総合的な学習の時間や探究の授業で、インターネットを使った調べ学習をする機会は多いですね。そのとき、子どもがネットで見つけた文章や画像をそのままコピーしてしまい、困っている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、調べ学習で子どもに教えておきたい著作権の3つのルールと、その前提となる情報の見極め方を解説します。「コピペはダメ」と伝えるだけでは届かない理由も、あわせて考えていきましょう。
調べ学習で子どもに教えたい著作権のルールとは、①自分の言葉と区別して出所を書く、②使えるのは授業の中での発表までと意識する、③画像やイラストの出所も明記する、の3つです。これらは著作権法第32条(引用)と第35条(授業の過程での利用を認める規定)に関わります。
学校著作権ナビゲーターとして研修先の先生方から相談を受けるなかでも、「コピペはいけないと注意しても、なぜダメなのかが伝わらない」という声はよく耳にします。
調べ学習で教えたい著作権の3つのルール
| ルール | 教えたいこと | 関わる条文 |
|---|---|---|
| ①出所を書く | 写した部分を自分の言葉と区別し、サイト名などを書く | 第32条・第35条 |
| ②授業の発表まで | 誰に見せるかで、ルールが変わることを意識する | 第35条 |
| ③画像も出所を書く | 写真やイラストも出所を明記し、利用規約を守る | 第32条・第35条 |
ルールの前に:ネットの情報を鵜呑みにしない
重要なのは、著作権のルールを教える前に「ネットに出てきた情報をそのまま信じない」という前提を共有することです。
最近は、検索画面にAIが自動で作ったまとめが表示されることが増えています。一見正しそうに見えても、実際には間違った情報が混ざっていることがあります(AIまとめのハルシネーションと呼ばれる現象です)。したがって、情報の確かさを確かめる指導もセットで行うことが大切です。
子どもたちには、次のような習慣を身につけてもらうとよいかもしれません。
- 公的機関や専門機関など、信頼できるサイトから情報を選ぶ
- 1つの事柄について、複数のサイトを見比べる
そして、ルールを教えるときには目的も伝えましょう。「コピペはダメ」と禁止事項ばかりを並べるのではありません。著作権を守りながら正しく使って、楽しく調べる力を身につけてほしいのです。
▶ 動画では0:53〜で詳しく解説しています
ルール1:自分の言葉と区別して出所を書く(著作権法第32条・第35条)
1つ目のルールは、調べた情報を自分の言葉と区別し、出所を書くことです。これは著作権法第32条(引用)と第35条(授業での利用)の両方に関わります。
調べた情報をまとめるとき、すべてを自分の言葉のように書いてしまうことがあります。そうすると、どこまでが自分の考えで、どこからが調べた情報なのかが分からなくなってしまいますね。
子どもに伝えたい引用のやり方
そこで、子どもたちには引用の方法を具体的に教えるとよいと思います。
- 写した文章には鍵括弧を付け、サイト名を書く
- 自分で調べて考えた文章を中心にし、写す部分は自分の考えを支えるために必要な部分だけにとどめる
- 写すときは、勝手に書き換えない
- 本のときと同じように、ウェブサイトでも名前やアドレスをメモする習慣をつける
▶ 動画では2:14〜で詳しく解説しています
▼引用が認められる条件とは

出所を書く理由も一緒に伝える
ポイントは、やり方だけでなく「なぜ書くのか」も説明することです。自分の文章と区別することは、作った人への敬意と、情報の信頼性の確保につながります。また、誰の情報を参考にしたかを明らかにすることは、自分の発表の説得力を高めることにもなるのです。
ルール2:授業の外に出すときは要注意(著作権法第35条)
2つ目のルールは、「使えるのは授業の中での発表まで」と意識することです。
第35条は子どもたちにも当てはまる
学校の授業では、著作権法第35条の規定により、他人の作品を複製(コピー)したり、公衆送信(ネットワークで送ること)をしたり、受信した画面を教室で見せたりすることが、許諾なしでできる場合があります。この規定は教員だけのものではなく、授業を受ける子どもたち自身にも当てはまります。
しかし、授業のために必要と認められる範囲であること、著作権者の利益を不当に害さないことなど、いくつかの条件があります。「学校だから」「授業だから」何でも使ってよいわけではありません。
▶ 動画では3:52〜で詳しく解説しています
※第35条の詳しい条件は、以下の解説記事をご覧ください。

発表の場所によってルールが変わる
特に注意したいのは、作品を授業の外に出すときです。
| 発表の場所 | 扱い |
|---|---|
| クラスの中・学年の発表会 | 授業の中の利用として扱う |
| 学習用クラウドに置いてみんなで見る・オンラインで送る | 学校の設置者がSARTRAS(授業目的公衆送信補償金を管理する団体)に補償金を支払っていることが前提。あわせて、授業を受ける児童生徒だけが見られる設定にしておく |
| 学校ホームページ・広報誌(保護者や地域の方向け) | 授業の外の利用。引用の条件を満たす場合、素材サイトの利用規約で認められている場合を除き、権利者の許諾を得ずに載せることはできない |
※教室の授業をそのまま同時中継する場合など、補償金が不要なケースもあります。
※SARTRASと補償金制度の仕組みついては、以下の記事で詳しく解説しています。

▶ 動画では4:45〜で詳しく解説しています
外に発信するときは先生に相談する
したがって、子どもたちには「自分たちの作品を誰に見せるか」を意識させることが重要です。見せる相手によってルールが変わること、学校の外に発信するときは先生に相談したり許可を取ったりする必要があることを伝えましょう。先生方自身も、この点を意識してみてください。
▼子ども向けの著作権出前授業について

ルール3:画像・イラストも出所を明記する
3つ目のルールは、画像やイラストの出所も明記することです。
文章のコピペには気をつけていても、写真やイラストは検索してそのまま貼り付けてしまう子どもはいないでしょうか。画像も、出所を書く点は文章と同じです。スライドや壁新聞などに使うときは、どこから持ってきたのかをしっかり書かせましょう。あたかも自分が描いたように見せない、という配慮を教えることが大切です。
▶ 動画では6:09〜で詳しく解説しています
「フリー素材」も利用規約の範囲で
「フリー」と書いてある素材サイトであっても、何にでも使えるわけではありません。サイトに書かれた利用規約を読み、「フリー」の範囲を守って使うことの大切さも伝えられるとよいかもしれません。
▼イラスト・写真素材を使う時に気をつけたいこと


迷ったら確認する習慣を
実際の指導では、判断に迷う場面もあるでしょう。子どもから「この写真を使っていいですか」と聞かれて、すぐに答えが出ないこともあります。
そういうときは、うやむやにせず、「迷ったら権利者に確認する」という習慣を教える機会にするとよいと思います。また、公益社団法人著作権情報センター(CRIC)では、電話で相談できる窓口もあります。大切なのは、完璧な判断を求めることではありません。疑問を持つ姿勢を育てることなのです。
▶ 動画では7:04〜で詳しく解説しています
こうした著作権の問題を校内研修で体系的に扱いたい場合は、研修テーマの一覧もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 子どもがネットの文章をそのまま写してしまいます。どう指導すればよいですか?
A. 写した部分に鍵括弧を付けてサイト名を書き、自分の言葉と区別させましょう。あわせて、自分の考えを中心にして写す部分は必要な分だけにとどめること、勝手に書き換えないことも伝えます。
Q. 調べ学習でまとめたスライドを、学習用クラウドで共有してもよいですか?
A. クラスや学年での発表は授業の中の利用として扱えます。学習用クラウドに置いて共有する場合は、第35条の条件を満たしたうえで、学校の設置者がSARTRASに補償金を支払っていることが前提になります。共有する範囲も、授業を受ける児童生徒に限っておくことが大切です。
Q. 調べ学習の成果を学校ホームページに載せてもよいですか?
A. 保護者や地域の方に見せるホームページや広報誌は、授業の外の利用です。引用の条件を満たす場合や、素材サイトの利用規約で認められている場合を除き、権利者の許諾を得ずに載せることはできません。
Q. 「フリー素材」と書かれた画像なら、自由に使ってよいですか?
A. 「フリー」と書かれていても、利用規約で定められた範囲を守って使うことが大切です。画像やイラストも、文章と同じように出所を明記させましょう。
まとめ
子どもたちがインターネットで調べ学習をするときは、次の3つを伝えていきましょう。
- 自分の言葉と区別して、出所を明記する
- 発表する場所、誰が見るかを意識する
- 画像やイラストの扱いに注意し、出所を書く
あわせて、出てきた情報を鵜呑みにせず、複数のサイトで見比べることも大切です。これはインターネットに限らず、どんな情報でも同じですね。著作権をいたずらに恐れるのではなく、正しく知って正しく使う。そんな調べ学習を、子どもたちと一緒に目指していきましょう。
調べ学習での著作権指導や、児童生徒向けの出前授業のご依頼も承っています。研修の内容・形式・費用の考え方、よくある質問は研修のご案内にまとめています。
▶ 学校向け著作権研修のご案内を見る
この記事は、動画「調べ学習の著作権|子どもに教えたいコピペ対策3つのルールと出典の書き方」をもとに作成しました。
