生成AIと著作権【第3回】教科書をAIに読み込ませて要約、授業準備なら大丈夫?

生成AI活用(校務・授業)
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先生のための生成AI活用講座
授業や校務での実践的な生成AI活用法について、コピペしてすぐに使えるプロンプトやリスク対策も含めて、教職員に必要な情報を紹介しています。

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授業や校務で使える実践的な生成AI活用法を紹介。コピペして使えるプロンプトやリスク対策も含めて、生成AI初心者でも生成AIがすぐに使えるよう分かりやすく解説しています。

「教科書や資料集をPDFにしてAIに読み込ませ、要約させてもいいのでしょうか」。研修先で、こうした質問を受けることが増えました。

資料をアップロードすれば、要約も質問への回答も、スライドや音声解説まで作ってくれます。Gemini Notebook(NotebookLM)を触ったことのある先生なら、便利さはご存じでしょう。この記事は、生成AIと著作権を先生の目線で読み解くシリーズの第3回にあたります。

生成AIと著作権を3つの段階で整理|先生が関わるのはどこ?【第0回】
生成AIと著作権の話は「作る」「使う」「できたもの」の3段階に分かれます。ニュースで大きく報じられるのはどこか、学校の先生が判断を迫られる場面が多いのはどこか。SARTRASの連載をもとに、学校著作権ナビゲーターが整理しました。

 

資料を読み込ませるタイプの生成AIを先生が使う場合、著作権法のどの例外が手がかりになるかは「何のために使うか」で変わります。

授業のための教材づくりであれば、著作権法第35条(学校などで授業の過程にあたる利用について、コピーやネットで配る・アップすることなどを、一定の条件のもとで認める規定)の範囲で認められる場合があります。
一方で「自分の勉強のためのコピーだから」という理由は、授業準備には使えません。仕事としての利用にあたるからです。

 

 

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まず「AIに分析させるだけの使い方」という例外があります

著作権法には、使う目的に応じた例外がいくつか用意されています。そのひとつが、AIに分析させるだけの使い方(作品を味わうために使うのではない使い方)です。読み込ませた資料そのものを人が閲覧して味わうことがなく、しかも出てきたものに元の資料の創作的な表現が入っていない。この2つがそろい、しかも必要と認められる限度にとどまるなら、許諾なしに認められる可能性があります(著作権法第30条の4)。

ただ、著作権情報誌『さあとらす』の連載「生成AIと著作権の今」の中で今村先生は、この例外が実際に当てはまる場面は多くないと見ています。読み込ませた資料をまったく開かないまま済ませることは、あまりないからです。出てきたデータのなかに、元の資料の創作的な表現が残ってしまう可能性もあります。そうなると、読み込ませた行為のほうに、この例外が当てはまらなくなることがあるのです。

例外の限界もあわせて押さえておきましょう。作品を味わう目的が混ざっている場合には、許諾が必要と考えられています。また、著作権者の利益を不当に害することになる場合には、この例外の適用を受けられません。「分析させるだけだから大丈夫」と広げないほうが安全です。

 

 

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「自分の勉強のため」は授業準備には使えません

次の例外は、個人の学習や私的な研究のためのコピーを認めるものです(第30条第1項)。出力を確かめる過程で元の資料を読んだり、出てきた文章に元の表現が入っていたりして、作品を味わったといえる状態が生じたとしても、利用が個人の学習や私的な研究にとどまるなら、この規定で適法になる場合があります。

重要なのは、ここに先生の授業準備が入ってこないことです。教員が授業準備のために使う場面は、業務としての利用になります。そのため私的使用のための複製にはあたらず、この規定は使えません。

 

 

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授業のための利用なら第35条の出番です

では先生に道がないのかというと、そうではありません。教材づくりを含めて授業のために使う場面には、もうひとつの例外があります。学校など教育機関での利用が「授業の過程」にあたるのであれば、第35条により、必要と認められる限度で、コピーやネットで配る・アップすること(授業目的公衆送信)が認められます。

今村先生が例に挙げているのは、授業で使う文献をGemini Notebook(NotebookLM)に要約させ、その出力を授業のなかで配ったり、LMS(学習管理システム)に置いたりする場面です。出てきたものに元の資料の創作的な表現が入っていても、侵害には当たらない可能性があるとされています。

ただし、無条件ではありません。出所を明示すること、同一性保持権(著作者の意に反して勝手に改変されない権利)を侵さないことなど、気をつけたい点があります。第35条の条件そのものは動画「著作権法第35条とは?学校の授業で著作物を使える条件を解説」で扱っています。

著作権法第35条とは?学校の授業で著作物を使える条件をわかりやすく解説
著作権法第35条は、学校の授業で著作物を複製・公衆送信・公の伝達できることを定めた規定です。適用される条件と「授業」「複製」の範囲、先生がやりがちな誤解を、学校著作権ナビゲーター・原口直が研修経験をもとにわかりやすく解説します。

 

なお、LMSに置いて児童生徒が取り出せる状態にすることは、ネットで配る・アップすること(公衆送信)にあたり、学校の設置者が授業目的公衆送信補償金を支払っていることが前提になると考えられます。仕組みはSARTRASの補償金について解説した記事にまとめています。

SARTRAS(サートラス)とは?授業目的公衆送信補償金制度をわかりやすく解説
SARTRAS(サートラス)とは、授業目的公衆送信補償金等管理協会のことです。オンライン授業や資料のメール送信がなぜ許諾なしでできるのか、補償金は誰がいくら払うのか、自校が支払い済みかを確認する方法まで、学校の先生向けにわかりやすく解説します。

 

使い方手がかりになる例外確認したいこと
資料も出力も人が味わわない形で、分析だけさせるAIに分析させるだけの使い方実際に当てはまる場面は多くない/必要と認められる限度か/利益を不当に害しないか
個人の学習・私的な研究のために読み込ませる第30条第1項(私的使用のための複製)授業準備など、仕事としての利用はここに入らない
授業のために教材を作り、授業内で配る・LMSで提供する第35条(授業の過程での利用)必要と認められる限度か(LMSは補償金の支払いが前提)

 

 

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いちばんの落とし穴は「共有機能」です

ノートブックごと共有し、児童生徒が元の文献そのものを開ける設定にしてしまう。あるいは、AIが返した答えに元の文献の表現が色濃く残ったまま、それを渡してしまう。こうした使い方には注意が必要だと指摘されています。

授業に必要な限度を超えている、あるいは市販教材の売上を妨げるなどして「著作権者の利益を不当に害する」——そう判断された場合には、第35条の枠から外れ、侵害にあたるおそれが出てくるとされています。使える範囲かどうかは、注意深く見きわめる必要があるのです。

自分で読み込ませて要約を作るところと、それを共有するところ。分けて考えると、判断しやすくなります。共有ボタンを押す前に、一度止まりたいですね。

こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマの一覧もご覧ください。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. 作った要約を、ノートブックごと生徒に共有してもいいですか?
A. 生徒が元の文献そのものを開ける状態のまま渡すことは、授業に必要な限度を超えていると判断される可能性があります。共有の範囲がその限度に収まっているか、その都度確かめたいところです。

Q. 自分の研究のために論文を読み込ませるのは大丈夫ですか?
A. 個人の学習や私的な研究のための利用であれば、第30条第1項によって適法となる場合があります。ただし、校内研究や研究授業の準備のように職務として行う研究や、同じ資料を授業準備のために使う場面は業務上の利用となり、この規定は適用されません。

 

 

まとめ

AIに分析させるだけの使い方、個人の学習や私的な研究、そして授業の過程での利用。先生が立つことが多いのは3つめで、そこには「必要と認められる限度」という線が引かれています。

今村先生は、こうしたツールを、教材づくりの時間を節約し、生徒に向き合う時間を増やしてくれるものだと評価しています。同時に、他者の著作権を守り、適法なルールのもとで活用することも求められると結んでいます。いたずらに恐れるのではなく、目的と分量、そして共有範囲を確かめる。そこから始めてみましょう。

学校の著作権を基本から確かめたい方は、学校著作権の基本をまとめたページもあわせてご覧ください。


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参考資料

  • 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)著作権情報誌『さあとらす』連載「生成AIと著作権の今」(今村哲也・明治大学情報コミュニケーション学部教授)Vol.9
  • 文化審議会著作権分科会 法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年〔2024年〕3月15日)
  • 授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)「改正著作権法第35条運用指針(令和3〔2021〕年度版)」

生成AIと著作権をめぐる整理は現在も続いています。最新の状況は文化庁の公式発表でご確認ください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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