学校図書館に1冊しかない本を、児童がGIGA端末で撮影して調べ学習に使う――GIGAスクール構想が進んだことで、こうした場面が各地の学校で見られるようになっています。
便利な使い方ではありますが、「これは著作権上、問題ないのだろうか」と迷う先生も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、小学校の先生から寄せられた実際の質問をもとに、学校図書館の本の撮影利用に関する著作権のポイントを整理します。
実際に寄せられた質問と回答
これは、小学校の先生から寄せられた実際の質問です。この点については、学校図書館の著作権に詳しい専門家にも確認しました。同様の質問が各校からも多く寄せられているようで、GIGAスクール時代における学校図書館の著作権の扱いは、現場が整理を求めている課題の一つです。
- Q児童が学校図書館の資料(1冊しかない)のページをGIGA端末で撮影し、自分の持ち資料として使うことは著作権的に大丈夫?
- A
基本的にOKですが、以下の条件に注意が必要です。
1.「終了後に破棄すること」という条件付きで許可されます。
つまり、学習が終わった後、その資料が不要になった時点で撮影した写真を削除する必要があります。2.注意点
・その資料を保存して学校図書館で再利用するのはNGです。
・「個人的に持っているだけなら破棄する必要はない」という見解もあります。
回答を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本的な扱い | 調べ学習の目的での撮影は可能と考えられる |
| 条件 | 学習終了後、不要になった時点で撮影した写真を削除すること |
| NGな使い方 | 撮影したデータを保存して、学校図書館の資料として再利用すること |
| 注意を要する見解 | 「個人的に持っているだけなら破棄の必要はない」という考え方もあり、見解が分かれる部分がある |
「終了後に破棄する」とはどういう意味か
「学習が終わったら削除する」という条件は、少し抽象的に感じるかもしれません。具体的には、その資料を使う学習や調べ活動が一段落したときが目安になります。単元が終わった、レポートを提出した、といったタイミングで、撮影したデータを削除することが求められます。
この考え方の背景にあるのは、著作権法における**「複製」の扱い**です。授業の過程での複製は一定の範囲で認められていますが、それはあくまで授業目的に必要な範囲に限られます。必要がなくなったあとも手元に置き続けることは、その範囲を超える可能性があります。
学校図書館と著作権:現場が抱えている課題
この問題の難しさの一つは、学校によって学校図書館司書が常駐していなかったり、司書教諭の免許を持つ教員がいなかったりすることです。そのため、現場でこうした著作権の判断に答えられる体制が整っていないケースも多くあります。
GIGA端末の普及によって、「撮影する」「データで資料を使う」という行動が当たり前になってきた今、著作権の扱いについて学校図書館担当者や教員が連携して確認しておくことが、より重要になってきています。
よくある質問(FAQ)
Q:授業中に図書館の本を撮影することと、家に持ち帰って使うことは同じですか?
A:目的が「授業の過程での調べ学習」であれば、授業中の撮影と同様の考え方が適用できると考えられます。ただし、学習目的を超えた使い方(たとえば趣味のための保存など)は別の話になります。学習目的の範囲内にとどめることが大切です。
Q:複数の児童が同じページを撮影してもよいですか?
A:全員が同じ調べ学習の目的で使う場合は、同様の考え方が当てはまると考えられます。いずれにせよ、学習終了後は各自で削除することが前提になります。
Q:撮影した画像を学習発表会のスライドに使うことはできますか?
A:「授業の過程」の中でのスライド利用であれば、一定の範囲で可能と考えられます。ただし、発表後の扱いや、対外的な公開を伴う場面では別途検討が必要です。著作権法第35条の運用指針の最新版を確認することをおすすめします。
まとめ
GIGA端末を使った学校図書館の本の撮影は、「授業の過程での一時的な利用」という条件のもとで基本的には問題ないと考えられます。ただし、「学習終了後は削除する」「保存して再利用しない」などというルールを、先生として児童に事前に伝えておくことが大切です。
著作権の問題は「何がOKで何がNGか」を一言で言い切れない場面も多くあります。いたずらに恐れるのではなく、「なぜその条件が必要なのか」という背景も含めて、先生自身が理解しておくことが、児童への著作権教育にもつながっていきます。

参考・根拠
- 著作権法第35条(学校その他の教育機関における複製等)
- 改正著作権法第35条運用指針(最新年度版)/一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)
- 東京学芸大学 学校図書館司書への確認(本記事の質問に関して)


