知的財産権・著作権に出てくる著作物について、
2.各著作物を学ぶ方法
3.著作物に応じた教育
をシリーズで紹介します。
今回は「美術」を取り上げます。
美術というと図画工作や美術科と想像しがちですけれども、キャラクターやブランドロゴなど学校に関わる美術もたくさんあります。
学校の中にあるキャラクター・ブランドロゴどんなものがあるでしょうか?
また、子どもたちが好んで使うようなキャラクターやブランドロゴは何でしょうか?
今回は子どもたちや学校の先生に身近なキャラクター・ブランドロゴを発信している
ディズニー
ルイヴィトン
集英社
いらすとや
それぞれの著作権者の公式サイトから著作物の扱いについて調べてみたいと思います。
例えばポケモンのキャラクターを何か使いたいと思ったときに「ポケモン 著作権」などで調べてみると思いますけれども、そこにはさまざまな人の見解…例えば弁理士さんや著作権の専門家の方の回答が載っていたりします。その内容はその人個人の見解であったり、「こうではないだろうか」というような内容です。
実際にそれぞれの公式サイトでは「どのような扱いをしなさい」という風に書いてあるのでしょうか。今回初めていろいろなサイトを見てみました。それを皆さんに紹介して学校で使う場合のヒントにしていただきたいと思います。
まずは著作権の基礎・基本から。
著作権は知的財産権の中にあり、美術はその中の1つです。
作った人のものだから、使うとき増やすとき変えるときには作った人に許諾が必要。
美術の場合は描いた人、制作した人、その人に許諾が必要ということです。学校は例外。許諾が不要であるのは学校の授業の場合です。
美術の著作物とは?絵画・版画・彫刻などの基本概念
著作権法は全部で124条あり、その中に著作物と定められているものが第2章の中にあります。
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
4つ目「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」というふうにあります。
学校で使う美術の作品はどのような場合があるでしょうか。
例えば、行事の看板(文化祭や運動会など)で行事の看板を作ると思います。そこにキャラクターやロゴなどを使うということよくあると思います。
またクラスのTシャツ(クラT)にもイラストやキャラクターを使うことあると思います。
そして、学校ではしおり…修学旅行や行事、遠足そういったものに欠かせないしおり。このしおりの表紙や中の挿絵、そういったものにも美術の著作物を使うことあると思います。
また授業では、図画工作や美術、技術や家庭科の作品の中でキャラクターやロゴを使う機会もあると思います。図画工作・美術の絵画や彫刻などはもちろん、技術の分野で言うと Tシャツを作ったり、マグカップを作ったり、木工のブックスタンドの絵柄を考えたり。家庭科では刺繍などで使うこともあると思います。
今お話ししたものはすべて授業にあたりますので、著作権法第35条学校の例外にあたり許諾不要で著作物を使うことができます。
ポケモン・ディズニー・ルイヴィトンなどの著作権ルール
美術の著作物の代表であるキャラクターやブランドのロゴ。
「こういったものをどのように使えばいいのか」「使う時に許可が必要なのか」ということを、誰かの見解やウワサではなく公式サイトを見ながらその公式サイトの著作権についてどのように各サイトで書かれているかということを調べてみました。
「ディズニーは使いにくいらしい」とか「ディズニーはうるさい」とかそういったウワサあると思いますけれども、ディズニーに限らず全ての著作物は著作者に権利があります。
実際にサイトを見せながら、もしくはサイトのスクリーンショットを見せながらお話できれば良いのですが、残念ながら著作権がありますので文字のみとなります。
ぜひ本物の公式サイト見てみてください。とても面白いですし、凝った作りになっています。
ポケモンのキャラクターの著作権ルール
ポケットモンスター公式サイトの「ご利用について」から、ポケットモンスターオフィシャルサイトの「ご利用について」「著作権について」ではオフィシャルサイトの著作物について書かれています。
学校では使用することができても、学校外で使うことは厳しく制限されています。
ディズニーのキャラクターの著作権ルール
ディズニーは東京ディズニーリゾートのホームページサイトトップから「法的制約と使用条件」という中に「コンテンツの使用制限」という文章がありました。第一段落だけ読みます。
このように東京ディズニーリゾートのウェブサイト上にあるコンテンツは、条件を限って使用することができます。これ初めて知りました。
ルイヴィトンの著作権ルール
サイトを見せできないのが残念なぐらい、とてもオシャレなサイトですので、ぜひルイヴィトンの公式サイトアクセスしてみてください。
公式サイトの「サイトのご利用に際し」というのが一番下のところに小さく書いてあります。その中に「リーガル」という項目があります。そこに著作権について書かれています。
一番初めにお見せした知的財産権の中に、著作権や商標・意匠といったものが書かれています。詳しく知りたい方は商標や意匠を調べてみてください。
集英社のキャラクターの著作権ルール
代表作には『鬼滅の刃』『ONE PIECE』『ドラゴンボール』などなど多くの著作物を持っている、またたくさんの著作者を持っているのが集英社です。『週刊少年ジャンプ』が代表的な作品です。
集英社の公式ホームページトップから「著作権」というのが一番上右端にあります。非常にわかりやすい場所にあります。それをクリックすると「お問い合わせ」というところに飛んで、集英社の著作権について質問形式で書かれています。また多数の質問から質問を検索することもできます。
代表的な質問がここに書かれていました。
例えば「集英社の出版物の著作権についてFAQに掲載がないことで確認したい」また「出版物の表紙やカバー、中ページの絵柄や文章、漫画のコマなどを使いたい」といった具体的な質問事項が書いてあります。どの回答を見ても基本的には「個人には使用を許可しておりません」というものが多いです。
集英社のキャラクター子どもたちが大好きなものもあると思いますので、教育・授業には使いやすいものだと思います。ぜひ集英社のホームページ見てみてください。
いらすとやのイラストの著作権ルール
フリーのイラストがたくさん出ていて、学校用にもたくさんイラストが準備されています。私もよく使います。
このいらすとや「著作権 フリー」と検索すると出てくるので「著作権フリーなのかな?」と思いきや、トップ画面から「ご利用について」というところを読むと、「著作権は放棄してない」と書かれています。
この「規約の範囲」というのも「ご利用について」の中に詳しく書かれています。個人での利用については動画20点までという制限もあったりしますので、気をつけてみてください。
いらすとやを始めとして、著作権フリーというものも著作権を放棄してない場合が多いですので、十分に気をつけてご使用ください。
今回は子どもたちが好きそうな、「ポケモン・ディズニー・ルイヴィトン・集英社・いらすとや」とみました。
けれども、「では、これはどうなの?」という例えばジブリとか小学館とか。そういったもの気になるものは、ぜひご自身で公式サイトを探してみてください。
必ず「著作権について」とか「ご利用について」といったページがあります。そこに何が書かれているのか、どのように書かれているのかぜひ調べてみてください。
図工・美術・技術・家庭科での著作権教育の実践方法
学校で使う美術の著作物たくさんの種類があることがおわかりいただけたと思います。
行事の看板を作る時やそれを指導する時、また図画工作・美術、技術・家庭科の作品を作らせる前、こういった授業や行事の一環・制作の過程で著作権について話してみたり、意識を向けさせたりするというのはいかがでしょうか。
児童生徒自身が何かを制作するときに他の人の著作物を参考にしたり、見てみたり、時にはそれを使ってみたくなるという気持ちよくわかります。
また子どもたちに持ってほしいのは「自分にも著作権がある」ということ。自分が生み出したもの・作った著作物にも著作権があるということをぜひとも知らせたいところです。
授業実践例:新キャラクターを考える著作権教育
例えば「新しいキャラクターを考えさせる」なんていう実践はいかがでしょうか。
今日ご紹介したポケットモンスターや妖怪ウォッチなど既存のキャラクター、こういったものの魅力をプレゼンさせて、その魅力がどこにあるのかどんな特徴があるのかということを子どもたち自身に考えさせるというのはいかがでしょうか。
授業の範囲でしたらキャラクターを使うことは可能ですので、プレゼン資料にキャラクターを載せることも可能です。ただし、「授業の中だからできている」ということを同時に教え、学校の外ではできないということも教えておくと一緒に学べると思います。
また、「それがどうしてなのか?」「学校だと良くて外とダメだという理由は何だろう?」ということを考えさせてみたり、今回私がやったようにさまざまな公式サイトを見てみるのも勉強になると思います。
GIGA端末を使えば1人1個ずつ公式サイトやキャラクターを調べることができると思いますので、ぜひ他のサイトも見てみてください。
まとめ:キャラクター・ロゴを使った著作権教育のポイント【図工・美術・技術・家庭科】
今回は著作物を使うために制限があるものを紹介しましたけれども、著作権フリーのものやパブリックドメインといったもの、また著作権の保護期間が切れた美術作品が使えるといった例もあります。
ダメを教えるのではなく、こうやって使えばいいという前向きな情報も子どもたちに教えてあげられるといいと思います。
今日は色々な著作物「美術」についてお話ししました。著作権教育と同時に著作者や著作物、そして文化を守る心・文化を育てる心そういった教育も同じくらい重要です。ぜひ考えてみてください。
この記事の内容は動画と同じです。
動画「キャラクター・ロゴを使って著作権教育をしよう【図工・美術・技術・家庭科】」も是非ご覧ください。
コメント