踊ってみた動画と学校のダンス著作権|振り付け・音源の注意点を解説

「舞踊の著作物」を使って学校で著作権教育をしてみよう! 児童生徒・保護者向け(授業作り・指導案)
児童生徒・保護者向け(授業作り・指導案)
本サイトはアフィリエイトプログラム等による収益を得ています
PR

研修先でよくいただく質問のひとつが「運動会のダンスに著作権はありますか?」というものです。

この記事では、著作権法第10条が定める「舞踊の著作物」の意味と、学校での利用に関わる著作権法第35条の例外規定を整理します。また、恋ダンス・恋チュン・踊ってみた動画の具体的な事例を使って、子どもたちへの著作権教育にどう活かすかも紹介します。

▼学校における著作権入門の解説記事はこちら

教員が知っておきたい著作権の基礎ー学校現場での「困った」をスッキリ解消
学校での著作権利用はどこまで認められるのでしょうか。著作権法第35条による教育目的の例外、私的利用(第30条)との違い、ドリルのコピーや運動会動画の配信など現場のQ&Aをわかりやすく解説します。
学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)
【補足】学校で著作物を使用される場合は、最新のガイドライン等を確認・遵守の上でご利用ください。「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」基本:著作権とは?まず、著作権とはどういうものかというと、大きく「知的財産権」という中...

 

この情報はYouTube動画配信日時点の情報です。著作権は変わることがあります。必ず最新の情報をご確認ください。

 

 

PR

著作権研修の講師を承っています
本記事の内容を含め、学校現場に合わせた著作権研修を行っています。
研修テーマ一覧を見るお申込み・ご相談

著作権法第10条3号が定める「舞踊の著作物」とは

著作権法第10条は著作物の例示を定めた条文で、その3号に「舞踊又は無言劇の著作物」が挙げられています。つまり、ダンスや振り付けは著作物として保護の対象になりえます。

著作権の基本的なルールは「作品は作った人のもの」です。使うとき・増やすとき・変えるときには、原則として作った人の許諾が必要です。学校はこの原則に対する例外として扱われており、その根拠が著作権法第35条です。

▶ 動画では 1:18〜 で著作権法第10条の条文をもとに舞踊の著作物について解説しています。

 

 

PR

学校での利用はどこまで許諾不要?著作権法第35条との関係

授業・運動会・文化祭のダンス発表は著作権法第35条の例外に該当し、必要と認められる限度であり、かつ著作権者の利益を不当に害しない範囲であれば、既存の振り付けを許諾なしで使うことができると考えられます。

著作権法第35条の例外が適用される場面として、文字起こしでは以下が挙げられています。

  • 保健体育の授業でのダンス
  • 運動会での学年表現ダンス・応援団のダンス
  • 文化祭での部活動・個人の発表
  • 吹奏楽部のドリル演技

これらはすべて「授業にあたる」として同条の対象と説明されています。

▶ 動画では 2:10〜 で著作権法第35条と学校教育の例外の関係を、中学校学習指導要領のダンス領域も交えて解説しています。

 

▼著作権法35条の解説はこちら

もし著作権法第35条がなかったら──授業・オンライン配信・補償金制度まで、学校を守るルールを徹底解説
著作権法第35条がない世界を想像したことはありますか?コピー・引用・オンライン配信……学校の当たり前を支えるこの法律と、授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS)の仕組みをセットで解説します。
著作権法第35条をわかりやすく解説|学校教育で許諾が不要になる条件とは
著作権法第35条は、授業の過程での著作物の複製・公衆送信を一定の条件のもとで認める規定です。条文の意味、2018年改正でSARTRASが生まれた背景、「授業」の定義まで、学校教員向けにわかりやすく解説します。

 

 

PR

公式の振り付け動画を学びに活かす方法

YouTubeでは歌手・アーティスト本人が提供する公式の振り付け動画を見て、学校の授業や行事のダンス練習に使うことができます。

公式かどうかの見分け方は、チャンネル名の右側にある「丸にチェックマーク」の公式マークです。このマークがある公式チャンネルの動画は、本人が歌・演奏した楽曲が使われており、視聴によってJASRAC/NexToneを通じて著作者に収益が分配される仕組みになっています。

振り付け専用動画は「Choreography」「Dance Practice」「Dance ver.」といったタイトルが付いていることが多く、定点カメラや鏡向き映像で振り付けを学びやすくした形式のものもあります。

▶ 動画では 4:15〜 で公式チャンネルの見分け方を実例とともに解説しています。

 

 

PR

運動会用ダンス動画を活用するときの注意点

YouTubeには運動会向けのダンス動画を公開している個人・教育企業・ダンサーも多くいます。これらはそれぞれが著作者となっており、使用に際して料金が発生する場合や、一見無料に見えても著作権が存在する場合があります。活用する前に利用条件を確認する習慣を持つことが大切です。

▶ 動画では 5:58〜 でこの点について詳しく解説しています。

 

 

恋ダンス・恋チュン・踊ってみた動画で学ぶ著作権教育の実践

授業や行事の制作過程で著作権を「自分ごと」として考えさせる機会を作るのが著作権教育の実践のひとつです。子どもたちに身近な事例として、次の3つを紹介します。

 

恋ダンスで考える「なぜ削除が求められたのか」

星野源さんが作詞作曲した楽曲「恋」に合わせて、出演者たちが踊った「恋ダンス」はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のプロモーションとして話題を集め、放映中はYouTubeへのアップロードが奨励されていました。しかし放映終了後は動画の自主的な削除が求められました。

「なぜ放映中はよくて、終わったら削除なのか?」と問いかけてみると、プロモーション目的での許諾の緩和と、期間終了後の権利保護の回復という著作権の考え方を子どもたちが自然に考えるきっかけになります。

 

恋チュンで考える「誰のチャンネルに動画があるのか」

AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」(作詞:秋元康・作曲:伊藤心太郎)は、多くの団体・企業・官庁までが振り付けを踊ってYouTubeに動画を投稿しました。ポイントは、それらの動画が参加者それぞれのチャンネルではなくAKB48の公式チャンネルで公開されていたことです。公式チャンネルで公開されることで、収益はJASRACを通じてAKB48に分配される仕組みになっていました。

「誰のチャンネルに動画が上がっているか」という視点から、著作権と収益の流れを考える教材として活用できます。

 

踊ってみた動画は何に気をつければよいか

BTSやNiziUのような特徴的なダンスを真似た「踊ってみた」動画をYouTubeに投稿することについては、振り付け・ダンス自体は原則として許諾不要です。営利を目的とせず、ただ見てほしいという目的で投稿することは問題になりにくいとされています。(ただし、振り付けに創作性が認められる場合には著作権者の許諾が必要になる可能性もあるため、心配な場合は専門家に確認することをお勧めします。)

一方、使用する音源には著作権があります。市販CDなどをそのままアップロードすることは認められておらず、注意が必要です。YouTubeで自分が演奏・カバーした音源を使う場合は、YouTubeがJASRACに使用料を支払う仕組みがあるため対応が異なります。

大切なのは、ダンスをアップロードするとき「何を音源にするのか」という視点で、音楽と舞踊の両方の著作物を意識することです。

▶ 動画では 7:10〜 で踊ってみた動画と音源の著作権について詳しく解説しています。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. 学校の運動会でダンスをする場合、振り付けの著作権許諾は必要ですか?
A. 著作権法第35条の学校教育の例外に該当するため、授業や学校行事の一環であれば既存の振り付けを使うこと自体は原則として許諾不要です。ただし、その様子を動画に収めてYouTubeなどで一般公開する場合は音楽の著作権への配慮が別途必要になります。

Q. 公式の振り付け動画と一般投稿の動画はどう違いますか?
A. チャンネル名の右側に「丸にチェックマーク」の公式マークがあれば公式チャンネルです。公式チャンネルの動画は収益がJASRAC/NexToneを通じて著作者に還元されます。一方、一般投稿の運動会向けダンス動画にはそれぞれ著作者がおり、使用条件や料金が設定されている場合もあります。

Q. 文化祭で「踊ってみた」を発表するとき、著作権は問題になりますか?
A. 文化祭での発表は著作権法第35条の学校教育の範囲に含まれるため、振り付けの利用は原則として許諾不要です。ただし、使用する楽曲の音源については学校行事であっても権利処理の確認が必要な場合があります。


この記事のテーマについて、学校向けの著作権研修・出前授業も承っています。現場に即した内容でお届けしますので、お気軽にご相談ください。

▶ 著作権研修のテーマ一覧 → https://maruc.work/copyright-training-themes


【根拠・参照情報】
文化庁「著作権テキスト」(最新年度版)、文部科学省「中学校学習指導要領(保健体育:ダンス)」、著作権法第10条・第35条。著作権法の条文は改正される可能性があります。最新の内容は文化庁の公式サイトでご確認ください。

 

この記事は、動画「踊ってみた動画と学校のダンス著作権【振り付け・音源の注意点】」をもとに作成しました。

「もっと体系的に学びたい」「校内で共有したい」という方へ
本記事の内容を含め、学校現場での著作権対応を体系的にお伝えする研修を行っています。
教育委員会・学校単位・研究会単位でのご依頼も受け付けています。これまでの研修例については、先生向け研修・生徒向け授業・司書向け研修をご覧ください。

研修のご依頼・ご相談は
こちらの専用ページで受け付けています。
その他のご相談などは
こちらの問い合わせページから受け付けています。

この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

原口直をフォローする
PR