合唱コンクールの練習のため、CDのパート音源をデジタルファイルに変換してGoogleドライブで生徒と共有したい。そんな場面で「著作権的に問題ないのか」と迷う先生からの相談は、研修の場でも耳にします。
この記事では、CDから音声ファイルへ変換する行為(複製)とGoogleドライブでの共有(公衆送信)それぞれに関わる著作権・著作隣接権の考え方を整理します。利用が「授業の過程」に該当するかどうか、SARTRASへの補償金支払い状況、そして出版社・レコード会社への個別確認が必要な場面を確認しておきましょう。
パート音源の共有に関わる「2種類の権利」
まず前提として、市販CDのパート音源には2種類の権利が関係しています。
① 楽曲の著作権(作詞者・作曲者の権利) 歌詞や楽曲そのものに対する権利で、JASRACやNexToneが管理していることが多いです。
② 著作隣接権(レコード製作者・実演家の権利) CDに固定された録音物(音源)そのものに対する権利です。CDを発売したレコード会社などが持つ権利で、著作権とは別に存在します。
重要なのは、CDのパート音源をデジタルファイルに変換してGoogleドライブにアップロードする行為には、この2つの権利が両方かかってくるということです。
▼著作権の基本について


Q. CDのパート音源をデジタルファイルに変換してGoogleドライブで共有する場合、許諾は必要ですか?
- Q中学校で校内の合唱コンクールをします。練習をするために、パート音源をCDから取り込み、Googleドライブで共有します。この場合、著作権者やCDレコード会社に許諾等の手続が必要になるのでしょうか?
- A
原則として、原則として、楽曲の著作権者と、CD音源に関する著作隣接権者(レコード会社など)への許諾が必要です。
ただし、音楽科や特別活動の「授業の過程」での利用であり、学校(または設置する教育委員会)がSARTRASに補償金を支払っている場合は、一定の条件のもとで許諾なしに利用できる場合があります。
条件2:SARTRASへの補償金支払いがあること(公衆送信の場合)
CDのパート音源をGoogleドライブにアップロードして生徒と共有することは、著作権法上の公衆送信(送信可能化)にあたります。
授業の過程での公衆送信については、第35条の対象となりますが、複製と異なり、補償金の支払いが必要です(同条第2項)。学校または設置する教育委員会が、SARTRASに「授業目的公衆送信補償金」を支払っていることが前提になります。
なお、SARTRASの補償金制度は著作隣接権(レコード製作者・実演家の権利)にも準用されます。そのため、授業目的の公衆送信として要件を満たすのであれば、CDのレコード会社(著作隣接権者)への別途許諾は原則として不要です。
学校がSARTRASへの補償金を支払っているかどうかの確認方法については、SARTRASに申請済か確認する方法を紹介の記事でも解説しています。
条件3:共有の範囲(人数・期間)
授業目的での公衆送信として認められる場合でも、共有できる範囲には限りがあります。
人数面:原則として、その授業・活動に参加する生徒のみがアクセスできる状態にすることが求められます。授業支援クラウドでIDとパスワードを設定するなど、「授業の履修者のみに限定」されていることが重要です。クラス以外の生徒や保護者が自由にアクセスできる状態は適切ではありません。
期間面:「必要と認められる限度」の観点から、その曲を使う授業・行事が終了したら速やかにファイルを削除することが求められます。次の年度のために保存し続けるような使い方は、著作権者の利益を不当に害する可能性があります。
条件4:出版社やレコード会社への個別確認
授業目的・SARTRAS支払い済みの要件を満たす場合でも、利用しようとする音源によっては、出版社やレコード会社が独自の利用条件を設けているケースがあります。
特にパート音源CDを出版社が教育目的で提供している場合、利用許諾の範囲が付属の説明書や利用規約に記載されていることがあります。購入時に確認した記憶がない場合は、改めて確認することをおすすめします。



