社会科や総合の地域学習でGoogleマップの画面を見せたり、修学旅行のしおりに集合場所の地図をスクリーンショットで貼り付けたり。学校ではよくある場面ですが、印刷して配るとなると著作権や利用規約がどうなっているのか、迷うことがあるかもしれません。
この記事では、授業で使うときの著作権法第35条の考え方、行事のしおりに載せるときの判断、紙とデータでの違い、そしてスクリーンショットを使うときの作法と注意点を、現場目線で整理します。
Googleマップのスクリーンショットを学校で使うときは、著作権法とGoogleの利用ガイドラインという、別々の2つのルールを確認します。
著作権法の面では、第35条(学校その他の教育機関において、授業の過程で必要と認められる限度で著作物を利用できることを定めた規定)の条件を満たす場合に、権利者の許諾を得ずに利用できると考えられます。Googleの面では、権利帰属表示(クレジット)の保持や地図の改変禁止といった条件を守り、認められている用途の範囲で使うことが求められます。
学校著作権ナビゲーターとして研修でよく聞かれるのも、この2つをどう使い分けて確認するか、という点です。
そもそも地図は、著作権法で著作物として例示されているもののひとつです(第10条第1項第6号)。地図全般の扱いや著作権教育への活かし方は、動画「学校で地図を使うときの著作権と著作権教育のやり方」でくわしく解説しています。

授業でGoogleマップのスクショを使うのはOK?著作権法第35条の要件
結論から言うと、授業での利用であれば、著作権法第35条の条件を満たすことでGoogle(権利者)の許諾を得ずに利用できると考えられます。
この規定が適用されるには、次の5つを満たす必要があります。
- 学校その他の教育機関であること(営利を目的として設置されたものは除かれます)
- 教員(教育を担任する者)または子ども(授業を受ける者)が行うこと
- 授業の過程における利用であること
- クラスの人数分など、必要と認められる限度であること
- 著作権者の利益を不当に害しないこと
例えば、教員が教材用に授業で必要な部分だけをスクリーンショットしてプリントやスライドに載せること、子どもが発表資料に載せることは、これらの要件を満たすと考えられます。
▼著作権法第35条とは何かをくわしく解説

ポイントは、5つ目の「著作権者の利益を不当に害しない」です。 市販の地図帳やドリルなどを買わずに全員分コピーして代用するような使い方は、著作権者の利益を害することから認められないと考えられます。通常の授業の中で必要な範囲であれば、法律上は問題なく使えるということになります。
| 授業での使い方 | 考え方 |
|---|---|
| 教員が授業で必要な部分だけをスクショしてプリントに載せる | 第35条の要件を満たすと考えられる |
| 子どもが発表スライドに貼り付ける | 第35条の要件を満たすと考えられる |
| 市販の地図帳を買わずに全員分コピーして代用する | 権利者の利益を不当に害するため、認められないと考えられる |
▶ 動画では0:51〜で詳しく解説しています
「Googleマップより」と書き添えることには、法律上の意味もあります
法律で認められているのだから、黙って使ってもよいのでしょうか。そうとは限りません。第35条第1項によって複製する場合も、出所を明示する慣行があるときには、出所の明示が求められています(著作権法第48条第1項第3号)。
つまり「Googleマップより」と書き添えることには、法律の面からも意味があるということです。あわせて、子どもたちへの情報モラル教育の観点からも、どこから持ってきたのかという出所・出典を明記させる習慣は大切にしたいところです。法律の裏付けがあると分かれば、指導する側も伝えやすくなるのではないでしょうか。
▶ 動画では2:31〜で詳しく解説しています
こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマの一覧もご覧ください。
修学旅行や校外学習の「しおり」に地図を載せてもいい?
行事のしおりに集合場所や散策エリアの地図を載せたい、という場面もよくあると思います。
大切なのは、しおりが「授業の過程」に含まれるかどうかです。 学校の教育課程に基づく行事は、特別活動として「授業」に含まれると整理されています。運用指針の特別活動に関する追補版でも、学級活動・クラブ活動・児童生徒会活動・学校行事、そして部活動は「授業」に該当するとされていますので、行事のしおりに必要な資料は第35条の範囲で考えることができます。
では、仮に授業の過程に当たらないと厳格に考えたとしたら、使えないのでしょうか。そうではありません。著作権法とは別に、Google自身が定めている利用のガイドラインという、もう一つ確認すべきものがあります。 この2つは別のルールなので、迷ったときは両方から見てみるのがおすすめです。
Googleは、一定の条件を守れば事前申請なしで画面のスクリーンショットを印刷物に使ってよいという方針を公表しています。このガイドラインは「何個の要件を満たせばOK」という形ではなく、「この用途ならよい」「この用途はいけない」を具体的に挙げる形で書かれています。学校のしおりに関わるのは、主に次の点です。
- 配布数:書籍の中身などの用途では、5,000部以内という目安が示されています
- 用途:非営利であることが前提で、広告や販売用の商品への使用は認められていません
- 権利帰属表示(クレジット)を保持すること(→次の章で詳しく)
- 地図を改変しないこと(→次の章で詳しく)
学校で学年や全校生徒に配る規模であれば、5,000部を超えることは滅多にないと思いますので、部数の面はクリアできます。用途についても、非営利のしおりであれば問題ないと考えられます。
ただし、認められていない用途として「印刷されたナビゲーション資料の主要部分(ツアーブック・ガイドブックなど)」が挙げられている点にはご注意ください。 しおりの中の1ページとして集合場所の地図を載せるのと、地図そのものが主役の冊子を作るのとでは、扱いが変わる可能性があります。
このように、法律の面とGoogleの面の両方から見て、しおりへの地図の掲載は可能と考えられます。
▶ 動画では3:11〜で詳しく解説しています
紙で配る場合とデータで配る場合で、違いはある?
ここまでは、紙に印刷して配る場合の話です。しおりをPDFで配信したり、スライドを学習支援システムに置いたりする場合は、行為としては「公衆送信」にあたります。
第35条が認めているのは、複製・公衆送信・公の伝達の3つの行為です。ですから公衆送信も、授業の過程であれば第35条の範囲で行えます。ただしこの場合は、学校の設置者が授業目的公衆送信補償金を支払っていることが前提になると考えられます(第35条第2項)。ご自身の自治体・学校法人が支払っているかどうかは、事務室や教育委員会に確認しておくと安心です。
一方、学校のウェブサイトに掲載するなど、一般に公開する場面は「授業の過程」を外れる可能性が高くなります。Googleはウェブサイトで使う場合について、スクリーンショットをアップロードするのではなく、地図を埋め込む機能を使うよう案内しています。学校の所在地や会場を示したいだけであれば、埋め込みやリンクで済むことも多いのではないでしょうか。
| 配り方 | 考え方 |
|---|---|
| 紙に印刷してクラス・学年に配る | 第35条の複製として考えられる |
| PDFやスライドを学習支援システムで配信する | 公衆送信にあたり、補償金の支払いが前提になると考えられる |
| 学校ウェブサイトに掲載する | 授業の過程を外れる可能性が高く、埋め込み機能の利用が案内されている |
▼授業目的公衆送信補償金とは

スクショを載せるときの作法と注意点とは
Googleのガイドラインに沿って正しく使うためには、画像加工に関する具体的なルールを知っておく必要があります。先ほど挙げた3つ目と4つ目が、ここに関わります。
クレジットは消さない(トリミングに注意)
3つ目は、権利帰属表示、つまりクレジットを保持することです。画面の端に表示されている「Google」というロゴや「©Google」といった著作権の表示を、消さずにそのまま残す必要があります。
ここで多い失敗がトリミングです。見栄えをよくしようとして、画面の下にある小さな文字やロゴを切り落としてしまうことがあります。これをしてしまうと、ガイドラインに反する使い方になってしまうため、注意が必要です。
地図そのものは加工しない。でも上に書き加えるのはOK
4つ目は、地図の改変禁止です。地図の色を変えたり、建物の形を変形させたり、グラフィック自体を加工したりしてはいけないとされています。
ここで教員が最も迷うのが、「地図の上に文字や矢印を書いてもいいのか」という点だと思います。結論として、地図の上に集合場所の丸印をつけたり、移動ルートの矢印やテキストの注釈を書き加えたりする行為は、認められています。背景にある地図そのものを変えずに、上に情報を重ねるだけであれば問題ありません。
| スクショの扱い方 | 考え方 |
|---|---|
| ロゴ・©表示を残したまま使う | ○ 必要な対応 |
| 見栄えのためにロゴを切り落とす(トリミング) | × 避けたい |
| 地図の色や建物の形を加工する | × 改変にあたると考えられる |
| 集合場所の丸印・移動ルートの矢印・注釈を上に書き加える | ○ 認められている |
▶ 動画では5:00〜、書き込みの可否については6:08〜で詳しく解説しています
まとめ:迷ったときの4つのチェックポイント
Googleマップはとても便利なので、学校の中でも使う場面は多いと思います。判断に迷ったときは、次の4つを順に確認してみてください。
- 著作権法とGoogleのガイドライン、両方から見ているか(片方だけで判断しない)
- 授業の過程での利用か(教育課程に基づく行事や部活動も「授業」に含まれます)
- 紙で配るのか、データで配るのか(データで配る場合は公衆送信にあたり、補償金の支払いが前提になります)
- ロゴ・クレジットを残し、地図そのものを加工していないか(矢印や注釈を重ねるのはOKです)
いたずらに恐れるのではなく、原則に則って確認していけば、Googleマップは学校の強い味方になります。正しくルールを守って、分かりやすい授業や行事の資料づくりに活かしていっていただければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 子どもが発表スライドにGoogleマップのスクショを貼るのはOKですか?
A. 授業の過程で、必要と認められる限度での利用であれば、著作権法第35条の要件を満たすと考えられます。あわせて「Googleマップより」と出所を書き添える指導をすると、法律の面(第48条第1項第3号)からも、情報活用能力の育成の面からも意味があります。
Q. 地図帳の代わりに、地図のスクショを全員分コピーして配ってもいいですか?
A. 市販の地図帳やドリルなどを買わずに全員分コピーして代用するような使い方は、権利者の利益を不当に害することから認められないと考えられます。あくまで通常の授業の中で必要な範囲にとどめる、という考え方です。
Q. しおりは保護者にも配りますが、それも第35条の範囲ですか?
A. 保護者は「授業を受ける者」にあたらないため、保護者向けの配布分は第35条の枠組みから外れる可能性があります。ただしGoogleのガイドラインの側で、非営利の印刷物としての条件を満たしていれば掲載できると考えられますので、両方の面から確認しておくと安心です。
Q. しおりの地図に集合場所の丸印や矢印を書き込んでもいいですか?
A. 背景の地図そのものを変えずに情報を重ねるだけであれば、丸印・矢印・テキストの注釈を書き加えることは認められています。ただし、ロゴやクレジットをトリミングで切り落とさないようにご注意ください。
著作権研修・出前授業のご依頼を承っています。研修の内容・形式・費用の考え方、よくある質問は研修のご案内にまとめています。
この記事は、動画「Googleマップのスクショは授業で使える?著作権法第35条と利用規約」をもとに作成しました。
