学校で本の表紙写真を使うときの注意点|図書だより・ウェブサイト・Googleクラスルームでの著作権のルール

【先生からの質問に回答】本の表紙写真を掲載する場合に許諾は必要か? 教育現場での著作権対応
教育現場での著作権対応
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2023年9月4日に回答部分の内容を追記しています。

学校現場でよくあるのが「図書だより」や「学校ウェブサイト」、あるいは「Googleクラスルーム」などに本の表紙写真(書影)を掲載したいというケースです。

このとき、著作権の問題が生じることがあるため注意が必要です。この記事では、具体的にどのような場合に許諾が必要なのかを解説します。

 

 

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図書だより・学校ウェブサイト・Googleクラスルーム等に本の表紙を掲載するには許諾が必要?

Q
図書だより・学校ウェブサイト・Googleクラスルーム等に本の表紙の写真(書影)を掲載する時に許諾は必要か?
A

「無許諾で良いのでは?」という見解もあります。
しかし、明らかに「授業の過程」である場合を除くと、様々な見解があるため出版社への確認をおすすめします。

 

 

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図書だよりに掲載する場合の注意点

図書だよりに本の表紙を掲載する場合、以下の2つの条件のいずれかに当てはまれば許諾は不要と考えられます。

 

引用として使用する場合(著作権法第32条)

表紙画像と共に、独自の書評や感想文などを掲載することで「引用」として認められます。この場合は、書名・著者名・出版社名・発行年などの出所を明記する必要があります。

 

美術の著作物等の譲渡等に伴う複製(著作権法第47条の2)

学校図書館が「この本ありますよ」と蔵書を紹介する場合も許諾は不要とされます。ただし、実際にその書籍を保有していることと、出所の明記が条件です。

また、どちらの場合も画像サイズや解像度には制限があります。以下の基準を守りましょう:

 

【複製する場合】
i 図画として複製する場合は表示サイズ 50cm2 以下であること
ii デジタル複製を行う場合は画素数 32,400 以下であること
iii 上記以外の場合は必要最小限度かつ公正な慣行に合致すること
【公衆送信する場合】
i コピープロテクトを用いない場合は画素数 32,400以下であること
ii コピープロテクトを用いる場合は画素数 90,000 以下であること
iii 上記以外の場合は必要最小限度かつ公正な慣行に合致すること

(引用:図書館における書影等の利用/澤田将史/情報の科学と技術 73巻8号,346~352(2023))

参考法令:
著作権法施行令7条の3
著作権法施行規則4条の2

 

 

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学校ウェブサイトに掲載する場合

学校ウェブサイトで本の表紙を掲載する際は、「誰が閲覧できるか」や「どのくらいの期間公開するか」といった点に注意が必要です。一般公開される場合は、特に慎重に対応しましょう。

 

 

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Googleクラスルームなどクラウドへの掲載

Googleクラスルームなどのクラウドサービスに表紙画像を掲載する場合、「授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)」への補償金支払いが必要になります。
事前に所属学校や自治体が契約しているかどうかを確認しましょう。

 

SARTRASについて、また支払いの有無を確認する方法については以下の動画をご覧ください。
SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)とは?
学校・自治体がSARTRASに補償金を支払済か確認する方法

 

 

宣伝目的と見なされる利用について

「宣伝になるから問題ない」と自己判断するのは危険です。実際に宣伝目的かどうかを判断するのは著作権者側であり、安易な公開はトラブルのもとになります。

この記事動画「学校で本の表紙写真を使うときの著作権|図書だより・ウェブサイト・Googleクラスルームでの注意点」をもとに作成しました。

学校における「著作権」の正しい理解と実践のために
著作権に関する研修・講習・授業を通じて、学校現場での対応についてお伝えしています。
これまでの研修例には、先生向け研修生徒向け授業司書向け研修などがあり、幅広いニーズに対応してきました。

国公立中学校での実践経験をもとに、現場に即した内容でご提案いたします。
学校ごとの課題やご要望に応じて柔軟に対応いたしますので、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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