学校図書館の著作権とデジタル資料の活用|北海道教育庁主催【研修事例】

学校司書向け著作権研修の事例紹介
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2026年7月29日、北海道教育庁の主催で、「学校図書館の著作権とデジタル資料の活用」をテーマに研修を担当しました。オンラインでの実施、時間は60分です。北海道内の学校図書館に関わる皆様に、道内各地からご参加いただきました。

なお、今回はJASRAC(日本音楽著作権協会)主催「出張講座JASRAC ラーニングスクエア」の制度を使った研修でした。出前講座の制度や申込み方法については「学校で使える!「出張講座JASRACラーニングスクエア」の活用法と事例紹介」で詳しく解説しています。

 

 

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著作権研修の講師を承っています
本記事の内容を含め、学校現場に合わせた著作権研修を行っています。
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北海道全域から、オンラインで集まる60分

研修のはじめに、参加者のみなさんに「どこから参加していますか」と地図上にピンを立てていただきました。道央はもちろん、道北、道東、道南まで、画面の中の北海道にピンが広がっていきます。

北海道教育庁の研修に伺うのは、令和6年度(2024年度)の学校図書館課題別講習に続いて2回目です。前回の講習をきっかけに、今回もお声がけいただきました。学校著作権ナビゲーターとして各地の研修に伺うなかでも、学校図書館の担当者向けというテーマは、教科の授業とはまた違った場面が次々に出てくる分野です。

図書だよりに新刊の書影(本の表紙の画像)を載せる。新着図書の紹介コーナーを作る。図書委員会の子どもたちがしおりを作って配る。廊下に詩や作品を掲示する。どれも学校図書館では当たり前の営みですが、どれもが著作物と隣り合わせです。研修では、こうした「学校図書館のあるある」を起点に組み立てました。

 

 

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研修で扱った主なトピック

60分のなかで、次のような内容を取り上げました。

  • なぜ今、著作権を知る必要があるのか(子どもが当事者になった事例、生成AIの広がり)
  • 著作権の基礎(知的財産権とは何か、他人の著作物を使うときは許諾が原則であること)
  • 学校だからこその例外(著作権法第35条=授業の過程での利用を認める規定。ただし一定の条件のもとでの例外です)
  • 授業目的公衆送信補償金制度とSARTRAS(補償金を誰が支払い、何ができるようになったのか)
  • 実際の利用規約を画面で確認する(いらすとや、スタジオジブリ、ポケモンなど、誰もが知っているサイトの規約ページを一緒に読む)

条文の細かな解説は、あえて研修では深追いしていません。限られた時間で持ち帰っていただきたいのは「調べ方」と「判断の順番」だからです。詳しい解説は、当サイトの記事にまとめています。

途中では、教員採用試験の過去問を使った「許諾は必要か、不要か」のクイズも行いました。26名の方に参加いただき、全問正解は9名。学校の日常に近い設問ほど判断が割れるのが、この問題の面白いところです。

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研修中アンケートから見えたこと

研修冒頭に「著作権からイメージする言葉を3つ」とうかがったところ、音楽、キャラクター、本、イラスト、写真、海賊版といった言葉が並びました。図書館に関わる方らしく「書影」「作家の権利」も挙がっています。

一方、キーワードの認知度(1=知らない〜4=知っている)をうかがうと、「著作権」が3.8だったのに対し、「著作権法第35条」は1.9、「SARTRAS」は1.5という結果でした。言葉としての著作権は知られていても、学校を支えている制度の名前までは届いていない。この差こそ、研修でお伝えしたい部分なのです。

 

 

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「あきらめる」でも「見て見ぬふり」でもなく

研修を通してお伝えしたかったのは、いたずらに恐れるのではなく、原則に則って確認すれば道は開ける、ということです。

こわいから使わない、と全部あきらめてしまうのは、子どもたちの活動の幅を狭めてしまいます。かといって、去年も大丈夫だったからと確認せずに続けるのも、足元が不安なままでしょう。

その間に、確認する・問い合わせるという第三の道があります。出版社に一言うかがえば使える場合もありますし、利用規約を読めば自分で判断できる場合もあります。正しく知って、正しく使う。そのための材料をお渡しするのが、この60分の役割だと考えています。

 

 

主催者・参加者の声

ご依頼くださった北海道教育庁の担当者の方からは、依頼の決め手として、学校現場での勤務経験があること、学校図書館と著作権の両方について講演実績があること、そして北海道が持つ地域特性を理解している講師であることを挙げていただきました。

研修後のアンケートでは、次のような感想もいただいています。

いらすとや、ジブリ、ポケモンなど誰もが知る事例について、実際のウェブサイトを見ながら説明していただいたことで、一層「自分事」として捉えることができました。

参加された先生方からも、その場でたくさんの声が寄せられました(要約して紹介します)。

  • 図書だよりに書影を載せることがあるので、事前にしっかり調べないといけないと思いました
  • 学校だよりについて著作権を意識したことがありませんでした。とても勉強になりました
    図書委員会でしおりを作ってプレゼントする、卒業に向けて廊下に詩を掲示する。これらもあきらめるばかりでなく、出版社に確認して行うという方法があったのだと考えさせられました
  • 新着図書紹介では許諾不要の出版社のものだけを使っていました。本の帯にも著作権があると知り、どういう形なら利用できるのか知りたいです
  • 著作権は常に判断が難しいと思っていましたが、基本的な考え方が分かり、少しスッキリしました

質問も活発にいただきました。学芸会の台本の扱い、二次創作、ワークブックの問題文がどこまで著作物にあたるのか、そしてクラウド上の生成AIサービスに資料のURLを入れて共有した場合はどうなるのか。特に生成AIと著作権については、いまも国レベルで整理が続いている論点ですので、断定的な回答は難しいのですが、文化庁の最新の見解を確認していただくようお伝えしました。

 

 

おわりに

学校図書館は、本や資料という著作物にいちばん近い場所です。だからこそ、判断に迷う場面も多いのだと思います。

今回いただいた質問は、どれも「本当は、もっといい形でやってあげたい」という思いから出たものばかりでした。その思いを実現するための道具として、著作権の知識を使っていただけたら、これほどうれしいことはありません。北海道教育庁のみなさま、ご参加いただいた先生方に、あらためて御礼申し上げます。

 

 

研修のご依頼について

学校図書館の担当者向け、教職員向け、児童・生徒向けなど、対象に合わせて内容を組み立てています。オンライン・対面のどちらにも対応しており、今回のように60分で全体像をつかむ構成もお選びいただけます。

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「もっと体系的に学びたい」「校内で共有したい」という方へ
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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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