2026年8月26日、みよし市教育研究会事務部会の主催で、「学校教育と著作権」をテーマにしたオンライン研修を行いました。受講されたのは、みよし市内の学校に勤める事務職員の方を中心とした約30名です。一部、教員の方にも参加していただきました。
120分の研修では、AhaSlides(参加者がスマートフォンから回答できる双方向型のプレゼンツール)を使ってアンケートやクイズを交えました。学校事務の現場で迷いやすい著作権のポイントを参加者の皆さんと一緒に考えた時間となりました。
研修の全体像:事務職員の方を中心にオンラインで120分
オンライン研修はどうしても一方通行になりがちです。そこで今回も、冒頭から参加者の皆さんに回答していただく形で進めました。
アイスブレイクのお題は「みよし市に来たら、これ食べて・見て」です。柿・梨・ぶどうを挙げる声がとても多く、「梨柿葡萄と言われています」という回答もありました。ほかにも、地元のうどん店やみよし餅、大提灯まつり、アートの小径など、地元ならではの名前が次々と画面に並びました。画面越しでも、地元の話題で場の空気が一気に和らぎました。
続いて、「著作権のことで自分が困ったことがある、または校内で困っている人を見たことがあるか」をたずねました。回答した25名のうち18名が「ある」を選んでいます。
「著作権」から思い浮かぶ言葉を聞いたワードクラウドでは、「イラスト」「画像」「音楽」「海賊版」が大きく表示されました。あわせて「線引きが曖昧」「よくわからない」「難しい」という声も目立ちました。
重要なのは、事務職員の方が著作権に触れる場面の多さです。学校だよりや配布文書、掲示物、学校ホームページ、校内研修の資料など、文書をつくる仕事の多くにイラストや写真、他者の文章が関わります。学校著作権ナビゲーターとして各地の研修に伺うなかでも、「文書に入れるイラストをどう扱えばよいか」という相談は、職種を問わず本当によく受けるのです。
研修の主な内容
なぜ今、著作権を知る必要があるのか
はじめに、著作権をめぐって子どもが逮捕された事例や生成AIの急速な広がりなど、最近の動きを紹介しました。著作権は「専門家だけが知っていればよいもの」ではなくなっているという問題提起から入りました。
著作権の基礎:知的財産権と「許諾が必要」という原則
著作権は知的財産権(人が生み出したアイデアや表現を守る権利の総称)の一つです。他人の著作物を利用するときは、原則として権利者の許諾が必要になります。
キーワードの認知度をたずねたところ、「海賊版」「いらすとや」はよく知られていました。一方で、「著作権法第35条」や「SARTRAS」はあまり知られていないという結果でした。学習指導要領のどこに「知的財産権」「著作権」が登場するかを考えるクイズや、教員採用試験の問題にチャレンジする「許諾が必要か・不要か」のクイズも行いました。

学校の授業における例外と授業目的公衆送信補償金制度
学校の授業には、著作権法第35条(学校などの授業の過程での著作物の利用について、一定の条件のもとで許諾なく利用できるとする規定)があります。ただし、学校で使うものなら何でも対象になるわけではありません。「誰が」「何のために」「どの範囲で」使うのかという条件を確認することが大切です。
あわせて、授業目的公衆送信補償金制度(授業のために著作物をネットワーク経由で送信する場合に学校の設置者が補償金を支払う仕組み)と、その窓口であるSARTRASについても紹介しました。


生成AIと著作権
生成AIの利用経験をたずねると(複数回答)、「校務で使ったことがある」が15件、「プライベートで」が8件でした。「授業で」は0件です。
使い方としては、お知らせ文の校正、処理手順のマニュアル化、外国人保護者向けの文章作成、行事チラシのイラスト作成、来校者向けの略地図づくりなどが挙がりました。校務での活用が、すでに身近なものになっていることがうかがえます。
一方で、キーワードの認知度では「ChatGPT」がよく知られていたのに対し、「文科省ガイドライン」は十分には知られていないという結果でした。生成AIと著作権の関係は現在も整理が続いている論点です。研修では、使っているサービスの利用規約とあわせて、文化庁や文部科学省の最新の資料を確認することをお伝えしました。

今日から、自分から、できることから
最後に、明日からの校務ですぐに取り組めることを整理しました。完璧を目指すのではなく、まずは身近な一枚の文書から見直してみることを提案しました。
研修後には、関連する動画やサイトをまとめた資料リンク集を、受講者向けに1か月間限定で公開しています。
研修のポイント:いたずらに恐れず、まず「利用規約」を確認する
今回いちばんお伝えしたかったのは、著作権をいたずらに恐れるのではなく、原則に則って確認する習慣を持つことです。
そう、判断の第一歩は、多くの場合「利用規約を読むこと」なのです。フリー素材サイトにも、商用利用や加工、点数の上限など、それぞれのルールが書かれています。研修後の感想でも、「利用規約」という言葉を挙げた方がとても多くいらっしゃいました。
正しく知って、正しく使う。事務職員の方が文書づくりの要として安心して判断できることは、学校全体の安心にもつながるはずです。
参加者の声と今後の展望
研修主催者の声
ご依頼の決め手として、「教職員のための」学校著作権研修を実施している点を挙げていただきました。ウェブサイトやご紹介をきっかけに知っていただいたとのことで、大変ありがたく思います。
役に立った内容としては、著作権を知るべき理由、著作権の基礎、学校の授業における例外、授業目的公衆送信補償金制度とSARTRAS、「今日から、自分から、できることから」、質疑応答と、幅広い項目を挙げていただきました。印象に残ったこととして、SNSのアイコンに関する話題も挙げていただいています。
この内容は、教員の方や管理職の方にも勧めたいとの声をいただきました。
研修参加者の声
研修の最後に、ひとこと感想をいただきました。一部を抜粋・要約してご紹介します。
- 「事務だよりを作るとき、イラストの使い方がわからず諦めたことがありました。利用規約にルールが書いてあることを今日初めて知りました」
- 「臆病になりすぎず、規約を確認することから始めたいです。来年度から学校のホームページも変わるので気を付けたいと思います」
- 「必要以上に侵害を恐れず使用できるようになり、今後の校務運営に活かせそうです」
- 「自分が何気なくやっていたことも、著作権に関わると感じるところがありました。まずは規約の確認からやっていきたいです」
- 「『市が補償金を支払っているから許されていること』をきちんと把握していないと、異動や卒業のあとに誤解してしまいそうだと思いました」
- 「クラス担任として、学年通信や教室掲示物を作成段階から見直したいと思います。過去に作成したものも確認してみます」(教員の方)
- 「学校の範囲では認められていても、それ以外では利用してはいけないものがたくさんあることを子どもたちにしっかり伝えていきたいです」
- 「著作権は難しいものと漠然と思っていましたが、説明を聞いて印象が変わりました。学校に戻ったらサイトを見て、もう少し調べてみます」
「学校に戻ったら職員全体で時間をとって広めたい」という声も寄せられました。事務職員の方から校内へ知識が広がっていくことは、研修を行う側として何よりうれしいことです。
おわりに
みよし市教育研究会事務部会の皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、貴重な機会をいただき本当にありがとうございました。
著作権は、知っていれば迷わずに済む場面がたくさんあります。今回の研修が、学校だよりや掲示物、ホームページを作るときに「まず確認してみよう」と思えるきっかけになれば幸いです。これからも現場目線で学校の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
研修のご依頼について
事務職員の方向け、教員向け、管理職向けなど、対象や時間に合わせて研修内容を組み立てています。オンラインでの実施にも対応していますのでお気軽にご相談ください。
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