経営など多岐にわたる業務を担う養護教諭の先生方に特化し、実務ですぐに役立つ著作権の知識をお伝えできるのが本研修の強みです。

 

今回はSARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)の共通目的事業として実施されている「リクエストセミナー」の制度を使った研修でした。

著作権活用セミナー | 著作権教育 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
著作権情報センター(CRIC)は、著作権の正しい理解と、より良い著作権制度の実現を目指し、著作権思想の普及、著作権関連情報の収集・提供、研究会・研修講座、調査研究、国際協力・交流など多彩に活動しています。

 

 

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研修の全体像(島根県松江地区・高等学校養護教諭向け)

受講者と研修スタイル

今回は、島根県松江地区の高等学校に勤務される養護教諭の先生方、約20名を対象にオンライン形式で研修を行いました。90分という時間の中で、著作権の基礎から学校現場での具体的な活用事例までを網羅的に解説しました。

私の研修では、参加者との対話を重視しています。今回も、双方向コミュニケーションツール「AhaSlides(アハスライド)」を活用し、リアルタイムの投票や質問を受け付けながら進める参加型形式をとりました。

オンライン研修では一方的な講義になりがちですが、このツールを使うことで、先生方の理解度や関心事をリアルタイムに把握しながら進行することができます。研修の冒頭では、まずツールの機能に慣れていただくためのアイスブレイクを実施し、楽しみながら学べる雰囲気づくりを心がけています。

 

 

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研修の具体的な内容(島根県松江地区・高等学校養護教諭向け)

今回取り上げた主なトピック

養護教諭の先生方が日常業務で直面する疑問や不安を解消するため、以下のトピックを中心にお話ししました。

  • 著作権の基礎:
    そもそも著作権とは何か、なぜ守る必要があるのかという基本概念を確認しました。
  • 学校での著作権(著作権法35条「例外」・著作権法32条「引用」):
    授業目的での利用や、保健だより等での引用のルールについて解説しました。
  • 学校からのよくある質問と回答の紹介:
    過去に寄せられた質問から、養護教諭の業務に関連深いものをピックアップしました。
  • 授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)のポイント:
    制度の仕組みと、補償金の対象となる範囲について説明しました。
  • 各社の利用規約の読み方:
    フリー素材サイトや養護教諭が購読する雑誌出版社等の規約を確認する際のチェックポイントを解説しました。

「できない」理由を探すのではなく、「こうすればできる」を見つける。そのために、現場で“すぐに使える”具体的な解決策を中心にお話ししました。

特に今回は、養護教諭が購読する雑誌出版社を例に挙げ、利用規約の具体的な読み解き方を実践的に解説しました。「学校だから何でもしていい」わけではないことを理解いただく重要なポイントです。

 

研修のポイント

今回の研修で最も伝えたかったのは、「養護教諭も教育活動の主体であり、著作権知識は自分と学校、そして生徒を守る武器になる」ということです。

普段教科の授業を持たない養護教諭の先生方も、保健指導や掲示物作成、学校行事の運営などを通じて、日々多くの著作物を利用されています。
「教育目的だから大丈夫」とあいまいに捉えるのではなく、正しいルールを知ることで、安心して教育活動に取り組めるようになります。また、先生方が正しい知識を持つことは、生徒たちへの適切な指導にもつながります。

 

 

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参加者の声と今後の展望(島根県松江地区・高等学校養護教諭向け)

研修主催者の声

今回の研修を企画された担当者様より、以下のご感想をいただきました。

学校での著作権利用について、「授業での例外」などは何となく知っていましたが、普段授業を行わない私たち養護教諭にとって、どこまでが許容範囲なのか曖昧な部分がありました。「何とかなるだろう」と軽く考えていましたが、著作権侵害による損害賠償請求のニュースを見て、これは他人事ではないと痛感し、今回のテーマに設定しました。

著作権情報センター様からのご紹介で、教員経験があり学校の実情に詳しい原口先生にお願いできて本当に良かったです。基礎から分かりやすく、現場での具体例も交えてお話しいただき、大変勉強になりました。今回の学びを共有し、養護教諭が知識を持つことで、自分や学校、生徒を守ることができると伝えていきたいと思います。

 

研修参加者の声

受講された先生方からも、多くの気づきや感想をいただきました。

「大学の課題で保健だより、模擬授業の準備をしていた頃から、著作権で許される範囲の著作物の利用について悩んでいました。今回のセミナーで改めて詳細を知れて非常にためになりました。講演ありがとうございます。」

「本日のお話の中で、聞きたいことが入っていました。(二次的著作物) また、どこに聞けば言いか? とか、サイトのどこをみればよいか。等、視点が少しみえてきました。ありがとうございました。」

「本日はありがとうございました。著作権については知っていることが多いと思っていましたが、知らないことも多くためになりました。またとても身近にある問題だということを改めて実感しました。」

「先生、わかりやすく理解できました。必ず利用規約を確認したいと思いました。また振り返り勉強し直します。」

 

さいごに

この度は、島根県松江地区の養護教諭の皆様に向けてお話しする貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。
先生方が日々作成される保健だよりや掲示物は、生徒たちの健康と安全を守る大切な情報源です。著作権の知識が、その活動をより円滑で安心なものにする一助となれば幸いです。今後も、学校現場の先生方に寄り添った情報発信を続けてまいります。

 

 

 

学校における「著作権」の正しい理解と実践のために
著作権に関する研修・講習・授業を通じて、学校現場での対応についてお伝えしています。
これまでの研修例には、先生向け研修生徒向け授業司書向け研修などがあり、幅広いニーズに対応しています。

国公立中学校での実践経験をもとに、現場に即した内容でご提案いたします。
学校ごとの課題やご要望に応じて柔軟に対応いたしますので、ぜひご相談ください。

研修のご依頼・ご相談は
こちらの専用ページで受け付けています。
その他のご相談などは
こちらの問い合わせページから受け付けています。

この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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