教職員向け 生成AI時代の著作権研修|愛媛大学教育学部附属学校園 主催研修【研修事例】

教職員向け著作権研修の事例紹介
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2026年6月、愛媛大学教育学部附属学校園(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校)の教職員の皆さまを対象に、「ICT・AI時代の教育実践と著作権—デジタル教材活用と情報モラルの最前線—」というテーマで研修をさせていただきました。参加者は約100名、幼稚園から高校まで校種を横断した規模での実施となりました。

依頼のきっかけについて、ご担当者様からは「これまでの実績とYouTubeチャンネル『学校著作権ナビ』を視聴して、ぜひ講演を聴きたくなった」とのお声をいただきました。日々の発信が実際の研修依頼につながる瞬間は、学校著作権ナビゲーターとして活動を続ける上で何よりの励みになります。

なお、今回はJASRAC(日本音楽著作権協会)主催「出張講座JASRAC ラーニングスクエア」の制度を使った研修でした。出前講座の制度や申込み方法については「学校で使える!「出張講座JASRACラーニングスクエア」の活用法と事例紹介」で詳しく解説しています。

 

 

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著作権研修の講師を承っています
本記事の内容を含め、学校現場に合わせた著作権研修を行っています。
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研修の全体像(受講者と研修スタイル)

今回の特徴は、なんといっても「幼稚園から高校まで」という校種の幅広さです。同じ「著作権」というテーマでも、幼稚園の先生が気にする場面(園だよりに使うイラストなど)と、高校の先生が気にする場面(定期考査への外部教材の転用など)は大きく異なります。校種を横断する研修では、この「あるある」の振れ幅にどう応えるかが毎回の工夫のしどころです。

研修ではAhaSlidesを使った双方向のやり取りを取り入れ、単なる知識の一方通行にならないよう心がけました。冒頭のアイスブレイクでは「愛媛県に来たら、これ食べて・買って帰って」というお題で回答を集めたのですが、鯛めし、霧の森大福、みかん、ポンジュースなど、地元愛にあふれた回答が並び、会場の空気がやわらかくなったところで本題に入る流れを作れました。

 

 

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研修の具体的な内容(主なトピック)

研修の柱は大きく二つでした。ひとつは学校現場における著作権の基礎、もうひとつは生成AIをめぐる著作権と情報モラルです。

著作権については、まず「なぜ著作権を知る必要があるのか」を、教員が著作権侵害で書類送検・逮捕される事例を交えてお伝えしました。ルールを守るためというより、先生ご自身と学校を守るための知識だという伝え方を意識しています。そのうえで、知的財産権としての著作権の基礎(作品を利用するには原則として許諾が必要であること)、そして学校現場に関わりの深い授業目的公衆送信補償金制度(SARTRAS。オンライン授業などで著作物を使う際の補償金制度)に触れました。著作権法第35条(授業の過程での利用を認める規定)についても、一定の条件のもとで認められる例外であることを丁寧にお伝えしています。

 

生成AIについては、事前アンケートで「使ったことがある」と回答した先生が校務利用で最も多く、次いでプライベート利用、授業での利用という順でした。実際に集まった活用例は、文書作成やスライド作成、イラスト生成、文章の要約、あいさつ文の下書きなど多岐にわたり、校務での活用がすでに現場に根づいていることがうかがえました。研修では、生成AIツール自体の認知度は高い一方で、文部科学省のガイドラインや、AIが事実と異なる内容をもっともらしく生成してしまう「ハルシネーション」への認知はまだ十分ではないという事前調査の結果を共有し、便利さと注意点の両方をセットで持ち帰っていただけるよう構成しました。

また、著作者の気持ちを考えてもらう疑似体験として、「学習指導案を使わせてください」「授業用スライド・ワークシートを使わせてください」「定期考査問題を使わせてください」といった要求に対して、ご自身の考えを投票してもらう時間も設けました。これがまさに「利用規約」なわけです。同じ著作物でも、人によって考え方が変わってくることを、参加型のワークとして体感していただく狙いです。より詳しい利用規約の読み方、著作権法第35条や教材の複製・共有に関する解説記事もあわせてご覧いただければと思います。

 

 

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研修のポイント

研修全体を通してお伝えしたかったのは、「いたずらに恐れるのではなく、正しく知って正しく使う」という姿勢です。生成AIも著作権も、知らないまま使うと不安ばかりが先立ちますが、勘所さえ押さえれば現場目線で十分に使いこなせるものだと考えています。

事後アンケートで印象に残ったこととして挙げられたのが、「いらすとや」の利用についてです。「webサイト『いらすとや』は、すべてが無料という訳ではなく、利用規約をしっかり読み、無料の範囲内で使用すること」というコメントをいただきました。よく使われているフリー素材サイトだからこそ、利用規約を意識せずに使ってしまいがちな落とし穴だと感じています。

 

 

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参加者の声と今後の展望

研修中のAhaSlidesには、たくさんの感想・質問をお寄せいただきました。いくつかご紹介します。

「よく使ってるもので知らないことがあって驚きました」
「著作権については、自分自身も心配なことが多かったので、勉強になりました」
「知らない間に違反してそうなのが一番気になるし、怖いです」
「イラストやを利用することが何度もあったが、利用規約を見たことがなかった。これからは利用規約を確認していきたい」
「学習指導案『使わせてください』どこまでOK?」「授業用スライド・ワークシート『使わせてください』どこまでOK?」など、まさに現場で日々直面する具体的な相談も数多く寄せられました。

 

生成AIに関する感想も印象的でした。

「生成AIの著作権については日々変化しているということを学びました。こまめに情報を確認したいと思います」
「著作物である言葉(誰かの著書の中で使って一般的に使われるようになった言葉)は、どこかを見ればわかる?」

こうした声からも、著作権と生成AIの両方について「知りたいけれど、どこで確認すればいいか分からない」という現場の課題感が伝わってきます。今回の研修が、日々の教材づくりや校務の中で立ち止まって確認する習慣のきっかけになれば幸いです。

なお、研修後のアンケートでは、教員・管理職・保護者向けにこの内容をおすすめしたいというお声もいただきました。校種や立場を問わず関心の高いテーマであることをあらためて実感しています。

 

 

おわりに

幼稚園から高校まで、校種を超えて約100名の先生方にお集まりいただき、著作権と生成AIという二つのテーマを一度に扱う貴重な機会をいただきました。日々の教材づくりや校務の中で「これって使っていいのかな」と立ち止まったとき、今回の研修が判断のよりどころのひとつになれば、これほどうれしいことはありません。この度は貴重な機会をいただき、大変ありがとうございました。

著作権や生成AIについて、もっと詳しく知りたい先生・学校図書館関係者の方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭に。東京都公立中学校および東京学芸大学附属世田谷中学校で勤務。元・東京学芸大学こども未来研究所 教育支援フェロー。

2020年より、学校現場での経験を活かし、机上の法律と教育現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」として活動を開始。教員・教育実習生・子どもたちに向けて、著作権への理解を深める講演・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)/東京学芸大学 附属学校図書館運営専門委員会 著作権アドバイザー(2025年〜)

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