2026年1月6日、北海道学校図書館協会のご依頼で、著作権研修を担当いたしました。テーマは「生成AIと著作権」。学校司書・司書教諭の方々を中心に約50名が参加くださり、AhaSlidesを活用した双方向形式で120分間にわたって実施しました。
前年度(2025年)に続く2回目のご依頼で、今回はさらに内容をバージョンアップしてお届けしました。
なお、今回はJASRAC(日本音楽著作権協会)主催「出張講座JASRAC ラーニングスクエア」の制度を使った研修でした。出前講座の制度や申込み方法については「学校で使える!「出張講座JASRACラーニングスクエア」の活用法と事例紹介」で詳しく解説しています。
研修の全体像 ── 司書だからこそ気になる著作権
学校図書館に関わる方が著作権を考えるとき、「書影はどこまで使っていい?」「読書だよりの本の表紙画像はOK?」「図書館だより用に、本の文章を引用するときの要件は?」といった疑問が頭に浮かぶかもしれません。研修の現場でも、図書館業務ならではのこうした問いが次々と出てきます。
今回は、そうした学校図書館固有の視点を踏まえつつ、さらに「生成AI」という時代のテーマを加えた構成でお届けしました。参加者は約50名。研修の冒頭からAhaSlidesを使ったアンケートでアイスブレイクを行い、参加者同士の反応を画面で共有しながら進める対話重視のスタイルをとりました。
研修の主なトピック
研修では次のテーマを扱いました。
著作権の最新動向
著作権法や関連制度(SARTRASによる授業目的公衆送信補償金制度など)の直近の動きを、現場に必要な情報に絞ってお伝えしました。著作権法第35条(授業の過程での複製等を認める規定)の詳しい解説については、こちらの記事をご参照ください。→ [学校著作権の解説記事]
出版社の利用規約を実際に読んでみる
研修では、参加者の方々が各出版社の著作権に関するページを実際に調べ、その結果を共有する実習を行いました。AhaSlidesの画面には「岩波はほぼフリー」「会社によって違いすぎる」「きちんと調べる必要があると思った」など、参加者の率直な気づきが次々と上がりました。利用規約は出版社によって対応が大きく異なるため、個別に確認する習慣が大切です。この点については、こちらの記事も参考になるかもしれません。→ [イラスト・利用規約に関する解説記事]
生成AIと著作権
生成AIに関するキーワード(ChatGPT・Gemini・Copilot・プロンプト・ハルシネーションなど)の認知度を事前にアンケートで確認したうえで、生成AIの入力(プロンプト)・出力を一緒にみていきました。参加者の多くは生成AIをプライベートで使ったことがある(28名)一方、校務・授業での活用はまだ限られている(校務9名・授業4名)という実態も見えてきました。著作権の観点から生成AIとどう向き合うかを、実際の出力や文科省のガイドラインを見ながら考えていただきました。→ [生成AIと著作権に関する解説記事]
研修のポイント ── 「知っている」を「使える」に変える
研修先でよく耳にするのは、「著作権は難しい」「うっかり違反してしまいそうで怖い」という声です。今回のアンケートでも、「著作権」という言葉からイメージする言葉として「難しい」が最も大きく表示されました。
大切なのは、いたずらに恐れるのではなく、正しく知って正しく使えるようになることです。研修では、出版社の利用規約を実際に調べたり、生成AIの入力・出力を一緒に確認したりと、「知識を得る」だけでなく「自分で調べる経験をする」ことを意識して設計しました。
著作権に困ったとき、誰に聞くかを尋ねたアンケートでは「Google先生」が最多(29名)でした。検索してたどり着く情報の正確さを見極める力を磨くことも、著作権を現場で活かすための一歩だと考えています。
主催者の声と参加者の反響
今回のご依頼は、数年前の研修会でのご縁がきっかけでした。前年度も同様の内容で研修を行い、「今年度のバージョンアップ版をぜひ」とのご判断で再度お声がけいただいたと伺っております。大変ありがたいご依頼でした。
研修中の「ひとこと感想・質問」では、参加者の方々から多くのコメントをいただきました。いくつかご紹介します。
「今年度も変わらず参考になりました。利用規約を自分で確認することの大切さを実感できました」
「生成AIのデモンストレーション、手を動かして試してみることで学びが深まると感じました」
「出版社によって対応がこんなにも違うとは知りませんでした。これからきちんと調べようと思います」
「著作権について、もう少し深い内容を学べる機会があればさらに良かったです。今後も続けてほしいと思います」
生成AIの感想としては、「便利だけど間違いも多い」「参考にはなるが全部を信じてはいけない」「使いながら著作権を侵害していないか気になっていた」といった、便利さと不安を同時に感じているコメントが目立ちました。このリアルな感覚を起点に著作権を考えてもらえたことは、今回の研修で最も手応えを感じた部分のひとつです。
おわりに
今回の研修を通じて、学校図書館に携わる方々が、著作権を「難しいルール」ではなく「自分で調べて判断できること」として受け止め直すきっかけになれば幸いです。北海道学校図書館協会の皆様、参加してくださった学校司書・司書教諭の先生方、どうもありがとうございました。
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