【教員の役割別に紹介】学校行事での著作権ルール解説|卒業式の歌詞・BGMから動画配信まで

【教員の担当役割別】儀式的行事(入学式・卒業式)の著作権 学校著作権ナビ 動画
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今日は「入学式・卒業式の著作権」についてお話します。

 

この記事は2022年2月に製作しました。著作権法は変わります。いつの情報か必ず確認をしてください。また、運用にあたっては必ず原文を確認してください。

 

 

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【基本の確認】学校での著作権

まずは著作権の基礎から。

 

「作品(著作物)は作った人のもの」です。
作った人のものだから、「使うとき」「増やすとき」「変えるとき」には作った人に許諾が必要です。
著作権の基本について知りたい方は、まず「学校における著作権入門(学校でコピーが許される理由とは)」をご覧になってください。

 

著作権について取り決めた法律が著作権法です。
その第30条から50条は「著作権の制限(例外)」が書かれています。著作権法の例外の一部です。学校のほかにも、私的利用や保護期間切れなどはあります。

いずれも、「著作権者の利益を不当に害さないこと」「著作物の通常の利用が妨げられないこと」が条件です。この条件をもとに例外(許諾不要)で使うことができます。
学校での利用の場合は「例外」に当てはまりますけれども、学校すべてが例外ではありません。

 

 

ここからは、入学式・卒業式等の儀式的行事における著作権について、先生方の係・担当別にお話をしたいと思います。該当の項目をご覧下さい。

 

 

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【管理職・総務の先生】式次第に歌詞を載せて良い?

式次第に歌詞を書く。
列席者に配る式次第に歌詞を書く場合には注意が必要です。

まず「校歌」について。
校歌については許諾が不要というふうに決められています。校歌の歌詞を書いたり演奏したりすることは問題ありません。

次に式次第に「仰げば尊し」や「蛍の光」の歌詞を載せる場合(卒業式の場合です)。
作者が亡くなってから死後70年を経過すると、保護期間が切れて許諾不要で使うことができます。
「仰げば尊し」「蛍の光」については作詞・作曲した人がすでに亡くなってから70年経っていますので、歌詞を載せることができます。

気をつけたいのは卒業式の定番曲である、例えば「旅立ちの日に」や「3月9日」。これらはまだ作者の方は生きていらっしゃいます。ですので詞を載せる場合には許諾が必要です。

同じ曲でも作者によって違いますので気をつけましょう。

 

 

 

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【3年の担任・国語科の先生】卒業文集に歌詞を載せて良い?

卒業文集に歌詞、これは良いのでしょうか?
許諾が必要な場合が多いです。保護期間である作者の死後70年を経過していない歌詞については許諾が必要です。

ただし「引用」という形でしたら、許諾なしで文集に歌詞を書くことができます。
ただし、引用には様々な条件があります。

 

・主従の関係がしっかりわかること
・引用した部分としていない部分の明確な区分があること
・引用する必然性があること
・引用の部分が最小限であること
・出所をきちんと明示していること
・公表された著作物であること

などです。

引用して歌詞を記載する場合には、きちんと条件が当てはまっているかどうかを確認してください。

 

 

 

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【放送担当・音楽科の先生】BGM用にCDをコピーして良い?

入学式・卒業式のBGMのために使うCDをコピーすることに許諾は不要です。
入学をした新入生の呼名や卒業証書授与の時などに流すBGMとして市販のCDをコピーするのは可能です。
そして入退場のBGM、これについても市販のCDをコピーすることは可能です。

そして、入学式や卒業式で上映する動画…例えば学校紹介の動画や思い出のスライドショーなどがあると思います。ここで使う動画やスライドショーに市販のCDを使うことは可能です。

あくまでも「授業の一環であること」「学校の行事の中の範囲であるということ」という条件を守って、市販のCDを活用してください。

 

 

【音楽科・吹奏楽部顧問の先生】式の中で演奏・合唱して良い?

式で楽器の演奏や合唱することは、許諾不要で可能です。
入学式・卒業式の入退場や途中の楽器演奏などがあったり、卒業生・在校生の部で合唱する場合があると思います。こちらも授業の一環ですので可能です。

 

 

【管理職・記録担当の先生】式の録画・撮影動画の利用は可能?

入学式・卒業式の動画を保護者が撮影して良いか?

保護者が録画する行為。

儀式の内容を保護者が録画することあると思います。これはもちろん可能です。
私的利用ですので保護者が見たり子供が見たりする場合には構いませんが、それを公開してはなりません

著作権はもちろん、子どものプライバシーもありますので、公開の範囲は自分たちだけ自分で楽しむだけにしましょう。

 

学校のホームページに掲載して良いか?

そして、儀式の動画の活用についてです。

入学式や卒業式の動画を学校のホームページにアップする、こちらは許諾が必要となります。
学校のホームページは誰でもアクセスすることができます。また期間も決められていない場合もあると思います。
式の動画で無制限に著作物を発信することになりますので、学校のホームページにアップするのはやめましょう。もしアップしたい場合は許諾を得てください。

 

 

動画投稿サイトへの掲載は可能か?

式の動画を動画投稿サイトにアップする。
先ほどの学校のホームページと似ていますが、似て非なるものです。動画投稿サイトにアップするのは可能です。

著作物を同じように使っていても、動画投稿サイト(例えばYouTubeやニコニコ動画といったもの)はJASRACなどにきちんと著作権料を払っています。つまり著作者に払っていることになります。
タダで見られているということではなくて、動画投稿サイトを通じて宣伝を見たり、自分のデータを取られたりするということはタダではないということです。

 

原則としてYouTubeの動画はすべて授業で使えます。詳しい理由などは「YouTubeの著作権保護への取り組み【学校でYouTubeを使えます。ただし…】」の動画で解説しています。

 

もちろん個人情報などがありますので「限定公開」にするとか、YouTubeにアップすることを保護者に了承していただくといった著作権以外に気にしなければいけないこともありますので、気をつけましょう。

 

オンライン配信の条件とは?

そして、式のオンライン配信についてです。

入学式や卒業式をオンラインで配信する場合2つの方法があります。
・「リアルタイム」つまり生中継する場合のオンライン配信。そして
・「オンデマンド」後で見られるようにするオンライン配信。

この2つの方法が大きくあります。

配信にはSARTRASへの支払いが必要

いずれの場合もSARTRAS(授業目的公衆送信保証金等管理協会)に一定の金額を支払うことが条件です。

2021年度からこの制度は始まっていて、小学生ですと120円・中学生は180円・高校生は420円、1人当たり年間支払う必要があります。一人ひとりが払う必要はありません。学校設置者、主に自治体や法人などが支払っています。

「どの自治体が支払っているか?」「自分の学校はどうかしら?」と思う場合にはSARTRASのホームページから検索することができます。このSARTRASへの支払いをしていることがオンラインをする条件です。これはリアルタイムであってもオンデマンドであっても必要です。

 

自分の学校がSARTRASへ支払っているか確認する方法を「【オンライン授業・行事配信に不可欠】SARTRASに申請済か確認する方法を紹介」で紹介しています。

 

オンデマンド配信のための条件がある

オンデマンド配信(後で見られるようにする)場合には条件があります。

視聴期間を設定し、終了後には必ず消去するということです。
それから保護者に著作権と個人情報保護について、事前に学校が説明する必要があります。その内容について理解と協力を得たり、同意を得たりしなければいけません。

 

保護者のNG行動として、例えば

・URLの他人への拡散(入学式・卒業式が見られるURLを自分以外の人・保護者以外の人に拡散してしまうこと)はNG。
・映像を保存したり転送したりすることもNG。
・画面キャプチャー(スクリーンショットなどと言いますけれども)画面をそのまま記録することもNG。
・SNS等への転載もNG。

保護者の方に理解を頂いてご協力いただいた上でオンデマンド配信が可能となります。

事前に学校が説明しなければいけない項目となっていますので、気をつけましょう。

 

学校行事をオンライン配信するときの注意点については「保護者が陥りがちな著作権トラブル(オンライン授業・行事配信・子どもの作品)」の動画でも解説しました。

 

 

まとめ:【教員の役割別に紹介】儀式的行事(入学式・卒業式)で知っておくべき著作権

今日は入学・卒業式の著作権について話しました。
担当別に話をしましたので、自分が該当する項目はきちんと把握をしておきましょう。

過去の慣例・「今までこうしてきたから」というのは一度頭をリセットして、著作権の法律に反していないかどうかを確認しましょう。

特にオンラインについては最近出てきた概念です。オンラインのルールは学校のルールと少し違います。きちんと内容を確認して、発信ができるかできないかとの条件に当てはまっているかを確認した上で入学式や卒業式を発信し、みんなで入学や卒業をお祝いする儀式的行事にしましょう。

 

ウェブサイトの記事の内容は動画と同じです。
動画「【教員の役割別に紹介】儀式的行事(入学式・卒業式)で知っておくべき著作権」も是非ご覧ください。

学校での著作権については研修・講習・授業などでお話をしています。(事例→先生向け研修生徒向け授業司書向け研修)国公立中学校での実践経験の中で培った現場目線を大切にしながら、各学校の実情やお悩みに沿って研修内容を考えます。ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人
原口直

学校著作権ナビゲーター

東京学芸大学卒業後、大手芸能プロダクショングループ勤務を経て音楽科教諭。東京都公立中・東京学芸大学附属世田谷中に勤務。元東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー。

2020年より学校勤務経験を活かして机上の法律と学校現場をつなぐ「学校著作権ナビゲーター」としての活動を開始。教員・教育実習生・子どもに著作権への理解を深めてもらうための講演活動・情報発信・執筆活動を行っている。

音楽文化事業に関する有識者委員会委員(JASRAC)/共通目的事業委員会専門委員(SARTRAS)

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